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Power Automateの活用事例8選&導入企業5選|メール業務改善に最適?

2024.12.17

Power Automateとは、Microsoftが提供するさまざまなサービスを統合できるクラウドサービスです。

本記事では、Power Automateの活用事例や、実際に活用している企業をご紹介します。

そのほか、Power Automateを利用するときの注意点もお伝えするので、Power Automateの導入を検討している場合はぜひ参考にしてください。

Power Automateとは?

Power Automateは、Microsoftが提供するクラウドベースのサービスで、さまざまなアプリやサービスを統合し、反復的な業務プロセスを自動化するためのツールです。

以前は、Microsoft Flowと呼ばれていました。

Power Automateを導入すると、顧客管理や在庫管理、顧客への情報提供、月次レポートの自動化などを簡単に自動化できます。

さまざまなサービスを統合することで、時間を節約しながら効率的な運営を実現できるでしょう。

Power Automateの活用事例8選

ここでは、Power Automateの活用事例を8つご紹介します。

1. 返信メールの自動化

Power Automateで特に活用されるのが、返信メールの自動化です。

例えば、セミナー申し込みやアンケート回答後に送られる「ありがとうございます」というメールがその一例です。

Power Automateでは、条件に応じたトリガーを設定することで、適切なタイミングで返信を送るよう自動化できます。

この仕組みにより、メール作成や返信の手間を省きながらスムーズな対応が可能です。

2. メールの作成とファイル添付の自動化

請求書や納品書の送付といった定型的なメール業務も、Power Automateを使えば簡単に自動化できます。

例えば、関連ファイルを添付して毎月決まった日に送信するよう設定しておけば、手作業を減らせるだけでなく、請求書を別の会社に誤送信してしまうようなヒューマンエラーも防げるでしょう。

3. 承認フローの自動化

社内で重要な承認フローも、Power Automateを活用して簡単に自動化できます。

紙の稟議書を回覧するアナログな方法から脱却し、ペーパーレス化や業務効率化が実現できるでしょう。

また、電子印鑑の使用や進捗確認、リマインド機能の追加はもちろん、差し戻しがあってもスムーズに再提出できる仕組みの構築が可能です。

却下されやすいケースを分析して必要な要件を登録すれば、起案者が書類の不備に気づけるため、承認者の手間も減らせます。

自動化の環境が整えば、承認フロー全体のスピードと精度が向上します。

4. 添付ファイルの保存とデータ転記の自動化

日々受信するメールの添付ファイルの保存は、Power Automateを使えば簡単に自動化でき、生産性を大きく向上させることが可能です。

例えば、メールを受信した際に、事前に設定した条件に従って添付ファイルをSharePoint、OneDrive、またはデスクトップの指定フォルダに自動保存できます。

その結果、保存漏れなどのヒューマンエラーの防止につながります。

1日1通程度の処理なら手作業でも問題ないケースがほとんどですが、大量のメールとなると効率が悪くなってしまうので、自動化がおすすめです。

さらに、添付されたCSVファイルのデータをExcelファイルに集約するといった二次処理もPower Automateで自動化可能です。

受信したCSVデータを指定のExcelファイルに転記して保存するだけでなく、売上データの数値を基に自動計算を行い、新しいExcelファイルを作成して別名保存する作業まで一括処理できます。

これにより、手間を大幅に削減し、業務の効率化を図ることができます。

5. ファイル保存やツイートの自動通知

Power Automateでは、指定したフォルダに特定のキーワードを含むファイルが保存された際に、メールで自動的に通知することが可能です。

そのファイルを添付したメールをあらかじめ指定したアドレスへ自動送信することもできます。

特に、経営企画部や営業統括部など、全社的な数値を集計・管理する部署にとって非常に有用です。

また、組織のリスク管理にはXの監視が重要となっています。

定期的にチェックしていても、インシデントやシステム障害に関するツイートが発生した際には即座に対応が求められることがあります。

組織に重大なダメージを与える前に迅速に認識し、関係部署へエスカレーションすることが必要です。

Power Automateを活用すれば、特定のハッシュタグが付いたツイートがあった時点でMicrosoft Teamsに自動通知を送る仕組みを構築できるため、組織のリスクに迅速に対応する体制を整えられるでしょう。

