AWS Backupとは?料金体系や利用するメリット・注意点を紹介
AWS Backupとは、AWS(Amazon Web Services)が提供するバックアップサービスです。
本記事では、AWS Backupの料金体系をはじめ、このサービスでできることをご紹介します。
記事終盤では、AWS Backupを利用するメリットもお伝えするので、利用を考えている場合はぜひ参考にしてください。
AWS Backupとは?
AWS Backupは、AWSが提供するマネージドバックアップサービスです。
AWS Backupは、さまざまなAWSサービスのデータを統合的にバックアップし、一元管理できるように設計されています。
バックアップスケジュールや保持期間などのポリシーを設定し、自動化されたバックアッププロセスを実現します。手動でのバックアップ作業を減らし、システムの可用性とデータの保護を強化できるでしょう。
バックアップされたデータを素早くリカバリしたり、他のAWSリソースに復元したりするための柔軟なオプションを提供します。例えば、特定の時点のデータを復元したり、異なるAWSリージョンにデータを複製したりすることが可能です。
AWS Backupの料金体系
ここでは、AWS Backupの料金体系について、3つの項目に分けて解説します。
バックアップストレージ
AWS Backupにおけるバックアップストレージの料金体系は、使用するバックアップ保管庫の容量と、そのデータの保持期間に基づいて請求されます。
バックアップ保管庫は、AWSのインフラストラクチャ内に保存されるバックアップデータのための専用のストレージ領域です。このストレージの使用量に応じて料金が発生します。料金はGB単位で計算され、月ごとの使用量に基づいて請求されます。
データのバックアップ保持期間が長期間にわたる場合、そのデータが占有するストレージ容量に応じた料金が発生するといえるでしょう。AWS Backupでは、バックアップポリシーに基づいてデータの保持期間を管理し、必要に応じて自動的に古いバックアップを削除することが可能です。
また、バックアップストレージの容量は、必要に応じてスケーリング可能であり、実際に使用した容量に対してのみ料金が発生します。従量課金制を採用しており、データのバックアップ量が増減した場合に自動的に課金額も調整されるでしょう。
復元テスト
復元テストを実行する場合、実際の復元と同様にデータを復元する手順が発生し、そのために追加料金が発生します。この料金はAWSのリソースを利用する時間に基づいて計算されます。
復元テストの具体的な料金は、復元に使用するAWSリソースの種類と使用時間によって異なります。また、テストの頻度や復元されるデータ量によっても料金が変動します。
クロスリージョンのデータ転送
AWS Backupにおけるクロスリージョンのデータ転送は、AWSの標準的なデータ転送料金が適用されます。
転送されるデータ量に応じて計算され、送信されたデータと受信されたデータの両方について、それぞれのリージョンの料金が発生するでしょう。
また、データの送信量と受信量に応じて、それぞれのAWSリージョンのデータ転送料金が適用されます。送信データと受信データの合計が請求対象となるので、把握しておきましょう。
AWS Backupでできること
ここでは、AWS Backupでできることを9つご紹介します。
1. AWSタグによるバックアップポリシーの割り当て
AWSタグは、EC2インスタンス、RDSデータベース、S3バケットなどのAWSリソースにユーザーが定義できるキーバリューペアのメタデータです。
タグを使用することで、リソースを論理的にグループ化し、検索、監視、コスト配分などを容易にできます。
また、タグに基づいてバックアップポリシーを定義し、複数のリソースに対して一括で適用が可能です。手動でポリシーを設定する手間を省き、一貫性のあるバックアップ戦略を確保します。
2. ライフサイクル管理ポリシーの設定
AWS Backupにおけるライフサイクル管理ポリシーは、データのバックアップやアーカイブの期間、保存先、削除時の動作などを定義するルールです。データのライフサイクル全体を管理し、コストを最適化することが可能です。
ライフサイクル管理ポリシーを使用すると、定期的なバックアップのスケジュールや保持期間を自動化できます。例えば、毎日のバックアップを30日間保持するなどのルールの設定が可能です。
