AWSのクラウドプラクティショナーを取得する方法は?難易度や勉強方法を紹介
AWSのクラウドプラクティショナーはAWSの認定資格の1つであり、AWSに関する基礎知識を身につけているという証拠となります。
本記事では、AWSクラウドプラクティショナーの試験内容について、出題科目や形式、試験会場、スケジュールなどをご紹介します。
そのほか、クラウドプラクティショナーを取得するための勉強方法もお伝えするので、これから勉強して受験する場合はぜひ参考にしてください。
目次
AWSのクラウドプラクティショナーとは?
AWSのクラウドプラクティショナーは、AWS(Amazon Web Services)の基本的な知識とスキルを持つ人々を認定するためのエントリーレベルの資格です。AWSのクラウドプラットフォームに関する全体的な理解を証明するもので、AWSのサービス、基本的なアーキテクチャ、セキュリティ、経済性などの知識が評価されます。
AWS認定クラウドプラクティショナーになるためには、 AWSの基本的なサービス、特にAWSに特化したクラウドコンピューティングの基本原則、 AWSのセキュリティとコンプライアンスの基準などの知識を身につける必要があります。
そのほか、AWSの価格設定、請求、アカウント管理の概要などのAWSに関する知識を身につけることが大切です。
AWSのクラウドサービスを利用する企業の従業員や、クラウド技術に興味を持つ個人にとって、AWSのエコシステムにおける基本的な知識と能力を証明する手段となります。また、AWSのより専門的な認定資格を目指す際の出発点ともなり得ます。
AWSの認定資格
AWSは、クラウドプラクティショナー以外にさまざまな認定資格を設けています。
AWSの運用・構築
AWSの運用や構築に関する認定資格は、基礎コース・アソシエイト・プロフェッショナルの3つに分けられます。
クラウドプラクティショナーは基礎コースに該当し、アソシエイトはソリューションアーキテクト(アソシエイト)とSysOpsアドミニストレーターを指します。
プロフェッショナルは、ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)とDevOpsエンジニアのことです。
専門スキル
AWSの専門スキルに関する認定資格は、セキュリティ・データアナリティクス・機械学習・アドバンスドネットワーキング・データアナリティクスなどの幅広い知識を身につける必要があります。
専門スキルを身につけると、AWSの導入を検討している企業や運用や保守などで課題を抱えている企業のサポートで役立つでしょう。
AWSクラウドプラクティショナーの試験内容
ここでは、AWSクラウドプラクティショナーの試験内容について、科目と出題形式、難易度などをご紹介します。
科目と出題形式
AWSクラウドプラクティショナーの試験で出題される科目は、クラウドのコンセプトが24%、セキュリティとコンプライアンスが30%、クラウドテクノロジーとサービスが34%、請求、料金、およびサポートが12%といわれています。
テクノロジーの科目で出題される問題数が多い傾向にあり、AWSのサービスに関する問題を中心に出題されています。具体的には、AWSの各サービスの特徴や選び方について問われることが多いです。
また出題形式は、正解が1つの択一問題と、正解が2つ以上ある複数選択問題です。択一選択問題は、正解が1つに対し間違った選択肢が3つあります。複数選択問題は、5つ以上の選択肢の中から正解を2つ以上選ぶものとなっています。
問題数は全65問あり、点数に反映されない問題が15問あります。採点されない問題は、AWSが受験者のデータ収集を目的に設置されているものです。
難易度
クラウドプラクティショナーは、AWSの認定資格のなかで難易度がそこまで高くありません。AWSに関する知識の基礎にあたるものなので、クラウドプラクティショナーを取得してからほかの認定資格に挑戦すると良いでしょう。
試験の合格率は、公開されていないので詳しい難易度が不明です。700点が明確な合格点であり、公式では模擬試験が公開されているので、しっかり対策すれば合格する可能性が高まります。
また、IT知識やAWSの実務経験がある方にとっては、難易度が一気に下がります。すでにクラウドに関する知識を持っている方は、新たに学ばなくてはいけない範囲が狭まるので、自然と難易度が下がるといえるでしょう。
受験会場とスケジュール
クラウドプラクティショナーの受験は、オンラインかオフラインが選択できます。オンラインはリモートで試験監督がつきます。オフラインはテストセンターでの受験となります。
オンラインで受験する際、パソコンのWebカメラやマイク、スピーカーを用意する必要があります。試験監督の対応は、日本語で選択することができます。
受験の申し込みする際は、AWS認定アカウントが必要なので把握しておきましょう。スケジュールは決まっておらず、オンライン受験は24時間好きな時間に受けられます。当日申し込みもでき、試験時間は90分です。
合格率・合格点