6. システムからデータエクスポートを自動化

前日の売上や顧客動向を報告するために、基幹システムへアクセスしてデータを取得している組織も多いでしょう。

ログイン、データ取得、ダウンロードの一連の作業は、1回の所要時間が短くても、毎日続けると年間で大きな時間とリソースを消費します。  

Power Automateを活用すれば、このルーチンタスクを自動化することで、手間を削減し、より重要な業務に集中する時間を作ることが可能です。

7. 会議招集の自動化

定例会議の前にアジェンダを作成するため、参加者に事前にテーマを記入してもらうプロセスを採用している職場も多いです。

アジェンダ記入の依頼やリマインドメールの送信も、Power Automateで自動化できます。

指定の締め切りまでにテーマが記入されない場合には、会議の中止を通知する仕組みを条件分岐で設定することも可能です。

これにより、無駄な会議を減らし、時間を有効に活用しながら業務効率を高めることができます。

8. AIを利用したレポートの自動化

AI Builderを活用すれば、プログラミングやデータサイエンスの専門知識がなくても、誰でも簡単にAIを使えるようになります。

Power Automateと連携させることで、集計したデータを自動的に分析し、レポート作成まで一括で行うことが可能です。

Power Automateを活用している企業5選

ここでは、Power Automateを実際に活用している企業を5つご紹介します。

1. トヨタ自動車

トヨタ自動車では、市民開発の促進を目的にPower Platformを活用しています。

デジタル変革推進室の永田賢二氏は、Power Platformを導入することで、業務改善のアイデアを実現するための技術コミュニティを立ち上げました。

ボトムアップ方式で進められ、約5,000人が参加する大規模なコミュニティに成長しています。

Power AppsやPower Automateを活用したアプリケーション開発が進み、社内のDX推進に大きな影響を与えています。

2. 愛媛銀行

愛媛銀行では、Power Automateを活用して業務プロセスの効率化と生産性向上を実現しました。

社内ポータルや掲示板機能を導入することで、情報共有がスムーズになり、業務の効率が大きく改善されています。

3. 出光興産株式会社

出光興産株式会社では、Power Automateを導入して業務の自動化を実現しました。

これにより、従来使用していたRPA製品に加えて、IT部門が事業部門からの要望を効率よく検討し、自動化の判断を行うプロセスが改善されています。

SAPなどの基幹システムのデータ参照や登録作業が簡素化されることで、現場の細かな業務も手軽に自動化できるようになり、業務の効率化に大きく貢献しています。

4. 株式会社パソナ JOB HUB

株式会社パソナ JOB HUBでは、営業支援チームの業務効率化を目指し、非エンジニアの社員がPower Automateを使って業務の自動化に成功しました。

毎月の業務報告書の回収プロセスを自動化し、その結果月間約60時間の作業時間の削減を実現しています。

5. 株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスでは、採用活動において、応募者情報の管理や面接スケジュールの調整をPower Automateを使って自動化しています。

その結果、人事担当者の負担が軽減され、より迅速に対応できるようになりました。

Power Automateを活用する際の注意点5つ

ここでは、Power Automateを活用するときの注意点を5つご紹介します。

1. ライセンスによってパフォーマンスに限りがある

Power Automateには、いくつかの異なるライセンスがあります。

ユーザーごとのライセンスやフローごとのライセンスのほか、Microsoft 365やDynamics 365、Power Appsの特定プランに含まれるライセンスなどさまざまです。

ライセンスにより、利用できる機能やパフォーマンスに制限が設けられています。

例えば、無料版やMicrosoft 365プランの場合、1日に実行できるアクション数は10,000回、同時実行数は500回に制限されています。

一方、ユーザーライセンスやフローライセンスの場合は、1日に実行できるアクション数は100,000回、同時実行数は2,500回に増える点が特徴です。

大量の処理を自動化するには、ユーザーライセンスやフローライセンスを購入することを検討する必要があります。

2. Power Automate Desktopは機能制限が設けられている

Power Automate Desktopは、クライアントPCにインストールして使用するツールです。

無料版と有料版では利用できる機能に違いがあり、無料版でも多くの機能が利用できますが、有料版ではさまざまなことが可能になります。

例えば、デスクトップフローとクラウドフローの連携、トリガーやスケジューラーを使ったフローの自動実行、作成したフローの共有、外部サービスとの連携、フローの管理、フロー実行時のログ参照が挙げられます。

無料版では、作成したデスクトップフローを他のユーザーと共有できず、決まった時間に自動でフローを実行する、メールを受信した時に自動で添付ファイルを保存するなどの自動化もできません。

3. 非定型作業では活用できない

Power Automateは、決められたフローに従って作業を進めるため、途中で人が判断しなければならない作業には適していません。

例えば、休暇申請の承認フローをPower Automateで自動化しようとした場合、承認する、却下するなどの判断は人が行うため、その部分まで含めて完全に自動化できません。

ただし、承認フローの一部を分けて自動化することは可能です。

具体的には、休暇申請者が申請内容を休暇申請リストに入力、申請内容がリストに追加されると承認者に通知メールを送信、承認者の判断結果を取得、承認者が承認した場合に申請内容をリストに反映して申請者に承認結果を通知の流れで自動化できます。

承認者が却下した場合も、リストに結果を反映し申請者に通知する流れとなります。

人の判断が必要な部分は自動化できませんが、そのほかの定型的な処理をPower Automateで自動化することで、作業時間を短縮して業務の効率化を図れるでしょう。

4. 仕様変更の発生頻度が多い作業には向いていない

Power Automateは、決まった手順で繰り返し行う作業の自動化が得意ですが、毎回異なる内容が必要な非定型的な作業には向いていません。

例えば、システムからデータを出力して指定の場所に保存する作業は自動化できます。

しかし、システムから出力されたデータを判別して内容に応じて異なる宛先に送信する作業は、どのデータをどこに送るかを事前にすべて定義しておく必要があります。

さらに、送付先の追加や変更が頻繁に発生する場合、そのたびに設定を変更しなければいけません。

Power Automateでのメンテナンスが多くなり、作業効率の向上にはつながらないことがあるでしょう。

5. PCを使わない作業は対応できない

Power AutomateはPC上で行う作業の自動化を得意としていますが、手作業で行うやり取りやPCを使わない作業は自動化できません。

例えば、上司と直接会話して決定を得る、紙の書類に押印するなどの作業は、自動化の対象外です。

Power Automateで自動化できるのは、PC上で行う反復的な作業です。

例えば、マウスでボタンをクリックしたり、コピー&ペーストを行ったりする入力作業、あるいは定型的なメッセージをチャットやメールで送る作業を指します。

まとめ

Power Automateは、業務の効率化や生産性向上を支援する自動化ツールで、多くの企業や業界で活用されています。

メールの自動返信や承認フローの構築、データ転記や会議招集の自動化など、幅広いシナリオで利用可能です。

ただし、利用する際にはライセンスや機能制限、作業の適合性などを考慮する必要があります。

適切に活用すれば、時間の節約とプロセスの標準化を実現し、ビジネスの競争力を高める有力な手段となるでしょう。