エンドポイントセキュリティとは?重要視されている理由や対策の種類を解説
エンドポイントセキュリティとは、情報システムにおいて最終的な端末を保護するためのセキュリティのことです。
本記事では、エンドポイントセキュリティについて、重要視されるようになったわけや、対策の種類をご紹介します。
そのほか、エンドポイントセキュリティ製品を選ぶ時のポイントもお伝えするので、エンドポイントセキュリティの導入や見直しを検討している場合はぜひ参考にしてください。
エンドポイントセキュリティとは?
エンドポイントセキュリティとは、情報システムにおいて最終的な端末を保護するセキュリティ対策のことです。
エンドポイントとは、コンピュータ、モバイルデバイス、サーバーなどのネットワークに接続された最終的な端末やデバイスを指します。
エンドポイントセキュリティの重要性は、組織のネットワークセキュリティの最前線であり、現代の複雑な脅威に対抗するために不可欠です。
特に、モバイルデバイスやリモートワーカーの増加に伴い、エンドポイントセキュリティはますます重要となってきているでしょう。
実践としては、包括的なエンドポイントセキュリティ戦略を策定し、技術的な対策とユーザー教育を組み合わせることが推奨されます。
定期的なセキュリティポリシーの更新と強化、最新のセキュリティソフトウェアの導入、そしてセキュリティインシデントへの迅速な対応が、エンドポイントセキュリティの効果的な実践に不可欠です。
アンチウイルスソフトとの違い
エンドポイントセキュリティは、単にウイルスやマルウェアの検出・駆除だけでなく、広範なセキュリティ管理を対象とします。
つまり、デバイスの全体的なセキュリティを包括的に管理するための戦略やツール群を指します。
一方で、アンチウイルスソフトは、主にウイルスやマルウェアの検出・駆除を目的としたプログラムです。
特定のファイルやプログラムが感染していないかをスキャンし、問題があればそれを隔離または削除します。
なぜエンドポイントセキュリティが重要視されるようになったのか
ここでは、エンドポイントセキュリティが重要視されるようになった理由を3つご紹介します。
多様な働き方に対応するため
エンドポイントセキュリティの導入により、さまざまなデバイスや利用場所からのアクセスを可能とするでしょう。
データは多様な場所からアクセスされるため、企業はデータの保護とコンプライアンスを確保する必要があります。
エンドポイントセキュリティは、デバイス上のデータを暗号化したり、デバイスの監視・制御を行うことで、データの漏洩や損失を防ぐことが可能です。
高度なサイバー攻撃が増えているため
サイバー攻撃者は、企業や組織のデータやシステムに侵入するために、エンドポイントを攻撃の最初のターゲットとして選びます。
そのため、エンドポイントセキュリティは、新たな脅威に対応し、進化する攻撃手法に対抗するために不可欠です。
また、サイバーセキュリティに関する規制や法的責任が増加しています。
エンドポイントセキュリティの適切な実施は、法的コンプライアンスを遵守し、組織が法的な責任を果たすために重要です。
ゼロトラスト型セキュリティを実現するため
従来のネットワークセキュリティでは、内部ネットワークと外部ネットワークを明確に区別し、信頼できる内部ネットワークと不信頼の外部ネットワークを分けていました。
しかし、クラウドコンピューティングやモバイルワーカーの増加により、ネットワーク境界が曖昧化し、従来のモデルでは対応しきれなくなりました。
ゼロトラスト型セキュリティは、「信頼しない、検証する」という原則に基づいています。
すべてのネットワークトラフィックやリソースアクセスを信頼せず、常に確認し、認証する必要があります。
これにより、ネットワーク内外のどちらからのアクセスでも安全性を確保することが可能です。
また、ゼロトラスト型セキュリティでは、エンドポイントが重要なポイントとなります。
エンドポイントセキュリティは、個々のデバイスやユーザーの認証、セキュリティ状態の監視、アクセスコントロールの実施などを通じて、ゼロトラストの原則を実現します。
エンドポイントセキュリティ対策の種類
ここでは、エンドポイントセキュリティ対策の種類を3つご紹介します。
EPP(Endpoint Protection Platform)
EPPは、企業や組織がエンドポイントデバイスを保護するための包括的なプラットフォームです。
単一の管理コンソールから、複数のセキュリティ機能を統合的に運用・管理することができます。
主要な機能としては、ウイルスやマルウェアの検出・駆除、ネットワーク通信の制御、不正侵入や異常なアクティビティの検知などが挙げられるでしょう。
そのほか、エンドポイントデバイスの設定管理やアップデートの管理、適切なセキュリティポリシーの適用をサポートします。
EDR(Endpoint Detection and Response)
