AWSのシステム構成図とは?主な要素や書き方を紹介
AWS(Amazon Web Services)の構成図があることで、システムのリソースの配置などを可視化できるようになります。
本記事では、AWSの構成図の要素や作成する時の手順をご紹介します。
記事終盤では、AWSの構成図の作成におすすめのツールをお伝えするので、構成図の作成を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
AWSのシステム構成図とは?
AWS(Amazon Web Services)のシステム構成図は、AWSクラウド環境内で構築されたアプリケーションやシステムのアーキテクチャを視覚的に表現した図です。
この構成図には、使用されているAWSサービス、リソース間の接続、データの流れ、セキュリティの設定など、システムの設計と運用に関わる重要な情報が含まれています。
AWSのシステム構成図の要素
構成図は、システムのスケーラビリティ、セキュリティ、信頼性、効率性を確保するために重要です。
ここでは、AWSの構成図の要素を7つご紹介します。
コンピューティング
AWSの構成図におけるコンピューティングとは、クラウド上での計算処理リソースを指します。アプリケーションやサービスを実行するために必要なサーバー、プロセッサ、メモリなどのリソースが含まれます。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)
- AWS Lambda
- Amazon Lightsail
- Elastic Beanstalk
Amazon EC2は、仮想サーバーを提供するサービスです。ユーザーは必要に応じてサーバーのタイプ、サイズ、OSなどを選択し、オンデマンドで利用できます。
AWS Lambdaは、サーバーレスコンピューティングを提供するサービスです。コードをアップロードするだけで、AWSが必要に応じてリソースを割り当て、スケーリングを自動的に行います。
Amazon Lightsailは、簡単に使用できる仮想プライベートサーバー(VPS)を提供するサービスです。小規模なアプリケーションやWebサイトに適しています。
Elastic Beanstalkは、アプリケーションのデプロイと管理を簡単にするサービスです。ユーザーはコードをアップロードするだけで、Elastic Beanstalkがデプロイメント、容量プロビジョニング、ロードバランシング、スケーリングなどを自動的に行います。
ストレージ
AWSの構成図におけるストレージとは、データを保存し、必要に応じてアクセス可能にするためのクラウドベースのストレージサービスを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon S3(Simple Storage Service)
- Amazon EBS(Elastic Block Store)
- Amazon Elastic File System(EFS)
- Amazon Glacier
Amazon S3は、任意の量のデータをインターネット経由で保存・取得できるオブジェクトストレージサービスです。非常に高い耐久性を提供し、Webサイトのコンテンツ、バックアップ、データアーカイブなどの用途に適しています。
Amazon EBSは、EC2インスタンスに接続するためのブロックストレージサービスです。データベース、ファイルシステム、アプリケーションに必要な持続的なストレージを提供します。
Amazon Elastic File Systemは、複数のEC2インスタンスから同時にアクセスできるファイルストレージサービスです。シンプルなインターフェースでスケーラブルなファイルストレージを実現します。
Amazon Glacierは、長期間のデータアーカイブやバックアップ用の低コストストレージサービスです。データの取り出しには時間がかかりますが、非常に低いコストで大量のデータを保存できます。
ネットワークとコンテンツ配信
AWSの構成図におけるネットワークとコンテンツ配信とは、クラウドベースのネットワーキングとコンテンツ配信サービスを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon VPC(Virtual Private Cloud)
- Amazon Route 53
- Amazon CloudFront
- AWS Direct Connect
Amazon VPCは、ユーザーがAWSクラウド内に仮想ネットワークを構築できるサービスです。ネットワークのサブネット、IPアドレス範囲、ルーティング、ネットワークゲートウェイなどを設定できます。
Amazon Route 53は、ドメイン名をIPアドレスに変換する役割を果たすサービスです。高可用性と低遅延のDNSサービスを提供します。
Amazon CloudFrontは、Webサイト、API、ビデオコンテンツなどをユーザーに高速に配信するグローバルなコンテンツ配信ネットワーク(CDN)サービスです。データのキャッシュを地理的に分散されたエッジロケーションに保存し、エンドユーザーへのレイテンシを最小限に抑えます。
AWS Direct Connectは、AWSとの間に専用のネットワーク接続を確立するサービスです。インターネットを介さずに、より一貫したネットワーク体験を提供します。
分析
AWSの構成図における分析とは、データを収集、処理、分析するためのサービスとツールを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon EMR(Elastic MapReduce)
- Amazon Redshift
- Amazon Kinesis
- AWS Glue
- Amazon Athena
Amazon EMRは、ビッグデータフレームワーク(Apache Hadoop、Sparkなど)を使用して、大規模なデータ処理、分析、変換タスクを実行するためのマネージドクラスタプラットフォームです。
Amazon Redshiftは、膨大な量のデータを効率的に分析できるサービスです。ビジネスインテリジェンスツールと統合できます。
Amazon Kinesisは、リアルタイムデータストリーミングと分析を可能にするサービスです。大量のデータをリアルタイムで収集し、迅速に分析することができます。
AWS Glueは、データの抽出、変換、ロードを自動化できるETLサービスです。データレイクやデータウェアハウスへの統合を容易にします。
