【初心者必見】AWSでサーバーを構築する手順|メリットや注意点を解説
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AWS(Amazon Web Services)でサーバーの構築を検討している場合は、事前に導入する手順をチェックしておくとよいでしょう。
本記事では、AWSで構築できるサーバーの種類や利用するAWSサービス、構築する手順をご紹介します。
そのほか、AWSでサーバーを構築するメリットや注意点もお伝えするので、AWSの利用を考えている場合はぜひ参考にしてください。
目次
AWSで構築するサーバーとは?
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AWSでサーバーを構築するということは、Amazonのクラウドプラットフォームを利用して仮想サーバーを設定、デプロイ、および管理することを指します。
AWSアカウントを作成して、クレジットカード情報などを準備すれば、簡単にサーバーの構築が可能です。
AWSでサーバーを構築するには、Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)やAWS S3(Simple Storage Service)、RDS(Relational Database Service)などのサービスを用います。
そのほか、監視やログ管理を行うためのサービスや、セキュリティを強化するためのサービスなども活用していきます。
このようにさまざまなサービスを組み合わせることで、柔軟でスケーラブルなインフラストラクチャの構築が可能です。
具体的なユースケースやアーキテクチャに応じて、必要なサービスを選び、設定を行うことが重要です。
物理サーバーとの違い
AWSはインフラストラクチャの管理を担当し、ユーザーは必要なリソースを選択して利用します。
そのため、ハードウェアの保守やネットワークの設定はAWSが行い、インスタンスのスケーリングやバックアップも簡単に行えます。
一方で物理サーバーは、ユーザーがハードウェアの購入・設置・保守を行うので、ネットワークの設定やセキュリティ対策もユーザーの責任です。
スケーリングやバックアップには、追加のハードウェアやソフトウェアが必要です。
また、AWSサーバーは、使用したリソース分だけ課金されるため、初期投資が必要ありません。
オンデマンド料金や予約料金などの複数の料金プランがあり、短期間のプロジェクトや変動するワークロードに対してコスト効率が高いです。
物理サーバーは、初期投資が高く、ハードウェアの購入、設置、保守にコストがかかります。
長期間の運用や一定のワークロードには、コスト効率が高くなる場合があります。
レンタルサーバーとの違い
AWSサーバーは、インフラストラクチャの管理を担当し、ユーザーは仮想マシンやその他のリソースを自由に選択・構成が可能です。
一方で、レンタルサーバーは、プロバイダーがハードウェア、ネットワーク、基本的なソフトウェアの管理を行います。
ユーザーはWebホスティングやメールサーバーなど、特定のアプリケーションの設定と管理を行う必要があるでしょう。
また、高度なスケーラビリティを提供しているAWSサーバーと比較すると、レンタルサーバーはスケーラビリティは限られており、リソースの追加にはプロバイダーとの調整が必要です。
AWSサーバーは使用したリソース分だけ課金されますが、レンタルサーバーは定額料金が一般的でリソースの使用量にかかわらず一定のコストが発生します。
AWSサーバーは、広範なサービスとインスタンスタイプを選択でき、高度なカスタマイズが可能です。
一方で、レンタルサーバーは、提供されるサービスと設定が限定されているため、カスタマイズの自由度が低いです。
主にWebサイトのホスティングに適しており、特定の用途に特化しています。
AWSで構築できるサーバーの種類
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ここでは、AWSで構築できるサーバーを3種類ご紹介します。
Webサーバー
Webサーバーは、WebサイトやWebアプリケーションをホスティングするためのサーバーのことです。
Webサーバーは、HTTPやHTTPSを使用して、ブラウザなどからのリクエストを受け取り、HTMLページや画像・スタイルシート・JavaScriptファイルなどのコンテンツを提供します。
APサーバー
APサーバーは、ビジネスロジックを実行するためのサーバーです。