EDRは、エンドポイントデバイスにおけるセキュリティ監視と対応能力を強化するための技術です。
EDRは、エンドポイントデバイスにおけるアクティビティをリアルタイムで監視します。
具体的には、ファイルやプロセスの作成・変更、ネットワーク通信、ユーザーの行動などが含まれます。
監視されたデータは、セキュリティインシデントの早期発見と対応に役立つでしょう。
また、通常のアンチウイルスソフトウェアよりも高度な脅威検知技術を活用します。
挙動分析、異常検知、機械学習などの手法を使用して、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃などの新たな脅威を検出することが可能です。
NGAV(Next Generation Anti-Virus)
NGAVは、次世代型のアンチウイルスソフトウェアであり、従来のシグネチャベースのアンチウイルスに代わる新しいアプローチを提供します。
マルウェアやその他の悪意のあるプログラムを検出するために、シグネチャベースではなく挙動分析や機械学習を活用します。
これにより、既知のマルウェアだけでなく、未知の脅威やゼロデイ攻撃なども検出できる能力の向上につながるでしょう。
また、NGAVは、クラウドベースのインテリジェンスプラットフォームからリアルタイムで最新の脅威情報を収集し、それに基づいて迅速な対応を行います。
これにより、セキュリティの脅威に対する迅速な更新と対策が可能となります。
システムリソースの使用を最小限に抑えながらも、高速で効率的なスキャンを実行することが可能です。
従来のアンチウイルスソフトウェアよりも負荷が少なく、ユーザーの操作やシステムのパフォーマンスにほとんど影響を与えません。
エンドポイントセキュリティ製品を選ぶ時のポイント
ここでは、エンドポイントセキュリティ製品を選ぶ時のポイントを3つご紹介します。
1. 強化対象の範囲を確認する
エンドポイントセキュリティ製品がカバーするエンドポイントの種類を確認することが重要です。
具体的には、デスクトップ、ノートパソコン、サーバー、モバイルデバイスなど、すべてのエンドポイントデバイスに対応しているかどうかを確認しましょう。
特に、最近ではリモートワーカーやBYODの増加に伴い、多様なデバイスに対応する製品が求められています。
使用しているオペレーティングシステムが製品に対応しているかどうかも確認すると良いでしょう。
特に、混在した環境で活動する企業では、複数のOSに対応した製品が必要です。
2. 検知方法をチェックする
エンドポイントセキュリティ製品が、どのような技術を使用して脅威を検知するかを確認しましょう。
従来のシグネチャベースの検出だけでなく、挙動分析、ヒューリスティック分析、機械学習、AIを活用したアプローチなど、多様な技術を組み合わせた製品が推奨されます。
これにより、未知の脅威や高度な攻撃手法にも対応できる可能性が高まるでしょう。
また、製品がどれだけ早く脅威を検知し、迅速に対応することができるかを確認することが大切です。
リアルタイムでの脅威インテリジェンスの取得や、即時的な対応アクションの自動化が重要です。
3. 運用体制を構築するまでの流れを確認する
エンドポイントセキュリティ製品を導入する際には、まず導入計画を策定します。
これには、製品の選定基準、導入スケジュール、予算の確保などが含まれるでしょう。
導入の目的や対象となるエンドポイントデバイスの範囲を明確にし、ステークホルダーとのコミュニケーションを図ります。
また、選定した製品に基づいて、エンドポイントセキュリティのシステム設計を行います。
これには、エンドポイントデバイスのセキュリティポリシーの設定、ネットワークとの統合、必要なハードウェアやソフトウェアの準備などが含まれるでしょう。
構築したエンドポイントセキュリティシステムを実際の環境でテストし、機能やパフォーマンスを評価することが大切です。
システムの安定性やセキュリティ対策の効果を確認し、必要に応じて調整を行いましょう。
まとめ
エンドポイントセキュリティは、エンドポイントデバイスを保護するための総合的なセキュリティ戦略のことです。
従来のアンチウイルスソフトウェアがウイルスやマルウェアに特化しているのに対し、エンドポイントセキュリティはより広範な脅威に対応します。
エンドポイントセキュリティ対策にはEPP、EDR、NGAVがありますが、それぞれが異なる機能とアプローチを持っており、エンドポイントの保護と脅威への迅速な対応をサポートします。
製品を選ぶ際のポイントとしては、まず対象とするエンドポイントの範囲を確認し、全てのデバイスに対応できるかを見極めると良いでしょう。
そのほか、製品の検知能力や脅威への対応速度を評価したり、運用体制を構築する流れを確認したりすることが大切です。
エンドポイントセキュリティは、現代の企業における重要なセキュリティ要件を満たすために不可欠な要素であり、適切な製品選定と運用体制の確立が成功の鍵となります。