AWSクラウドプラクティショナーの試験の合格率は、公式では公開されていません。
しかし、資格の難易度などから、合格率は低くないと考えられています。
試験の点数は100〜1,000のスコアで算出されますが、合格点は一律700点です。
AWSクラウドプラクティショナーの試験の結果は、解答が終了したときにすぐ確認できます。
AWSクラウドプラクティショナーを受験する流れ
ここでは、AWSクラウドプラクティショナーを受験するときの流れを5つのステップに分けてご紹介します。
1. サインインする
AWSクラウドプラクティショナーの予約を済ませていることを前提に、予約した時間の30分ほど前にAWSアカウントでサインインしましょう。
サインインしたら、予約した試験を選択します。
2. アプリをダウンロードして起動する
試験が開始される前に、OnVUEというアプリをダウンロードして起動します。
アプリ上で必要情報を入力したら、入力した電話番号にSMSが届いたことを確認しましょう。
3. SMSに送付されたURLにアクセスする
SMSに送付されているURLにアクセスしたら、画面の指示に従って写真を撮って送信します。
ステップ1からここまでで、所要時間10分〜15分ほどが目安となっています。
4. 受付を行う
試験を受ける準備が整ったら、受付を行いましょう。
ステップ3で送信した写真を試験監督員が確認したら、受付完了です。
受付にかかる時間は5分〜10分ほどが目安であり、日本語にも対応しています。
5. 受験を開始する
受付が完了し試験の開始時間が来たら、解答をはじめます。
AWSクラウドプラクティショナーに向いている人の特徴
AWSクラウドプラクティショナーは、AWSに関する基礎となる知識を身につける必要があるため、非エンジニアの方やAWSサービスを使っている企業の従業員の方におすすめです。
AWSクラウドプラクティショナーを取得しようとすると、自然とITやAWSに関する基礎知識を身につけることができます。AWSサービスを直接扱わない方でも、エンジニアの意図を理解するために、AWSクラウドプラクティショナーを取得すると良いでしょう。
また、AWSクラウドプラクティショナーを取得すれば、AWSサービスを使う業務への理解度が上がります。AWSクラウドプラクティショナーの取得をきっかけに、AWSサービスを扱うさまざまな業務に取り掛かれる可能性があります。
ただし、すでにITやAWSに関する知識を持っている方は、AWSクラウドプラクティショナーではなく、レベルの高い認定資格にチャレンジすることがおすすめです。AWSクラウドプラクティショナーを取得しないと受験できない資格がありましたが、現在は制限が設けられていません。
AWSクラウドプラクティショナーを取得する時の注意点
ここでは、AWSクラウドプラクティショナーを取得する時の注意点を4つご紹介します。
1. 有効期限がある
AWSの認定資格は、取得してから3年間の有効期間が設けられています。有効期間を過ぎると、取得した資格は無効となってしまうので、定期的に取得してレベルを保持することが大切です。
有効期間が切れる際、同じ試験にトライするだけではなく、現状よりもレベルの高い資格を取得することもできます。期間を過ぎる前に、最新知識を身につけて再受験する必要があります。
有効期限が近づいてきたら、AWSから再受験の案内が送られてくるので、案内を見落とさないようにしましょう。
2. 受験環境の準備に手間がかかる
試験を開始するには、AWSアカウントでサインインするだけではなく、指定のアプリをダウンロードして必要な情報を入力しておく必要があります。
また、受験環境は、基本的に机の上にパソコン以外のものを置くことができません。
デュアル接続をしている場合は外しておかなくてはいけないので、机の上の状態によっては受験できない恐れがあります。
万が一、机の上にモニターやスピーカーなどがある場合は、モニターはカバーをかけておき、スピーカーは通信機能がないことを証明する必要があるでしょう。
試験監督員とはリモートでつながっているので、パソコンの内蔵カメラでその都度机の上の状態を見せなければいけないでしょう。
3. ダウンロードしなければいけないアプリが重たい
受験に必要なアプリはダウンロードする必要がありますが、通信環境によってはパソコンが重たくなってしまうことがあります。
具体的には、カーソルの動きが鈍くなったり、画面が止まったりする恐れがあります。
万が一、画面が動かなくなったときは、試験監督員から登録した電話番号に電話がかかってきて、遠隔で立ち上げ直してもらえるケースが多いです。
4. 私語が厳禁である
AWSが提供する正式な試験であるため、もちろんですが私語は厳禁です。
同じ空間にいる人と会話したり、独り言を話したりすることは禁止されています。
もし独り言などを話していると、試験監督員からチャットで警告されるケースがあります。
指示に従わずに私語を続けた場合は、試験を強制終了させられる恐れがあるので注意しましょう。
