システムのセキュリティ対策9選|おすすめのツールを紹介
システムセキュリティとは、システムを不正アクセスや攻撃などから守ることを指します。
本記事では、システムセキュリティ対策を行うべき理由や、具体的な対策方法をご紹介します。
そのほか、システムセキュリティ対策におすすめのツールもお伝えするので、対策を考えている場合はぜひ参考にしてください。
目次
システムセキュリティとは?
システムセキュリティとは、情報システムを不正アクセス・攻撃・損傷・データ漏洩などから保護し、システムの機密性・完全性・可用性を確保するための一連の対策や手段のことです。
システムセキュリティは、個人情報や機密情報を守るため、またシステムの安定した運用を維持するために非常に重要です。
システムセキュリティ対策を行うべき理由
ここでは、システムセキュリティ対策を行うべき理由を3つご紹介します。
1. 情報資産を保護するため
企業や組織にとって、情報資産は物理的な資産と同等かそれ以上に重要な資源です。
具体的な情報資産とは、個人情報や購買履歴などの顧客情報、技術的なノウハウ・特許・製品設計図などの競争優位を支える知的財産、財務データ・戦略計画・マーケティングデータなどの経営情報です。
情報資産が漏洩すると、企業の競争力が低下するだけでなく、顧客や取引先からの信頼も失われます。システムセキュリティ対策は、これらの情報漏洩を防止するために不可欠です。
また、情報漏洩は外部からの攻撃だけでなく、内部の従業員による不正からも発生します。システムセキュリティ対策は、内部不正を防止するためにも重要です。
2. 業務を継続させるため
企業や組織が提供するサービスの安定性は、顧客満足度や事業の継続性に直接影響します。システムセキュリティ対策を講じることで、システム障害やネットワークの不安定などのリスクを軽減し、サービスの安定提供を支えます。
業務の遂行には、顧客データや業務データなど、多くの重要な情報が関わっています。これらのデータが損失・改ざんされると、業務の継続が困難になるでしょう。
また、システムがダウンすると、業務の停止に繋がり、企業の生産性や収益に重大な影響を与えます。セキュリティ対策は、こうしたダウンタイムを最小限に抑えるために不可欠です。
しかし、定期的なデータバックアップを行うことで、データ損失時の迅速な復旧が可能になります。重要データを暗号化することで、情報漏洩が発生しても悪用を防ぐことが可能です。
3. 社会的な信用を維持するため
企業や組織にとって、顧客や取引先からの信頼は事業の成功に欠かせない要素です。
たとえば、顧客の個人情報や機密データが安全に保護されることで、顧客は安心してサービスを利用できます。サイバー攻撃やシステム障害によるサービス停止を防ぐことで、顧客に対して安定したサービス提供を約束できるでしょう。
サイバー攻撃やデータ漏洩が発生すると、メディアやSNSを通じてその情報が瞬く間に広がり、企業のブランドイメージに大きなダメージを与えます。適切なセキュリティ対策を講じることで、このようなリスクを低減できるでしょう。
システムのセキュリティ対策
ここでは、システムのセキュリティ対策を9つご紹介します。
1. ソフトウェアのアップデートを怠らない
ソフトウェアのアップデートを怠らないことは、システムのセキュリティを維持し、悪意ある攻撃から保護するために非常に重要です。
アップデートには、セキュリティの脆弱性が修正されるパッチが含まれており、悪意ある攻撃からシステムを保護します。新しいアップデートには、より強力なセキュリティ機能が追加される場合があります。
また、アップデートにより、バグの修正やパフォーマンスの最適化が行われ、ソフトウェアの安定性が向上します。新しい機能や機能の改善が含まれる場合があるので、ユーザーエクスペリエンスを向上させるでしょう。
ソフトウェアのアップデートは、公式サイトや公式アプリストアからのみダウンロードしましょう。これにより、不正なソフトウェアのインストールを防げる可能性が高まります。
2. ウイルス対策を行う
ウイルス対策は、コンピュータシステムのセキュリティを維持する上で非常に重要な一環です。ウイルスは悪意あるソフトウェアであり、コンピュータシステムやデータに被害を与える可能性があります。
ウイルス対策は、ウイルス感染により機密情報が漏洩するリスクを軽減します。ウイルスがデータを破壊、または改ざんする可能性も防げるでしょう。
また、ウイルス感染によるシステムのクラッシュやフリーズを防ぎ、システムの安定性を維持します。ウイルス感染によるシステムの停止やサービス提供の中断を防止できます。