ライフサイクルポリシーを使用すると、古いバックアップデータを自動的にアーカイブしたり、長期保存できます。これにより、コンプライアンスや法的要件に対応したデータを保持できるでしょう。
3. リージョン間のバックアップ
AWS Backupを使用すると、同一AWSアカウント内の異なるリージョン間でデータのバックアップを簡単に設定できます。これにより、特定のリージョンで発生した災害や障害の影響を最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保できるでしょう。
複数のAWSリージョンにデータのバックアップを配置すると、地理的な冗長性を確保できます。例えば、本番環境のデータをプライマリリージョンとして保持し、災害が発生した場合にセカンダリリージョンからすぐに復旧できる状態を維持します。
4. アカウント間バックアップ
AWS Backupを使用すると、同一AWSアカウント内でなく、異なるAWSアカウント間でのデータのバックアップとリカバリの設定が可能です。これにより、異なる組織、部門、または関連するAWSアカウント間でデータの保護と管理を効果的に行えるでしょう。
AWS Backupを使用することで、異なるAWSアカウント間でのバックアップポリシーを一元管理できます。組織全体のデータ保護戦略を統合し、データの可用性と完全性を確保するでしょう。
また、データバックアップにおけるセキュリティやアクセス管理を、AWS IAMを用いて厳密に制御できます。必要に応じて、異なるAWSアカウント間でのアクセス権限を設定し、データの保護を強化します。
5. AWS Backup Audit Managerによる監査・レポート作成
AWS Backup Audit Managerは、AWSリソースのバックアップと復旧の状態を監査し、コンプライアンス基準や内部ポリシーに従ったレポートを作成するためのマネージドサービスです。
AWS Backup Audit Managerを使用して、特定の監査ルールを定義し、AWSリソースのバックアップと復旧の状態を評価します。例えば、特定のリソースが適切にバックアップされているかどうかを確認するルールの設定が可能です。
監査マネージャーは、AWSサービスのベストプラクティスや業界の規制基準に準拠するように設計されています。これにより、セキュリティとコンプライアンスの要件を満たし、内部ポリシーに従ってデータ保護を確保できるでしょう。
6. 増分バックアップ
増分バックアップは、最初の完全バックアップ後に変更されたデータのみをバックアップする方法です。
完全バックアップは、全てのデータを対象として初回に行われ、その後のバックアップでは変更された部分だけが記録されます。これにより、バックアップの時間とリソースを節約し、ストレージの使用量を最適化します。
増分バックアップは、初回の完全バックアップ後に行われるため、変更されたデータのみが対象となります。その結果、バックアップの実行時間やストレージコストを削減できるでしょう。
7. フルAWS Backup管理機能
AWS Backupは、さまざまなAWSサービスに対応した統合バックアップソリューションを提供します。EC2、RDS、EFS、DynamoDBなど、AWSが提供する主要なサービスに対して一元管理でバックアップポリシーを設定できます。
AWS Backupでは、ポリシーベースの管理を通じて、複数のリソースにわたるバックアップの一貫性を確保します。例えば、週次フルバックアップと日次増分バックアップの設定、保持期間の管理などが可能です。
バックアップのスケジュール設定や自動化が容易に行えます。定期的なバックアップのスケジュールを設定し、自動的に実行されるようにすることで、データの保護を効率的に管理が可能です。
8. ダッシュボードによるモニタリング
AWS Backupは、AWS Management Consoleを通じてアクセス可能な直感的なダッシュボードを提供します。このダッシュボードでは、バックアップされているAWSリソースの状態やバックアップジョブの実行状況、そして重要なメトリクスを一元的に表示します。
ダッシュボードを使用することで、バックアップされているAWSリソースの状態をリアルタイムで確認が可能です。例えば、最終のバックアップの完了時刻や次回の予定されたバックアップの日時などが表示されます。