ウェブサーバーと連携して、動的なウェブコンテンツを生成し、データベースやその他のサービスとのやり取りを行います。
DBサーバー
DBサーバーは、データの保存、管理、検索、および操作を行うためのサーバーです。
DBサーバーは、Webアプリケーションや企業システムにおけるデータ管理の中核を担っています。
AWSでサーバーを構築する時に利用するサービス
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ここでは、AWSでサーバーを構築する際に利用する主なサービスを4つご紹介します。
VPC(Amazon Virtual Private Cloud)
Amazon VPCは、AWS内においてユーザーが定義した仮想ネットワークを提供するサービスです。
VPCを利用することで、ユーザーはAWSリソースを隔離されたネットワーク内で動作させ、セキュリティやネットワーク管理をカスタマイズできます。
VPC内にサブネットを作成することで、ネットワークを論理的に分割し、異なるサブネットに異なるセキュリティポリシーの適用が可能です。
また、VPCは、複数のセキュリティ機能を提供します。たとえば、セキュリティグループは、インスタンスレベルの仮想ファイアウォールで、許可されたインバウンドおよびアウトバウンドトラフィックを制御します。ネットワークACLは、サブネットレベルのセキュリティフィルタリングで、入出力トラフィックを制御します。
Internet Gateway
Internet Gatewayは、VPC内のパブリックサブネットに配置されたリソースがインターネットからの接続を受けたり、インターネットにアクセスしたりするための経路を提供するサービスです。
Internet Gatewayは、インターネットからVPC内のリソースへのインバウンドトラフィックと、VPC内のリソースからインターネットへのアウトバウンドトラフィックの両方をサポートします。
また、AWSの他のサービスと同様にスケーラブルで高可用性を備えています。ユーザーのトラフィックに応じて自動的にスケールアップし、高い耐障害性を提供します。
インターネットからのトラフィックを安全に管理するために、セキュリティグループやネットワークACLを使用して、インバウンドおよびアウトバウンドのトラフィックを制御します。これにより、特定のIPアドレスやポートへのアクセスを許可または拒否が可能です。
Amazon EC2
Amazon EC2は、スケーラブルな仮想サーバーを提供するサービスです。
クラウド上でアプリケーションを実行するための弾力性と制御をユーザーに提供し、必要に応じてコンピューティングリソースを迅速に増減させることができます。
Amazon EC2は、アプリケーションの需要に応じてインスタンスを自動的に追加または削除するAuto Scaling機能を提供します。これにより、コスト効率を最大化しながら高可用性の維持が可能です。
Amazon EC2は、セキュリティグループとネットワークACLを使用して、インスタンスレベルおよびサブネットレベルでトラフィックを制御します。IAMを利用すると、ユーザーとリソースへのアクセス権を管理できます。
また、VPC内でのインスタンス配置とネットワーク設定をサポートし、柔軟なネットワークトポロジーの構築が可能です。Elastic IPアドレスを使用して、静的なIPアドレスを割り当てることもできます。
Amazon RDS
Amazon RDSは、AWSが提供するマネージド型のリレーショナルデータベースサービスです。データベースのセットアップ、運用、およびスケーリングを簡素化し、ユーザーがデータベースのインフラストラクチャ管理から解放され、アプリケーションの開発に集中できるようにします。
Amazon RDSは、数分でデータベースインスタンスを起動できる簡単なセットアップを提供します。AWS Management Console、AWS CLI、またはAWS SDKを使用して、データベースインスタンスを作成および管理が可能です。
また、マルチアベイラビリティゾーン配置をサポートしており、プライマリデータベースと同期レプリカを異なるAZに配置することで高可用性を確保します。障害が発生した場合、RDSは自動的にフェイルオーバーを実行します。
読み取り専用のリードレプリカを作成することで、読み取りトラフィックを分散させ、パフォーマンスを向上できます。リードレプリカは、同一リージョン内または異なるリージョンに配置が可能です。