ウイルス感染による被害を最小限に抑えることで、ユーザーの信頼を維持します。セキュリティ対策が十分であることを示すと、顧客や利用者に対するサービスの品質の向上にもつながるでしょう。
3. パスワード設定・管理を徹底する
パスワードは、ユーザーを識別するための基本的な手段であり、強固なパスワードを設定することで不正アクセスを防止します。システムへのアクセスを制御する最初の防衛ラインであり、簡単に推測されるような単純なパスワードは簡単に突破されます。
パスワードは、8文字以上の長さで、大文字・小文字・数字・特殊文字を組み合わせた複雑なものがおすすめです。同じパスワードを複数のアカウントで使用しないようにし、各アカウントに対して一意のパスワードを設定しましょう。
パスワードマネージャーを使用して、強力で一意なパスワードを生成・保存し、自動的に入力することでセキュリティを向上させます。定期的にパスワードを変更し、セキュリティを維持します。特に、重要なアカウントや機密情報へのアクセスには頻繁な変更が必要です。
4. ファイル共有機能を解除する
ファイル共有機能は便利ですが、適切に管理されていないと、機密情報や個人情報が漏洩するリスクがあります。
たとえば、ネットワーク内でファイル共有が有効になっていると、攻撃者がネットワークに侵入し、共有フォルダにアクセスするリスクがあります。組織内の従業員が意図せず機密情報を共有することで、内部の不正行為や情報漏洩が発生する可能性があるでしょう。
ファイル共有の設定が誤っていると、意図しない相手とデータを共有してしまう可能性があります。適切なアクセス制限がないと、必要のない人が機密情報にアクセスできる状態になります。
5. 廃棄前にデータを完全に消去する
ハードディスクやSSDなどの記憶装置に保存されたデータは、適切に消去しないと第三者によって復元され、不正利用される可能性があります。
企業の機密情報や顧客の個人情報が外部に流出し、経済的損失や信用失墜につながってしまいます。従業員や顧客の個人情報が悪意ある第三者に悪用されると、詐欺や個人のプライバシー侵害が発生するでしょう。
また、中古機器の販売やリサイクルにおいて、データが残っていると新たな所有者によって復元される可能性があり、情報漏洩のリスクが高まります。
6. 個人情報の取り扱いに注意する
個人情報は、悪意ある攻撃者にとって貴重な標的であり、適切な取り扱いを怠ると重大なセキュリティインシデントにつながります。
個人情報が保存されているシステムに不正アクセスされると、情報が盗まれたり悪用されたりするおそれがあります。誤った取り扱いや不十分なセキュリティ対策によって個人情報が流出し、企業や個人に多大な損害を与えることもあるでしょう。
また、攻撃者が個人情報を利用してフィッシングメールを送り、さらなる情報や金銭を詐取するケースがあります。個人情報の漏洩は、法令に違反する場合があり、企業は罰則や賠償責任を負うことがあります。
7. 電子メールを不用意に開封しない
電子メールは、多くの企業や個人にとって主要なコミュニケーション手段ですが、その分、攻撃者にとっても侵入の手段として利用されやすいです。
電子メールを不用意に開封することで、さまざまなリスクが生じます。
たとえば、攻撃者は見慣れた企業やサービスを装ってメールを送り、受信者に偽のリンクをクリックさせ、個人情報や認証情報を入力させようとするケースがあります。
メールに添付されたファイルやリンクをクリックすると、マルウェアやランサムウェアがダウンロードされ、システムに感染する場合もあるでしょう。
そのほか、特定の個人や組織を狙った高度なフィッシング攻撃で、標的の個人情報や機密情報を狙う攻撃もあります。経営者や取引先を装って送られるメールは、金銭や機密情報を騙し取ることを目的としているケースがあるので注意しましょう。
8. Webブラウザの設定を見直す
Webブラウザは多くのサイバー攻撃の入り口となるため、適切な設定を行うことでセキュリティを強化し、個人情報や機密データを守ることができます。
Webブラウザには、さまざまなセキュリティリスクが存在します。
たとえば、悪意のあるサイトがユーザーを騙し、個人情報やクレジットカード情報を盗むケースがあります。また、悪意のあるWebサイトを訪問すると、マルウェアが自動的にダウンロードされ、システムに感染する可能性もあるでしょう。
Webブラウザを常に最新のバージョンに保つことで、既知の脆弱性を修正し、セキュリティを強化します。Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Safariなどの主要なブラウザでは、自動更新機能が備わっています。
