Power Automateの活用術12選|使い方や注意点を紹介
Power Automateは、業務の自動化や通知の自動設定など、さまざまな活用術があります。
本記事では、Power Automateの活用術12選や、導入するときの流れをご紹介します。
そのほか、Power Automateを活用する際の注意点も解説するので、導入を検討している方は参考にしてください。
Power Automateとは?
Power Automateとは、Microsoftが提供するクラウドベースのサービスで、業務プロセスの自動化をサポートするツールです。
コードを必要としないノーコード、または少ないコードで利用できるローコードプラットフォームとして、ユーザーが手動で行っていた業務を自動化し、効率化やミスの削減を実現します。
Microsoft 365やSharePoint、Teamsなどのアプリケーションだけでなく、外部サービスとも連携可能です。
ビジネス現場でのルーチン作業を軽減し、生産性を向上させる強力なツールとして知られています。
Power Automateの活用術
ここでは、Power Automateの活用術を12個ご紹介します。
1. 返信メールを自動化する
返信メールの自動化は、Power Automateを使った最も基本的で実用的な活用方法のひとつです。
特に、同じ内容の返信を繰り返し送る場面や、特定の条件に応じた応答が必要な場合に役立ちます。
例えば、顧客や取引先からメールが届いた際に、自動で確認メールを返信することで、迅速な対応を実現できます。
また、メールの件名や本文に特定のキーワードが含まれている場合、それに応じた内容を返信する設定が可能です。
定型文を事前に用意しておくことで、効率的かつ一貫性のある対応ができます。
2. 添付ファイルを自動保存する
添付ファイルの自動保存により、手動でダウンロード・分類する手間を省き、効率的なデータ管理を実現します。
例えば、メールで送られてくる請求書や定期的なレポートを自動で特定のフォルダーに保存し、業務のスピードアップを図ることが可能です。
そのほか、添付ファイルを種類や内容に応じたフォルダーに振り分けたり、重要なファイルをクラウドストレージに自動保存したりできます。
データ整理を効率化するだけではなく、紛失リスクも軽減できるでしょう。
3. 承認フローを自動化する
申請や承認作業を自動化することで、プロセスのスピードアップと透明性の向上を実現します。
例えば、経費精算の承認や休暇申請の承認、契約書やプロジェクトの承認などのフローの自動化が可能です。
具体的には。社員が経費精算を申請すると承認者に通知が送られ、承認または却下が行われるフローを自動化したり、休暇申請が提出されると上司に通知が届き、承認状況が申請者に自動通知されたりする環境を整えられます。
また、契約書の確認やプロジェクトの開始に必要な承認を、関係者全員で順番に進めるプロセスを設定することも可能です。
4. データの転記と保存を自動化する
複数のシステムやツール間でのデータ転記を自動化することで、人為的ミスを防ぎ、業務をスムーズに進められます。
例えば、フォームデータの保存、CRMやERPシステムへのデータ登録、メール内容の記録の自動化が可能です。
具体的には、Microsoft FormsやGoogle Formsで収集したデータを自動的にExcelやSharePointに転記・保存したり、顧客からの問い合わせ内容や受注データをSalesforceやDynamics 365などのシステムに自動で入力したりする環境が整えられます。
そのほか、重要なメール内容や添付情報を自動でデータベースに記録することもできます。
5. 特定ツイートの自動通知を設定する
特定の条件に合致するツイートをリアルタイムで受け取ることで、特定の話題やキーワードに関する最新の動向を追跡し、必要に応じて迅速に対応できます。
例えば、ブランドや商品のツイートを監視、競合他社の動向チェックなどで役立つでしょう。
具体的には、自社ブランドや製品に関するツイートを監視し、言及された場合に即座に通知を受け取ることで、素早い対応を実現します。
また、競合他社の名前や業界関連のキーワードが含まれるツイートを監視し、マーケティングや戦略に役立つ情報を迅速に得ることができます。
6. システムからデータエクスポートを自動化する
業務で使用しているシステムやアプリケーションからのデータ抽出を自動化すると、手動でデータをエクスポートする手間が省け、データの取り扱いや報告業務を効率化できるでしょう。