AWSでサーバーを構築する手順
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ここでは、AWSでサーバーを構築する方法について解説します。
1. AWSアカウントを取得する
はじめにAWSアカウントを作成する必要があります。こちらにアクセスすれば、AWSアカウントの作成に進められます。
AWSアカウントを作成するときは、メールアドレス・電話番号・クレジットカード番号などが必要です。
作成が完了したら、サインインページからAWSにログインしましょう。
2. VPCを作成する
AWSにログインしたら、AWSマネジメントコンソールを開いて、リージョンを設定します。
リージョンとは、東京やロンドンなどデータセンターのある地域のことです。アクセスするユーザーが多い地域を選ぶことで、レスポンスが向上する傾向にあります。
リージョンを選択したらVPCを作成し、各項目の値を入力しましょう。
- 名前タグ:任意のVPC名
- IPv4 CIDR:一般的なプライベートIPv4アドレス中でCIDRブロックを指定(例「10.0.0.0/16」)
3. サブネットを作成する
VPCの作成に必要な値を入力したら、サブネットの設定に進みます。サブネットの作成では、以下のような項目で値を入力していきましょう。
- VPC ID:VPCの作成で作成したVPCを指定
- サブネット名:任意のサブネット名
- IPv4 CIDR:VPCの作成で作成したVPCのIPv4CIDRの範囲内
4. インターネットゲートウェイを作成する
サブネットを作成したら、インターネットゲートウェイの作成に進みます。インターネットに接続するために必要な工程です。
名前タグに任意のインターネットゲートウェイ名を入力したら、作成したインターネットゲートウェイを選択します。アクションをクリックして、「VPCにアタッチ」を選択します。
作成済みのVPCを選択したら、インターネットゲートウェイのアタッチを選びましょう。
5. ルートテーブルを作成する
インターネットゲートウェイの作成が完了したら、ルートテーブルを作成します。ルートテーブルの作成では、まず任意のルートテーブル名を入力し、事前に作成したVPCを指定します。
「サブネットの関連付けを編集」を選択したら、事前に作成したサブネットと紐づけましょう。ルート編集のページで、ターゲットをインターネットゲートウェイにしてから送信先を「0.0.0.0/0」にします。すると、全てのパケットがインターネットゲートウェイに転送されるようになります。
6. EC2インスタンス(Linux)を作成する
EC2インスタンス(Linux)を作成する際、AWS Management Consoleを開き、Amazon EC2を選択する必要があります。
EC2ダッシュボードを開いたら、「Launch instance」または「インスタンスを起動する」と表示されるのでクリックします。
EC2インスタンスの作成では、以下のような各項目で値や名前などを入力する必要があります。
- インスタンス名:任意のEC2インスタンス名
- AMI:LinuxやWindowsなどの中から好きなものを選択
- インスタンスタイプ:無料枠の利用の場合はt2.microが適切
- ネットワーク設定:VPCやサブネット欄に事前に作成したものを指定
- プライマリIP:事前に作成したサブネットの範囲内のIPアドレスを指定
- セキュリティグループ:セキュリティグループを新しく作成し、任意のセキュリティグループ名を指定
- キーペア:新しいキーペアを作成
設定が完了したら、「インスタンスを起動」を選択しましょう
7. SSHを使ってインスタンスに接続する
EC2インスタンスの作成が完了したら、キーペアを作成しSSHを使ってインスタンスに接続しましょう。ただし、Macの場合は、SSH接続ができるターミナルがはじめから用意されています。
SSHクライアントを開いたら、プライベートキーファイルを探します。キーが公開されていないことを確認するために、「chmod 400(選択したインスタンスのキー)」を入力しましょう。
パブリックDNSを使用してインスタンスに接続する際のコマンドは、「ssh-i [インスタンスキー]ec2-user@[パブリックDNS]」となります。コマンドを入力すれば、接続は完了です。
AWSでサーバーを構築するメリット
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AWSでは、必要に応じてリソースを迅速にスケーリングできます。トラフィックの増減に合わせてサーバーやストレージを簡単に拡張できるため、アプリケーションの成長に柔軟に対応が可能です。