Amazon Athenaは、Amazon S3上のデータに対して標準SQLを使用して分析できるサービスです。
ビジネスアプリケーション
AWSの構成図におけるビジネスアプリケーションとは、企業が日常業務で使用できるさまざまなアプリケーションやサービスを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon WorkSpaces
- Amazon Chime
- Amazon WorkMail
- AWS Marketplace
Amazon WorkSpacesは、完全マネージド型のデスクトップ仮想化サービスです。どこからでも安全にデスクトップ環境にアクセスできます。
Amazon Chimeは、コミュニケーションとコラボレーションをサポートするサービスです。会議、チャット、ビデオ通話などを行うことができます。
Amazon WorkMailは、ビジネスメールおよびカレンダーサービスです。企業のメールボックスを管理し、セキュリティとコンプライアンスニーズを満たします。
AWS Marketplaceは、さまざまなビジネスアプリケーションやサービスを提供するオンラインストアです。簡単にソフトウェアを探して導入することができます。
管理と監視
AWSの構成図における管理と監視とは、AWS環境内のリソースやアプリケーションの運用、管理、監視を効率化するためのツールとサービスを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- Amazon CloudWatch
- AWS CloudTrail
- AWS Config
- AWS Auto Scaling
- AWS Trusted Advisor
Amazon CloudWatchは、システムとアプリケーションのパフォーマンスを監視するサービスです。メトリクスの収集、ログの監視、アラートの設定などが可能で、システムの状態をリアルタイムで把握できます。
AWS CloudTrailは、アカウント内のAWS API呼び出しの記録を提供するサービスです。これにより、セキュリティ分析、リソース変更の追跡、コンプライアンス監査などが容易になります。
AWS Configは、AWSリソースの設定を記録し、変更履歴を管理するサービスです。コンプライアンス監視やセキュリティ分析に役立ちます。
AWS Auto Scalingは、アプリケーションに必要に応じて自動的に適切なリソース量を割り当てるサービスです。トラフィックの変動に応じてスケーリングを行い、コスト効率とパフォーマンスを最適化します。
AWS Trusted Advisorは、AWSのベストプラクティスに基づいた推奨事項を提供するサービスです。コスト削減、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化に役立ちます。
セキュリティ・アイデンティティー・コンプライアンス
AWSの構成図におけるセキュリティ、アイデンティティー、コンプライアンスとは、クラウド環境のセキュリティを確保し、アイデンティティーとアクセス管理を行い、法規制や業界標準に準拠するためのサービスとツールを指します。
主なAWSサービスは、以下のとおりです。
- AWS Identity and Access Management(IAM)
- Amazon Cognito
- AWS Key Management Service(KMS)
- AWS Shield
- AWS WAF(Web Application Firewall)
- Amazon GuardDuty
・AWS Identity and Access Managementは、ユーザー、グループ、ロールの作成と管理を行い、AWSリソースへのアクセスを制御するサービスです。詳細なアクセスポリシーを設定して、セキュリティを強化します。
Amazon Cognitoは、モバイルおよびWebアプリケーションのユーザー認証、認可、ユーザー管理を提供するサービスです。ソーシャルアイデンティティプロバイダー(Facebook、Googleなど)との統合もサポートします。
AWS Key Management Serviceは、暗号化キーの作成と管理を行うサービスです。データの暗号化と復号化を安全に行うことができます。
AWS Shieldは、DDoS攻撃からWebサイトやアプリケーションを保護するためのサービスです。
AWS WAFは、WebアプリケーションをSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどのWeb攻撃から保護するサービスです。
Amazon GuardDutyは、インテリジェントな脅威検出サービスです。AWSアカウントとワークロードを監視し、不審なアクティビティや潜在的なセキュリティ脅威を特定します。
AWSのシステム構成図の書き方・手順
ここでは、AWSの構成図の作成するときの手順をご紹介します。
1. アイコンを準備する
このステップでは、AWSサービスとリソースを表すための視覚的なアイコンを準備します。
ただし構成図を作成する前に、どのAWSサービスやリソースを使用するかを決定していることを前提としています。
AWSは公式Webサイトで各サービスのアイコンセットを提供しており、ダウンロードして使用できます。
2. 構成図を書く
アイコンを準備したら、具体的にシステムのアーキテクチャを図示する作業に入ります。AWS環境内のリソースとサービスの関係性、接続、データの流れなどを視覚的に表現します。
リソース間のネットワーク接続や通信の流れを線や矢印で表現します。これには、セキュリティグループ、サブネット、ロードバランサー、VPN接続などのネットワーク要素の関係性も含まれるでしょう。
3. アイコンを設置する
AWSサービスとリソースを表すアイコンを構成図上に配置し、それらの関連性や接続を視覚的に表現します。システムの各コンポーネントがどのように相互作用し、統合されているかを示すために重要です。
構成図をレビューして、必要に応じて修正や調整を行いましょう。図が実際のアーキテクチャを正確に反映しているか、または意図した通りの設計になっているかを確認します。
まとめ
AWSのシステム構成図は、クラウド上で構築されたアプリケーションやシステムのアーキテクチャを視覚化する図です。
主な要素にはコンピューティング、ストレージ、ネットワークとコンテンツ配信、分析、ビジネスアプリケーションなどがあります。
構成図の作成は、アイコンの作成、構成図の描画、アイコンの配置という手順があり、ツールを活用することで構成図の質がアップする可能性があるでしょう。