【初心者向け】AWSとは?使い方や導入手順を解説
AWS(Amazon Web Services)を導入しようか考えている場合は、事前に使い方を確認しておくと良いでしょう。
本記事では、AWSの使い方について、代表的なサービスの紹介をはじめ、利用するメリットをご紹介します。
そのほか、利用する際の注意点や導入方法もお伝えするので、AWSの利用を検討している場合はぜひ参考にしてください。
目次
AWSとは?
AWSは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。AWSは、インフラストラクチャーサービス(IaaS)、プラットフォームサービス(PaaS)、ソフトウェアサービス(SaaS)などのさまざまなクラウドサービスを提供しています。
ユーザーは、必要なコンピューティングリソースを柔軟かつ効率的に利用することが可能です。
AWSは、企業や個人がインフラストラクチャーの構築、運用、スケーリングを容易にするための幅広いサービスを提供しており、世界中の多くの企業や組織がAWSを利用しています。
AWSの代表的なサービス
AWSは、200種類を超えるさまざまなサービスを提供しています。
ここでは、数あるサービスのなかから、AWSの代表的なサービスを6つご紹介します。
1. EC2
EC2は、仮想化技術を利用して、ユーザーに仮想サーバー(インスタンス)を提供するサービスです。活用することで、ユーザーは必要な計算リソースを柔軟に利用できます。
EC2では、さまざまなインスタンスタイプが提供されています。異なるCPU、メモリ、ストレージ、ネットワーキングなどの性能や構成があり、自身のアプリケーションやワークロードに適したインスタンスタイプを選択することが可能です。
また、EC2は、需要に応じてインスタンスの数やタイプを簡単にスケーリングできるため、ユーザーはビジネスの成長や変化する需要に迅速に対応できます。たとえば、必要に応じてインスタンスの起動や停止、変更を行えます。
EC2は、仮想プライベートクラウド内で実行されるため、セキュリティとプライバシーが重視されています。ユーザーは、セキュリティグループやネットワークアクセス制御リストなどの機能を使用して、インスタンスへのアクセスを制御することが可能です。
2. S3
S3は、データをオブジェクトとして保存するストレージサービスです。ファイルやデータをバケット(Bucket)と呼ばれるストレージコンテナに格納し、HTTP経由でアクセスできます。
AWSのインフラストラクチャーの一部として提供されており、スケーラビリティと耐久性が高い特徴を持ちます。データは複数のアベイラビリティーゾーンに分散され、冗長化されるため、高い可用性と信頼性が確保されるでしょう。
また、データのセキュリティとプライバシーを重視しており、さまざまなセキュリティ機能を提供しています。これには、データの暗号化、アクセス制御ポリシー、バケットポリシー、IAM(Identity and Access Management)ロールなどが含まれます。
3. RDS
RDSは、主要なリレーショナルデータベースエンジンを使用して、マネージドデータベースサービスを提供するサービスです。活用することで、ユーザーはリレーショナルデータベースを簡単に設定、運用、スケーリングできます。
また、自動バックアップ機能を提供し、データの保護と復旧をサポートする役割があります。マルチAZ(Availability Zone)構成を使用すると、データベースの高可用性を確保し、システムの耐久性を向上させられるでしょう。
RDSは、データベースのセキュリティとコンプライアンスを強化するためのさまざまな機能を提供しています。具体的には、データの暗号化、アクセス制御、監査ログの記録などが含まれます。
4. IAM
IAMは、ユーザーアカウントやグループを作成し、AWSリソースへのアクセス権限を管理できるサービスです。ユーザーごとに必要な権限を設定し、最小特権の原則に基づいてアクセスを制御できます。
IAMでは、ポリシーと呼ばれるJSON形式のドキュメントを使用して、アクセス権限を定義します。これにより、特定のユーザーやグループに対して、特定のAWSリソースや操作に対するアクセス権を精密に制御することが可能です。
また、IAMでは、マルチファクタ認証(MFA)を設定できます。ユーザーがログイン時に追加の認証要素を提供する必要があり、セキュリティを強化できるでしょう。
5. CloudFront
CloudFrontは、世界中に配置されたエッジロケーションを利用して、コンテンツを最も近いユーザーに高速に提供するサービスです。ユーザーの体験を向上させ、ロード時間を短縮する効果が期待できます。
CloudFrontは、AWSのグローバルインフラストラクチャーを活用して、スケーラビリティと耐久性が高い特徴を持ちます。大規模なトラフィックにも柔軟に対応し、高い可用性を提供します。
また、データの暗号化、SSL/TLSのサポート、アクセス制御などのセキュリティ機能を提供しています。AWS WAF(Web Application Firewall)と統合して、アプリケーションのセキュリティを強化することも可能です。
6. Lambda
Lambdaは、イベントに応じてコードを実行するサービスです。必要なときにのみコンピューティングリソースを使用し、アプリケーションのリアルタイムな処理を実現できます。
インフラストラクチャーの管理やスケーリングをユーザーが行う必要がないため、サーバーレスアーキテクチャの実現を可能にします。ユーザーは、コードをデプロイして実行するだけであり、サーバーのプロビジョニングや管理は不要です。
また、Lambdaは、多くのプログラミング言語をサポートしています。そのため、ユーザーは、好きな言語で関数を記述し、Lambdaで実行できるでしょう。
AWSを利用するメリット
ここでは、AWSを利用するメリットを4つご紹介します。
1. コスト削減につながる
AWSは、多くのサービスで従量制の課金モデルを採用しています。実際に使用したリソースに対してのみ課金されるため、不要なリソースを使用しない限り、無駄なコストを削減できます。