複数のデータセンターを持つリージョンを提供しており、マルチアベイラビリティゾーン配置やリードレプリカなどの機能を活用することで、アプリケーションの高可用性と耐障害性を確保できるでしょう。
AWSでは、Amazon RDSやAmazon SQS、Amazon ElastiCacheなど、インフラストラクチャやアプリケーションの管理をAWSに任せることで、開発者はより効率的にアプリケーションの構築が可能です。
また、従量課金制を採用しており、必要なリソースのみを使用した分だけ料金が発生します。リザーブドインスタンスやスポットインスタンスなどの料金オプションを活用することで、コストを最適化できる可能性があります。
AWSでサーバーを構築する際の注意点
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AWSはセキュリティを重視しており、適切なセキュリティ設定が必要です。セキュリティグループやネットワークACLを適切に構成し、IAMロールやアクセスポリシーを使用してアクセスを制限しましょう。
データの重要性に応じて、適切なバックアップ戦略を設定することが大切です。Amazon RDSなどのマネージドサービスを利用する場合は、自動バックアップ機能を有効にすることが推奨されます。
また、AWSの料金体系は複雑なので、使いはじめは予算の把握が難しいです。リザーブドインスタンスやスポットインスタンスを活用することでコストを削減できますが、適切なリソースの選択と監視が重要です。
アプリケーションの予想されるトラフィックパターンに応じて、適切なスケーリング戦略を計画しましょう。Auto ScalingやElastic Load Balancingなどのサービスを活用して、負荷分散と自動スケーリングの実装が可能です。
初心者がAWSでサーバーを構築する前にすべきこと
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ここでは、初心者がAWSでサーバーを構築する前にすべきことを4つのステップに分けて解説します。
1. クラウドサービスとは何かを学ぶ
クラウドコンピューティングとは、インターネット経由でサーバー、ストレージ、データベース、ネットワーキング、ソフトウェアなどのコンピュータリソースを提供するサービスです。
物理的なハードウェアを所有・管理することなく、必要なリソースをオンデマンドで利用できます。
クラウドサービスの種類は、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)などがあります。
IaaSは、仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどのインフラストラクチャを提供するサービスです。
PaaSは、アプリケーションの開発、テスト、デプロイを行うためのプラットフォームを提供するサービスです。
SaaSは、完成されたソフトウェアアプリケーションをインターネット経由で提供するサービスのことを指します。
クラウドサービスを活用することで、初期投資が不要で、使用した分だけ課金されるメリットがあります。
リソースを動的にスケールアップまたはスケールダウンできるので、必要な分だけに課金して、コストの最適化につながるでしょう。
また、必要なリソースを迅速に展開・変更できるので、早期的なコストの最適を望んでいる場合に適しています。
AWSのようなクラウドサービスは、データの冗長化やバックアップが容易で、高可用性を提供します。
多層防御と高度なセキュリティ機能が利用でき、金融機関や政府機関などのシステムにも活用されているほど安全性が高いです。
2. AWSが何かを学ぶ
AWSを利用してサーバーを構築する前に、AWSが何であるかをしっかり学んでおくと、スムーズに構築を進められるでしょう。
AWSは、Amazonが提供する包括的なクラウドプラットフォームです。
幅広いサービスを提供しており、世界中のデータセンターを利用し、オンデマンドでリソースを提供しています。
AWSが何かを学ぶときは、仮想サーバーを提供するAmazon EC2や、スケーラブルなオブジェクトストレージサービスであるAmazon S3などの主要なサービスについても知っておくと良いでしょう。
AWSでは、リソースをオンデマンドで拡張・縮小できるので、必要な分のみのリソースに課金ができます。