例えば、定期的なレポートの生成、顧客データのバックアップ、データ分析用の抽出などで役立ちます。
具体的には、毎月の売上報告や在庫状況のデータをシステムから自動的にエクスポートし、指定された場所に保存したり、 定期的に顧客情報や取引履歴をCRMシステムからエクスポートし安全なストレージに保存してバックアップを取ったりすることが可能です。
7. 特定名のファイルの保存時に自動通知を設定する
特定のファイル名が指定のフォルダに保存された際に自動的に通知を受け取ることで、ファイル管理を効率化し、重要なファイルの保存時に即座に対応できるようになります。
プロジェクトの進行中にファイル名にプロジェクト名やバージョン番号を付けて保存した場合、そのファイルが保存されたことを関係者に通知できます。
これにより、進捗管理をリアルタイムで行えるようになるでしょう。
また、チームメンバーが提出したレポートや成果物を指定のフォルダに保存した際、そのファイルが保存されたことを自動的にチームリーダーや上司に通知することもできます。
8. 定型メールの作成・ファイル添付・送信を自動化する
定型的なメール送信業務の自動化により、反復的なメール送信作業が簡素化され、時間を節約できるだけでなく、ミスの削減や業務の効率化を図れるでしょう。
具体的には、毎月決まった日程で、月次レポートや売上報告を定型のフォーマットで関係者に送信する作業を自動化できます。
レポートを生成した後、指定された宛先に自動でメールを送れるので、送信のし忘れを防げます。
また。顧客に契約書や重要書類を定期的に送付する必要がある場合、その内容や添付ファイルを事前に決めておき、指定したタイミングで自動でメールを送信することが可能です。
9. 法人番号を自動検索する
法人番号の自動検索により、会社情報を迅速かつ正確に取得でき、業務の効率化が図れます。
例えば、取引先の法人番号を入力する必要がある場面で、手動で調べる手間を省き、瞬時に正しい情報を取得できるでしょう。
10. 会議招集を自動化する
会議のスケジュール設定から招集、リマインダーの送信までを自動化することで、会議の設定にかかる時間や手間を削減し、全員が確実に会議に参加できるようにサポートします。
例えば、毎週や毎月開催する定期会議の日時が決まっている場合、その都度手動で招集する必要がなくなります。
Power Automateを利用すれば、定期的に会議を自動でスケジュールし、参加者に通知を送信できます。
また、参加者が会議に出席するかどうかを確認し出席確認を自動化することで、会議前に欠席者や変更者を把握することが可能です。
11. AIを利用したレポートを自動化する
AIを駆使したレポート作成の自動化により、データの収集から分析、レポート生成までのプロセスが効率化され、人的ミスを減らして時間を大幅に短縮できます。
特に、大量のデータを分析する必要がある場合に有効です。
例えば、定期的に売上データを集計し、そのデータをもとに自動でレポートを作成することができます。
AIを活用することで、集計方法やパターン認識を効率化し、特定の傾向や異常値を自動で指摘できるでしょう。
また、顧客の購入履歴や問い合わせ内容をAIで分析し、傾向やニーズを抽出したレポートを自動生成することで、マーケティング戦略の改善や顧客サービスの向上に役立ちます。
12. 補助金の申請可否を判定する
補助金申請に必要な条件を自動でチェックし、申請が可能かどうかを迅速に判定できるようになると、申請者が要件を満たしているかどうかを効率よく確認でき、補助金申請の手間を削減して申請の適正性を高められます。
具体的には、申請者が入力した情報を基に、補助金の申請要件を自動でチェックします。
要件を満たしているかどうかを判定し、その結果を迅速に通知することが可能です。
また、申請者が提出すべき必要書類をチェックし、不足している書類がある場合に自動で通知を送信すれば、スムーズに補助金申請を進められます。
Power Automateを活用する流れ
ここでは、Power Automateを活用する流れを5つのステップに分けて解説します。
ステップ1. フローを新規作成する
Power Automateでは、あらかじめ用意されたテンプレートを使ってフローを開始することもできますが、独自のフローをゼロから作成することも可能です。
新規作成する際の基本的な流れは、次の通りです。
- Power Automateにログインする
- 「作成」ボタンをクリックして自動化されたクラウドフローやインスタントフローなど目的に合ったフロータイプを選ぶ