また、インストールされている拡張機能やプラグインを定期的に見直し、不要なものや信頼できないものは無効にするか削除しましょう。悪意のある拡張機能は、セキュリティリスクを引き起こす可能性があります。
9. 安全な無線LANを利用する
無線LANは便利で柔軟性の高い通信手段ですが、適切なセキュリティ対策を講じないと、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まります。
無線通信は電波を使用するため、適切な暗号化を行わないと第三者に通信内容を傍受される可能性があります。セキュリティ設定が不十分だと、悪意のある第三者がネットワークに不正にアクセスし、データの盗難やシステムの改ざんを行う可能性があります。
また、最新の無線LANセキュリティプロトコルであるWPA3を使用することで、強力な暗号化を実現します。WPA2も依然として広く使用されていますが、可能であればWPA3を採用することが推奨されます。
無線LANのパスワードは、長くて複雑なものを設定し、推測されにくくすることがポイントです。英数字や記号を組み合わせることで、より強度を高めます。
システムセキュリティ対策におすすめのツール
ここでは、システムセキュリティ対策におすすめのツールを3つご紹介します。
1. サンドボックス
サンドボックスは、コンピュータやネットワークのセキュリティ対策において重要な役割を果たすツールです。
アプリケーションやプログラムを実行する際に、その動作を制限された閉じられた環境で実行する仕組みとなっています。これにより、悪意のあるプログラムやファイルがシステム全体に影響を及ぼすことを防ぎ、セキュリティを強化します。
サンドボックスは、新しいソフトウェアやファイルのテストを安全に行うための環境を提供します。悪意のあるファイルやプログラムがシステムに影響を及ぼすことなく、安全にテストが可能です。
また、サンドボックスは、セキュリティの脆弱性や不正行為を検出するためのテスト環境として活用されます。マルウェアや悪意のあるプログラムの解析にも活用されるので、マルウェアの動作や挙動を安全に調査し、対策を研究することが可能です。
2. WAF
WAF(Web Application Firewall)は、WebアプリケーションやWebサーバーを保護するためのセキュリティ対策ツールです。
WAFは、Webトラフィックを監視し、悪意のある攻撃や不正アクセスを検出し、ブロックすることで、Webアプリケーションのセキュリティを強化します。
SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、クロスサイトリクエストフォージェリなどの一般的なWeb攻撃を検出し、攻撃を防止します。リアルタイムでWebトラフィックを監視し、不正なアクセスや攻撃を即座にブロックする仕組みです。
また、DDoS攻撃などの過剰なリクエストを検出し、遮断することでWebサーバーを保護します。不正なトラフィックやボットネットからのアクセスをブロックすることで、Webサーバーを保護します。
3. ファイアウォール
ファイアウォールは、ネットワークやシステムを保護するための重要なセキュリティ対策ツールです。ファイアウォールは、ネットワーク上の通信を監視し、許可された通信のみを通過させ、不正なアクセスや攻撃をブロックする役割を果たします。
ファイアウォールは、不正なアクセスや不正な通信をブロックすることで、ネットワークのセキュリティを強化します。インターネットからの不正アクセスや攻撃から内部ネットワークを保護する効果が期待できます。
ファイアウォールは、事前に設定されたポリシーに基づいて、許可された通信のみを許可します。また、深層パケットインスペクション(DPI)などの技術を使用して、アプリケーションレベルで通信を制御することが可能です。
まとめ
システムセキュリティは、情報資産を保護し、業務を継続させ、社会的な信用を維持するための重要な取り組みです。そのためには、ソフトウェアのアップデートやウイルス対策、パスワードの徹底管理などのセキュリティ対策が不可欠です。
さらに、ファイル共有機能の解除やデータの完全消去、個人情報の適切な取り扱い、電子メールの慎重な開封、Webブラウザの設定見直し、安全な無線LANの利用も重要です。
これらの対策に加えて、サンドボックス、WAF、ファイアウォールなどのセキュリティツールの活用も推奨されます。対策とツールを組み合わせて、システムセキュリティを強化し、機密性や可用性を確保することが重要です。