初期投資が不要で使用した分だけ課金されるので、ほかのサーバー構築方法と比べるとハードルが低いです。
複数のリージョンとアベイラビリティゾーンにより、高い冗長性と耐障害性を提供しており、データの暗号化、アクセス制御、監査などの多層防御が可能です。
また、世界中のデータセンターにより、低レイテンシでサービスを提供しています。
3. AWS公式ハンズオンを実施する
AWS公式ハンズオンの実施などで実際に手を動かして学ぶことで、AWSの操作方法やサービスの使い方を深く理解できます。
AWS公式のハンズオンでは、具体的なシナリオを通じてAWSの各種サービスを学べるでしょう。
ハンズオンの実施では、無料利用枠を利用して、初めてのリソース作成や設定を試してみます。
AWSの公式サイトには、多くのチュートリアルやガイドが用意されているので、参考にしながら実際にサービスを使ってみると良いでしょう。
また、AWSが提供しているオンラインコースでは、Coursera、Udemy、edXなどのプラットフォームで提供されているAWSのハンズオンコースを受講できます。
4. AWS構築の現場に参加する
クラウドサービスやAWSなどについて知識を十分に得たら、AWSでサーバーを構築する現場に参加して、実際の作業を目にしたり体験したりすることが大切です。
理論的な知識やハンズオンでの経験を基に、実際のプロジェクトに参加することで、実践的なスキルを磨けるでしょう。
現場での経験は、問題解決能力や実践的な知識の向上にも役立ちます。
AWS構築の現場に参加する方法は、クラウドを利用する企業やプロジェクトに参加したり、GitHubなどのプラットフォームで公開されているAWSを利用したオープンソースプロジェクトに参加したりする方法などがあります。
また、AWS関連のコミュニティイベントなどに参加し、ほかの開発者と共同でプロジェクトを進める方法もあるでしょう。
サーバーを構築する方法や手順などが学べるだけではなく、IT業界の人脈が広がるチャンスにもなります。
AWSでサーバーを構築した後にすべきこと
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ここでは、AWSでサーバーを構築した後にすべきことを6つご紹介します。
1. サービスのテスト
構築したサーバーが意図した通りに動作しているか確認するため、まずはシステム全体の機能テストを行いましょう。
具体的には、クライアントやユーザーが期待通りにサーバーにアクセスできるか、インストールしたソフトウェアやアプリケーションが正常に動作するか、他のサービスやデータベースとの連携が正常かが確認項目です。
また、サービスのパフォーマンスを確認するために負荷テストを実施します。
AWSはスケーラブルなインフラを提供しているため、トラフィックやリクエストが増加した際にシステムがどのように反応するかを確認することが重要です。
サーバーが高負荷状態でどの程度リソースを消費するかをモニタリングし、必要に応じてインスタンスのスケールアップやスケールアウトがスムーズに行えるかをテストします。
2. 厳密な動作確認
インスタンス上で動作するアプリケーションの機能が、期待通りであるかを確認しましょう。
ブラウザやAPIクライアントからアクセスして、インスタンスがホストしているWebアプリケーションやAPIが正常に稼働しているか、データベースや外部サービスへの接続が正常かを確認します。
また、AWSでは、インスタンスへのアクセス制御やネットワーク設定が非常に重要です。
具体的には、インスタンスがアクセス可能なIPアドレスやポートを適切に制限しているか、設定したアクセス制御が機能しているか、意図しないアクセスがブロックされているかをテストします。
3. 障害の発生時の対応
障害が発生した場合、原因を迅速に特定することが重要です。
AWSが提供している豊富なログ機能や監視ツールを使って、障害の原因を解析しましょう。
また、障害の影響を評価することで、どの範囲に影響が及んでいるかを把握し、優先的に対応するリソースを決定します。
特定のサービスがダウンしている場合、例えばWebサーバーが応答しない、データベースに接続できないなど、どのサービスに影響が出ているのかを特定するのが重要です。
障害の原因を特定し、影響範囲を確認した後は、障害復旧手順に従って迅速に対応しましょう。
AWSには、冗長性を確保するための機能が組み込まれており、これらを活用することで障害からの迅速な復旧が可能です。