AWSクラウドプラクティショナーの勉強方法3つ
ここでは、AWSクラウドプラクティショナーを勉強する方法を3つご紹介します。
AWSの無料トレーニングを受講
AWS自体が提供するTraining and Certificationプログラムには、多くの無料トレーニングコースが含まれています。これらは、AWSの基本から応用まで幅広いトピックをカバーしています。
無料トレーニングでは、AWSの基本的な概念、サービス、使用方法について学べます。特に、AWS Cloud Practitioner Essentialsというコースは、クラウドプラクティショナー試験の準備に特化しており、AWSの基本的なアーキテクチャ、セキュリティ、経済性などを網羅しています。
無料トレーニングは、自分のペースで学習を進めることができるため、忙しいスケジュールの中でも学習を継続することが可能です。一部のコースでは、AWSの実際のサービスを使用する実践的なラボも提供されます。
またAWSトレーニングには、試験準備向けの追加資料やサンプル問題も含まれていることが多く、試験に対する理解を深めるのに役立ちます。AWSの学習コミュニティやフォーラムを利用することで、他の学習者や専門家からのサポートやアドバイスを受けることが可能です。
参考書を購入
良質な参考書は、AWSの基本から応用まで、体系的に知識を学ぶことができる構造になっています。AWSの各サービスや概念に関する詳細な情報が提供されていることがほとんどで、初心者でも段階的に理解を深められるでしょう。
クラウドプラクティショナー試験に特化した参考書は、試験で問われる可能性のある重要なトピックや、試験形式に合わせた学習が可能です。
多くの参考書には練習問題や模擬試験が含まれており、実際の試験に対する準備を効果的に行うことができます。
AWSは頻繁にアップデートされるため、最新版の参考書を選ぶことが重要です。最新の情報に基づいて学習することで、変更されたサービスや機能に対応できます。
模擬テストを実施
模擬テストは、実際のAWSクラウドプラクティショナー試験の形式を模倣しています。これにより、試験の流れや時間管理、問題の種類に慣れることができます。
また、自身の理解度を確認して弱点を特定できます。不正解だった問題を復習することで、理解を深め、知識を補強することが可能です。
模擬テストで良い成績を収めることは、試験への自信を高めます。一方で苦戦した場合でも、どの分野を重点的に勉強すべきかが明確になります。
また模擬テストは、限られた時間内で問題を解く練習にもなります。実際の試験では時間管理が重要となるため、模擬テストで効率的な解答の練習をすることが有効です。
AWSやほかの教育プロバイダが提供する模擬テストをオンラインで入手でき、多くは無料または有料で提供されています。繰り返し解くことで試験への対策を強化できます。
AWSクラウドプラクティショナー以外の関連資格
AWSクラウドプラクティショナー以外に、さまざまなAWS関連の資格がいくつかあります。
ここでは、AWSクラウドプラクティショナー以外の関連資格を11個ご紹介します。
デベロッパー
AWSのデベロッパーは、AWS上でのアプリケーション開発に関する知識とスキルを証明する資格です。
主にソフトウェア開発者やプログラマーを対象としており、AWSサービスを使用して効果的にアプリケーションを設計、開発、デプロイするための能力を確認します。
SysOpsアドミニストレーター
AWのSysOpsアドミニストレーターは、AWS環境でのシステム運用や管理に関する知識とスキルを証明する資格です。
主にシステム管理者や運用担当者を対象としており、AWSインフラストラクチャのデプロイ、管理、監視、およびセキュリティの管理に関する能力を確認します。
特に、クラウドインフラストラクチャの運用管理や、コスト管理、セキュリティに注力するキャリアを目指す人にとって非常に有用です。
ソリューションアーキテクト(アソシエイト)
AWSのソリューションアーキテクト(アソシエイト)は、AWS上で安全で、費用対効果の高いスケーラブルなシステムを設計する能力を証明する資格です。
主にソリューションアーキテクト、システムエンジニア、開発者を対象としており、AWSインフラストラクチャを活用して、顧客の要件に合った最適なソリューションを設計するスキルを確認します。
AWSの多岐にわたるサービスを理解し、それらをどのように組み合わせて最適なシステムを構築するかを熟知していると認識されます。
ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)
AWSのソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)は、AWS環境で大規模で複雑なシステムを設計し、実装するための高度なスキルと知識を証明する資格です。
この資格は、AWSの専門的な知識を持ち、企業規模のアーキテクチャ設計を担当するソリューションアーキテクトやシステムエンジニアを対象としています。