- フローに名前を付け、どのトリガーを使用するかを選択する
ステップ2. トリガーを設定する
トリガーは、フローを実行するためのきっかけとなるイベントです。
例えば、メールを受信したときやファイルがアップロードされたときなどが挙げられます。
トリガーを選択したら、受信メールの件名や送信者、ファイルの保存先などの関連する情報を設定しましょう。
ステップ3. アクションを追加する
トリガーを設定したら、トリガーが発動した後に実行する一連のアクションを設定します。
アクションは、トリガーによって起こる処理や手続きであり、フローが行う作業の内容です。
例えば、メールを送信する、データを入力する、ファイルを保存するなどのアクションです。
アクションごとに送信先、ファイル名、内容などの必要な情報を設定しましょう。
ステップ4. 条件分岐やループを設定する
フローの中で特定の条件を満たした場合に異なるアクションを実行したり、同じアクションを繰り返し実行する必要がある場合に条件分岐やループを設定します。
例えば、データが特定の条件を満たしている場合にのみ次のアクションを実行するなどが挙げられます。
これによりフローの処理を柔軟に変更でき、同じアクションを複数回実行する必要がある場合はループ処理を使いましょう。
ステップ5. フローの動作を確認する
条件分岐やループを設定したら、設定したトリガーが期待通りに発動し、アクションや条件分岐が正常に動作するかをチェックします。
作成したフローを手動または自動で実行し、フロー実行後、結果が期待通りか、エラーメッセージが出ていないかを確認します。
フロー内でエラーが発生した場合、Power Automateのエラーログで詳細を確認し、修正を行いましょう。
Power Automateを活用する際の注意点
ここでは、Power Automateを活用する際の注意点を3つご紹介します。
1. ライセンスによって使える機能に制限がある
無料プランでは、使用できるコネクタが限られています。
例えば、SalesforceやDynamics 365、Azure、ServiceNowなどのプレミアムコネクタは、有料プランでのみ使用可能です。
そのため、ビジネス向けの高度なアプリケーションやサービスとの連携が制限されてしまいます。
また、フローの実行頻度に制限があり、無料プランでは15分ごとのトリガー実行しかできません。
一方で、有料プランでは頻度が1分単位に改善され、よりリアルタイムに近い動作が可能となります。
2. Power Automate Desktopは機能制限が設けられている
Power Automate Desktopは、PC上でのRPAを利用して、手動で行う業務プロセスを自動化するツールです。
これにより、デスクトップアプリケーションやWebブラウザ上での作業を自動化できます。
しかし、Power Automate Desktopにはライセンスに基づく機能制限があり、これを理解した上で活用することが重要です。
無料版では、作成できるフローの数に制限があるので、大量のデスクトップフローを作成したい場合や複数のフローを並行して実行する場合には制限が障害となります。
また、基本的なRPA機能にはアクセスできますが、高度な機能は制限されてしまいます。
3. 対応できない作業もある
Power AutomateはAI Builderなどの機能を使って基本的なAI処理を行えますが、専門的な機械学習モデルを利用した深層学習や高度な推論を伴う作業には対応できません。
例えば、複雑な予測分析やビッグデータ分析を自動化するには、専用のAIツールやデータ分析プラットフォームが必要です。
そのほか、顧客からのフィードバックに基づいて即座に対応するような状況では、AIや人間の判断を伴うプロセスが必要となる場合があり、Power Automateだけでは完全な自動化は難しいです。
デザインやコンテンツ作成、映像編集などのクリエイティブな作業でも、人間の柔軟な思考や感性を必要とするため自動化が難しく、Power Automateでは完全に代替できません。
まとめ
Power Automateは、業務プロセスを効率化・自動化するための便利なツールです。
返信メールや承認フローの自動化、データの保存や通知設定など、多岐にわたる用途で活用できます。
フロー作成ではトリガーやアクションの設定が重要で、条件分岐やループを駆使して複雑な自動化も可能です。
ただし、利用にはライセンスによる機能制限や対応不可の作業がある点に注意が必要です。
適切な設定と活用により、業務効率化や生産性向上を実現できます。