4. 機器バグ情報のトレース
AWSで利用するハードウェアやソフトウェアに関するバグや問題が発生した場合、AWSの公式サポートやフォーラム、リリースノートで関連する情報を確認しましょう。
AWSサポートは、サーバーで発生したハードウェアやソフトウェアの問題に対して、公式なバグ修正や回避策を提供しています。
AWS Health Dashboardでは、AWSインフラの問題が発生した場合のサービス状態や影響の追跡が可能です。
また、AWSのEC2インスタンスでハードウェアの問題が発生した場合、直接的な操作が難しいため、仮想環境におけるインスタンスの状態を監視しましょう。
5. OSなどのバージョンアップ
OSやソフトウェアの古いバージョンには、既知の脆弱性が存在している可能性があります。
定期的なアップデートを実施することで、これらの脆弱性を修正し、攻撃者からのリスクの軽減が可能です。
新しいバージョンのOSやソフトウェアには、パフォーマンスの最適化が含まれていることがあり、システムの効率を改善できます。
さらに、最新バージョンでは新しい機能や改善点が追加されることが多いため、業務効率を向上させるためにもバージョンアップを検討しましょう。
また、バージョンアップを実施する前に、バックアップの作成やテスト環境での検証、依存関係の確認など、いくつか準備するものがあります。
6. セキュリティ対策
AWSでは、IAMを使用して、ユーザーやグループ、ロールに対するアクセス権限を厳密に制御できます。
セキュリティ対策の基本は、最小権限の原則に基づいて、必要最小限のアクセス権を付与することです。
ユーザー管理では、IAMで各ユーザーを作成し、必要な権限を割り当てましょう。
管理者権限を持つユーザーは最小限にとどめ、運用担当者には必要な範囲の権限のみを付与します。
また、アクセス権限を細かく制御するために、適切なIAMポリシーを作成し、不要な権限を付与しないようにしましょう。
重要な操作を行うアカウントに対しては、MFAを有効にして、アカウント乗っ取りや不正アクセスのリスクを減らします。
AWSのサーバーの構築例
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ここでは、AWSのサーバーを実際に構築した企業を3社ご紹介します。
例1. 株式会社大林組
株式会社大林組は、国内の建設事業(建築・土木)を中心に、海外建設事業、エンジニアリング事業、開発事業、グリーンエネルギー事業、新領域ビジネスを世界規模で展開している企業です。
AWSを活用したクラウド解析ツール「PLATEAU Tools」を導入し、従来の解析時間を大幅に短縮し、解析効率を向上させたと報告されています。
データのダウンロード時間は200時間から5時間に短縮され、都市の風環境解析では最大640倍の高速化を実現しています。
サーバーレスのHTC解析は、眺望評価の処理を大幅に効率化しました。
AWS Lambdaを活用することで、GPUと同等の処理をCPUのみで実現しています。
さらに、AWS Step Functionsを用いた解析作業の全自動化により、解析時間が数分~数時間に短縮され、作業効率が向上しました。
現在、Web UIの開発を進め、今後は一般ユーザー向けにシミュレーションを拡張する予定です。
例2. 株式会社日立製作所
株式会社日立製作所の公共システム事業部は、官公庁、自治体、研究機関、教育機関、道路や消防分野など、公共セクターの顧客に対してITの観点からサポートする組織です。
AWSによって新しく再構築された材料データ分析環境は、国内外の化学メーカーの研究部門に利用され、順調に活用が進んでいます。
サーバーレス構成によりコスト最適化が実現し、GPUの利用で画像解析の時間が大幅に短縮されました。
アジャイル開発で新機能の提供も迅速になり、サービス品質が向上しています。
顧客からは実験効率の向上や、材料開発期間短縮によるDX支援の効果が実感されています。
今後は生成AIやグローバル展開、インフラのコード化を進め、さらに分析環境の進化が目標です。
例3. 日本ペイントホールディングス株式会社
日本ペイントホールディングス株式会社は、140年以上の歴史を持つ総合塗料メーカーとして、自動車、ビルや戸建て住宅をはじめ、橋梁などの大型構造物、新幹線、大型機械、船舶、オフィス用品など、幅広い分野で塗料の製造・販売を行っている企業です。
AWSへの移行により、リソースの柔軟性が向上し、パフォーマンスを維持しながら快適な環境を提供できるようになりました。