先ほどご紹介したソリューションアーキテクト(アソシエイト)よりも難易度が高く、より深い理解と実務経験が求められるでしょう。
DevOpsエンジニア
AWSのDevOpsエンジニアは、AWS環境でのDevOpsプロセスの設計、実装、および管理に関する高度な知識とスキルを証明する資格です。
この資格は、DevOpsエンジニア、システム管理者、および運用エンジニアを対象としており、継続的なデリバリーや自動化プロセスの専門知識を求められます。
AWS環境での自動化プロセスの設計と管理、システムの可用性向上、リリースサイクルの短縮を実現できるプロフェッショナルとして認識されます。
アドバンストネットワーキング
AWSのアドバンストネットワーキングは、AWSクラウドにおける高度なネットワークアーキテクチャを設計、実装、および管理するスキルを証明する資格です。
この資格は、ネットワークエンジニアやアーキテクト、セキュリティスペシャリスト、そしてAWS環境での複雑なネットワーク要件に対応する必要がある技術者を対象としています。
資格を取得すれば、AWS環境とオンプレミスのネットワークを統合し、セキュリティ、スケーラビリティ、信頼性を確保したネットワークソリューションを提供できる専門家として認識されます。
データアナリティクス
AWSのデータアナリティクスは、AWS環境におけるデータ分析ソリューションの設計、構築、および運用に関する専門知識を証明する資格です。
この資格は、データアナリスト、データエンジニア、データサイエンティスト、およびデータソリューションアーキテクトを対象としており、大規模なデータセットを効果的に処理、解析し、インサイトを引き出すためのスキルが求められます。
資格取得者は、データを活用してビジネスインサイトを提供し、意思決定をサポートするための高度なデータ分析スキルを持っていると認識されます。
データベース
AWSのデータベースは、AWS環境でのデータベース設計、実装、運用、管理に関する専門知識を証明する資格です。
この資格は、データベース管理者、データエンジニア、データアーキテクト、およびデータベースに特化したITプロフェッショナルを対象としています。
AWS上でのデータベースソリューションの最適化やトラブルシューティングを行うためのスキルが求められます。
資格取得者は、ビジネスニーズに応じたスケーラブルで信頼性の高いデータベースソリューションをAWS上で設計・実装できるプロフェッショナルとして認識されるでしょう。
機械学習
AWSの機械学習は、AWS環境で機械学習ソリューションを設計、構築、およびデプロイするための高度な知識とスキルを証明する資格です。
この資格は、データサイエンティスト、MLエンジニア、データエンジニア、およびAI/MLに特化したソリューションアーキテクトを対象としています。
資格取得者は、AWSの機械学習ツールを使って、複雑なビジネス課題に対するAIソリューションを設計・実装し、効率的かつ安全に運用できるプロフェッショナルとして認識されます。
セキュリティ
AWSのセキュリティは、AWS環境におけるセキュリティ対策とベストプラクティスに関する専門知識を証明する資格です。
この資格は、セキュリティアナリスト、セキュリティエンジニア、ITプロフェッショナル、そしてクラウドセキュリティに特化したソリューションアーキテクトを対象としており、AWSでのセキュリティ管理やリスク対応のスキルが求められます。
資格取得者は、AWSのセキュリティサービスを効果的に活用し、セキュリティリスクを管理し、コンプライアンス要件に対応できる能力を持つプロフェッショナルとして認識されます。
SAPonAWS
SAPonAWSは、AWS上でのSAPソリューションの設計、デプロイメント、運用に関する専門知識とスキルを証明する資格です。
この資格は、SAPの実装と管理に特化したソリューションアーキテクトやSAPコンサルタントを対象としており、AWS環境でSAPシステムを効果的に運用するための能力が求められます。
資格取得者は、AWSでのSAPソリューションの最適化、セキュリティ管理、パフォーマンス向上、そして効果的なバックアップおよびリカバリ戦略の実装ができるプロフェッショナルとして認識されます。
これにより、企業のSAP環境のクラウド移行や最適化をサポートし、ビジネスの効率化と競争力の向上に貢献できる可能性があるでしょう。
まとめ
AWSクラウドプラクティショナーは、AWSの基本的な知識とスキルを認定するエントリーレベルの資格です。
試験内容は、AWSの基本的な科目をカバーし、選択式の問題で構成されており、難易度は初心者向けです。試験は、特定の受験会場またはオンラインで受験できます。
またAWSクラウドプラクティショナーは、AWSの基礎を理解したい人や、クラウド技術のキャリアを目指す人に適しています。
これから資格取得のために勉強する場合は、AWSの無料トレーニングの受講、関連する参考書の購入、模擬テストの実施などを行って、知識を身につけると良いでしょう。