AWSでは、需要に応じてインフラストラクチャーを柔軟にスケーリングが可能です。たとえば、EC2インスタンスやデータベースのサイズを自動的に増減させることで、需要の変動に合わせてコストを最適化できるでしょう。
また、マネージドサービスを多数提供しており、インフラストラクチャーの運用や管理作業をAWS側が行います。その結果、システム管理やパッチ管理などの作業にかかる人件費や時間を削減できる可能性が高まります。
2. 最新のセキュリティを利用できる
AWSは、世界中で信頼されるセキュリティ機能を提供しています。これには、データの暗号化、ネットワークセグメンテーション、アクセス制御、DDoS対策などが含まれます。
AWSは、ハードウェアおよびソフトウェアのセキュリティパッチを自動的に適用できます。そのため、セキュリティの脆弱性が発見された場合でも、AWSは迅速に対応し、セキュリティのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
3. 拡張性が高い
AWSでは、需要の変化やビジネスの成長に応じて、リソースを柔軟にスケーリングできます。たとえば、EC2インスタンスの数を増減させたり、データベースの容量を変更したりすることが可能です。
AWSでは、インフラストラクチャーをコードで定義し、自動化することができます。リソースの作成・設定・管理を自動化することで、継続的なデプロイメントやスケーリングを容易に行えるようになるでしょう。
また、AWS CloudFormationやTerraformなどのツールを使用することで、インフラストラクチャーの変更を追跡し管理できます。
4. 管理・運用の負担を抑えられる
AWSが提供している多くのマネージドサービスは、AWSがインフラストラクチャーの管理や運用を行うため、ユーザーはアプリケーションの開発やビジネスに集中できるでしょう。
たとえば、RDSやElastiCacheなどのデータベースサービスを利用すると、データベースの設定やメンテナンスをAWSによって自動的に行われます。
AWSでは、インフラストラクチャーをコードで定義し自動化できます。そのため、リソースの作成・設定・管理を自動化し、人的ミスを防げるだけではなく、変更管理や環境の再現性も向上するでしょう。
AWSを利用する際の注意点
ここでは、AWSを利用する際の注意点を3つご紹介します。
1. コストを予測しにくい
AWSは、多くのサービスで従量制の課金モデルを採用しています。実際に使用したリソースに対してのみ課金されるため、利用状況やトラフィック量に応じてコストが変動し、事前にコストを予測することが難しいです。
それぞれのAWSサービスには異なる料金体系があり、どのサービスをどの程度利用するかによって、コストが大きく変わります。新しいサービスや機能が追加されることもあり、その影響を考慮する必要があるでしょう。
2. ノウハウや知識が必要である
AWSが提供しているサービスには、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、セキュリティ、人工知能、機械学習などが含まれます。それぞれのサービスや機能について理解し、最適な選択や設定を行うためには、豊富な知識や経験が必要です。
AWSを安全に利用するためには、セキュリティのベストプラクティスを遵守する必要があります。AWSのサービスや機能を正しく設定し、セキュリティに関するリスクを最小限に抑えることが重要です。
3. 特定の用途に対してのカスタマイズ性が低い
AWSを利用するとき、特定のEC2インスタンスタイプやストレージタイプ、ネットワーキング構成などに依存する傾向にあります。
特定のリージョンでのみ利用可能な機能や、一部のサービスでのみ提供される機能などが挙げられます。そのため、特定の要件やニーズに対応するための柔軟性が制限される可能性があるでしょう。
例えば、EC2ではインスタンスタイプが決められたものからしか選ぶことができません。
具体的には、CPUやグラフィックボードを特定のメーカーや製品のものにしたい、などという要望には応えられないケースがあります。
AWSの導入手順
ここでは、AWSの導入手順を5つのステップに分けてご紹介します。
すでにAWSアカウントを所有していることを前提で手順をお伝えするので参考にしてください。
1. コンソールにログインする
AWSの管理コンソールにアクセスし、ログインします。
ログインする際、AWSアカウントに関連付けられたユーザー名とパスワードを使用します。または、IAMユーザーアカウントや一時的なセキュリティ認証情報を使用してログインすることも可能です。
2. インスタンスを作成する
EC2のようなAWSサービスを使用して、インスタンスを作成して起動します。
このとき、インスタンスのタイプ、AMI・インスタンスのサイズ・ストレージの設定などを選択する必要があります。
3. インスタンスを設定する
インスタンスが起動されたら、必要に応じてセキュリティグループ・ネットワーク設定・IAMロールなどの追加設定を行います。これにより、インスタンスのセキュリティやアクセス制御を設定できます。
4. インスタンスに接続する
インスタンスにSSHやRDPなどのリモート接続ツールを使用してアクセスし、必要な設定やアプリケーションのインストール、データの転送などを行います。
また、AWS Systems ManagerやAWS CLIなどのツールを使用して、リモートでインスタンスを管理することも可能です。
5. インスタンスを終了する
インスタンスを使用し終えたら、不要な課金を避けるためにインスタンスを終了します。
このときは、EC2コンソールやAWS CLIなどのツールを使用してインスタンスを停止および削除すると良いでしょう。
まとめ
AWSを利用することで、コスト削減や高度なセキュリティ、柔軟な拡張性、管理・運用の負担軽減などのメリットが得られる可能性があります。
ただし、コストの予測が難しい、専門知識が必要である、オンプレミスに比べて柔軟性に欠けるなどの注意点もあります。
メリットだけではなく、注意点も把握したうえでAWSの利用を検討すると良いでしょう。
また、本記事でご紹介した導入手順を事前に確認しておくことで、スムーズに導入できるでしょう。