コスト最適化やセキュリティ向上も実現し、特にAWSの支援を受けたセキュリティ改善でスコアが向上しました。
AWSのサポートにより、技術習得やビジネス対応もスムーズに行えるようになり、グループのITインフラの構築や運用自動化、ビッグデータ活用に向けた取り組みが進行中です。
今後はAI/ML技術の活用やライフサイクル管理の改善も期待しています。
AWSの構築を外部委託するメリット
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ここでは、AWSの構築を外部委託するメリットを4つご紹介します。
1. 自社に人材がいなくても構築できる
AWSの構築には、専門的な知識とスキルが必要です。
特に、初めてクラウドサービスを利用する企業にとって、内部に適切な人材を確保することは難しい場合があります。
外部の専門家に委託することで、クラウドの専門知識を持ったプロフェッショナルに依頼できるため、スムーズに構築が進められるでしょう。
クラウド専門家のノウハウを活用すると、短期間でのシステム構築を実現できる可能性が高まります。
また、経験豊富な専門家による構築により、初期設定ミスやセキュリティの不備などのリスクを減らせるメリットがあります。
2. 人材の育成コストを削減できる
AWSの専門知識を持つ人材を内部で育成するには、時間とコストがかかってしまうでしょう。
外部委託することで、これらのコストを削減できる可能性があります。
具体的には、教育やトレーニングにかかる費用、学習期間中の生産性の低下を避けられます。
委託先の専門家は、既に必要なスキルと経験を持っているため、即戦力としてプロジェクトに取り組めるでしょう。
人材の育成過程を省けるので、AWSでのシステム構築を早期に進めたい場合は、外部委託がおすすめです。
3. メインとなる業務に集中できる
AWSの構築や管理には、多くの時間と労力がかかります。
外部に委託することで、社内のリソースをメインとなる業務に集中させられるでしょう。
ITインフラの管理にかかる時間を本来のビジネス活動に充てることで、全体の業務効率が向上する可能性があります。
また、自社のコアビジネスに専念でき、競争力を維持・強化できます。
専門性がアップする可能性があるので、AWSでのサーバー構築を進めながらも、ブランディングにも力を入れたい企業に外部委託がおすすめです。
4. 運用まで任せられるケースがある
多くの外部委託サービスプロバイダーは、AWSの構築だけでなく、その後の運用・管理も提供しているケースがあります。
これにより、システムの継続的な運用と最適化を専門家に任せられるでしょう。
システムの監視・メンテナンス・アップデートなど、運用に関する全てを委託できるため、安心してシステムを運用できます。
また、専門家による運用管理により、システムのパフォーマンスとセキュリティが最適化されます。
運用中にトラブルが起こっても、24時間体制の企業に運用を任せることで、時間帯に関係なくすぐ対応してもらえるでしょう。
AWSの構築を外部委託する時のポイント
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ここでは、AWSの構築を外部委託する時のポイントを3つご紹介します。
1. 実績があるか
外部委託先の選定において、その企業やプロフェッショナルの過去の実績を確認することは非常に重要です。
実績が豊富な企業は、さまざまなプロジェクトでの経験を持っており、予測不能な問題にも柔軟に対応できる能力を持っているといえるでしょう。
実績があるかを確認する際、企業の公式サイトの情報を閲覧したり、直接問い合わせたりすると良いでしょう。
また、AWSの公式パートナー認定や、担当者がAWS認定資格などを持っているかを確認することもポイントです。
2. スムーズにコミュニケーションが取れるか
プロジェクトの成功には、委託先との円滑なコミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーションの質が低いと、要求が正確に伝わらず、期待通りの成果が得られないリスクがあります。
初回のミーティングで、委託先がこちらのニーズを正確に理解し、適切に対応しているかを確認してみましょう。
また、メール、チャット、ビデオ会議などの使用するコミュニケーションツールがスムーズに利用できるかも確認することが大切です。
担当者の応対やレスポンスの速さを確認し、信頼できるかどうかも判断すると良いでしょう。
3. 見積もりが明瞭であるか