また、実行中のバックアップジョブや復元ジョブの進行状況のモニタリングが可能です。ジョブの進捗状況や完了状態、エラーが発生している場合の通知などが、ダッシュボード上で視覚的に示されます。
9. バックアップ保管庫
AWS Backupでは、異なるAWSサービスから収集されたバックアップデータを安全に保管するための専用のストレージ領域をバックアップ保管庫として提供しています。
バックアップ保管庫は、特定のバックアップリソースのために作成され、そのリソースに関連するすべてのバックアップデータが保存されるものです。
また、AWSの安全性の高いインフラストラクチャの一部として提供され、データの安全性と可用性を確保します。データは暗号化され、複数の可用性ゾーンに分散保存されるため、耐久性が高く、データの損失リスクが低減されるでしょう。
AWS Backupを利用するメリット
ここでは、AWS Backupを利用するメリットを3つご紹介します。
1. バックアップを一元管理できる
AWS Backupを使用することで、異なるAWSサービスに分散して存在するバックアップを一つのコンソールから管理できます。バックアップのスケジュール設定、ポリシーの作成、および監視を効率的に行うことが可能です。
AWS Backupを使用すると、異なるAWSリソースに対して一貫したバックアップポリシーを適用できます。例えば、特定のリソースグループやタグに基づいて一括でバックアップスケジュールを設定し、コンプライアンス要件を満たせます。
2. バックアップポリシーを設定できる
AWS Backupでは、異なるAWSサービスに対して、柔軟で統合されたバックアップポリシーの設定が可能です。
例えば、毎日、毎週、または特定の日時にバックアップを自動的に実行するように設定できます。
バックアップポリシーには、保持期間を指定するオプションが含まれています。バックアップデータを保持する期間を定義し、古いバックアップを自動的に削除できるので、コストを最適化しつつデータの適切な保護を確保できるでしょう。
3. コストを最適化できる
AWS Backupは、バックアップの自動化とスケジュール設定をサポートします。その結果、手動でのバックアップ作業が不要となり、運用コストの削減を実現できる可能性が高まります。
AWS Backupでは、バックアップポリシーを使用して、データの保持期間を効果的に管理が可能です。古いバックアップを自動的に削除することで、不要なデータの保持に伴うストレージコストを削減します。
また、使用したバックアップストレージの量に対してのみ料金が発生します。データの増減に応じてストレージ容量をスケーリングし、必要な時にだけ料金を支払えるでしょう。
AWS Backupを利用する際の注意点
AWS Backupは、EC2インスタンス、RDSデータベース、EFSファイルシステムなど、多くのAWSサービスに対応しています。バックアップを設定する前に、対象となるリソースを正確に選択し、適切に設定する必要があります。
バックアップポリシーを設定する際には、保持期間、スケジュール、リカバリポイントの数などを慎重に検討することが大切です。誤ったポリシー設定は、コスト増やデータの保護に影響を与える可能性があるでしょう。
また、クロスリージョンや異なるAWSアカウント間でのバックアップの管理が必要な場合、適切な設定と費用対効果の検討が必要です。データ転送料金や管理の複雑さに注意する必要があります。
従量課金制を採用しているので、使用したバックアップストレージの量に応じて料金が発生します。定期的に使用量をモニタリングし、コストを最適化するために必要な措置を取ることが重要です。
まとめ
AWS Backupは、AWSが提供するマネージドバックアップサービスであり、複数のAWSサービスに対して統合的にバックアップを管理することが可能です。
料金体系では、バックアップストレージの使用量や復元操作、クロスリージョンのデータ転送に応じて料金が発生します。
AWS Backupは、バックアップの一元管理、柔軟なバックアップポリシーの設定、およびコストの最適化などのメリットがあります。
一方で、注意点としては、適切なリソースの選択と設定、バックアップポリシーの慎重な設計、コスト管理と従量課金制度の理解が必要です。AWS Backupを効果的に活用することで、データの保護と運用の効率化を図ることができます。