見積もりが明瞭でない場合、予算を超える追加費用が発生するリスクがあります。
見積もりが透明で、すべての費用項目が明示されているかを確認することが重要です。
見積書をもらった際、構築費用、運用費用、追加サポート費用などのすべての費用項目が明示されているかを確認しましょう。
提示された価格が市場の相場と比較して妥当かを確認するために、複数の企業から見積もりを取ることがポイントです。
また、契約書に記載された内容が見積もりと一致しているか、また追加費用が発生する可能性があるかも確認しておきましょう。
AWSの構築の外部委託に適しているケース
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ここでは、AWSの構築の外部委託に適しているケースを4つご紹介します。
ケース1. IT人材リソースが限られている
AWSを適切に構築・運用するためには、クラウドインフラに関する高度な知識と経験が必要です。
これには、VPCの設計やセキュリティ設定、ネットワーク設計、インスタンス管理、スケーラビリティを確保するための自動化手法などが含まれます。
社内にこれらのスキルを持つスタッフがいない場合、外部のAWS専門家に依頼することで、迅速かつ高品質なインフラ構築が可能です。
また、限られたITリソースの中で、AWSの導入や構築に時間を取られることは、他の重要な業務に支障をきたす恐れがあります。
外部に委託すると、社内のITチームは日常的な業務や既存システムの運用に専念でき、効率よくリソースを活用できます。
ケース2. 新規採用や育成にかけられるリソースがない
AWSのインフラ構築には高度な専門知識と経験が必要です。
特に、AWSのベストプラクティスや最適な設計を理解している人材を新たに採用する場合、採用プロセスや教育に時間とコストがかかります。
外部のAWS専門業者は、既に豊富な経験を持っており、即戦力として迅速に作業に取り掛かることができます。
また、新たに人材を育成する場合、AWSの構築に関する知識を学ぶために時間をかけなければいけません。
特に、クラウドインフラの構築や運用には最新の情報や技術を取り入れることが求められるため、自己学習だけでは追いつかないケースもあります。
外部委託することで、必要なスキルを持つ専門家に依頼し、短期間で質の高い構築作業を行ってもらえます。
ケース3. 自社業務に集中したい
AWSのインフラ構築には、クラウド設計やネットワーク設定、セキュリティ対策、スケーラビリティの確保など、専門的な知識と技術が必要です。
自社で行うには多くの時間とリソースが必要ですが、外部の専門業者に委託すると、これらの作業を迅速かつ高品質に進められます、
その結果、自社の他の業務やプロジェクトに注力することができ、リソースの無駄を省けます。
AWSの構築は、企業のITインフラの一部であり重要ではありますが、直接的にコアビジネスの進行に影響を与えるわけではない場合があります。
自社のコア業務に集中するためには、ITインフラの構築を専門家に任せ、その分のリソースを自社業務に振り向けることが有効です。
例えば、開発やマーケティング、営業など、企業が成長するための戦略的な活動に集中できるようになります。
ケース4. 構築後の監視・運用まで任せたい
AWS環境では、24時間体制での監視が求められることがあります。
サーバーの稼働状況、ネットワークのトラフィック、セキュリティインシデントの検出、リソースの使用状況などを常に監視しなければいけません。
外部委託先が提供する監視サービスを利用することで、専任のチームが問題を早期に検出し、迅速に対応してくれるので、システムのダウンタイムや障害による影響を最小限に抑えられます。
また、AWSの運用には、単にサーバーを動かすだけでなく、セキュリティパッチの適用、バックアップの実施、リソースの最適化、スケーリング設定など、さまざまな運用業務が含まれます。
これらの作業を専門家に任せると、最新の技術やベストプラクティスに基づいた運用が可能です。
まとめ
AWSの構築手順としては、AWSアカウントの取得からVPCの作成、EC2インスタンスの作成、SSHを使った接続までが挙げられます。
メリットとしては、柔軟性とスケーラビリティ、高可用性と耐障害性、マネージドサービスの利用、セキュリティ、コスト効率などがあります。
一方で、セキュリティ設定やデータバックアップ、コスト管理、適切なリージョンの選択などに注意する必要があります。
AWSを使ってサーバーを構築する際は、これらのポイントを考慮し、効果的な運用を行いましょう。