サイバー攻撃とは?各手法に備えるための対策方法や被害事例を紹介
サイバー攻撃は、コンピュータシステムやネットワークに対する不正行為です。
情報を盗んだり、データを改ざんしたりなど、サイバー攻撃を行う目的はさまざまです。
本記事では、サイバー攻撃の手法や対策方法について解説します。
そのほか、被害事例もお伝えするので、サイバー攻撃のリスクについて理解を深めたい場合はぜひ参考にしてください。
目次
サイバー攻撃とは?
サイバー攻撃とは、コンピュータシステムやネットワークに対して意図的に行われる不正行為や攻撃のことです。
サイバー攻撃は、個人、企業、政府機関など幅広い対象に対して行われ、さまざまな手法が用いられます。
攻撃する目的
サイバー攻撃の主な目的は、情報の盗難、データ改ざん・破壊、ランサムウェア、サービスやビジネスの妨害、政治的・社会的目的などが挙げられます。
盗難の対象となる情報は、個人情報や機密データ、金融情報などです。
データを盗難するだけではなく、政府機関や企業のデータを改ざんまたは破壊し、情報の信頼性を損なうまでが目的で行われるケースがあります。
また、ランサムウェアとは、被害者に対してシステムの復旧の見返りとして身代金を要求する攻撃のことです。
サービスの停止やシステムの過負荷を引き起こし、Webサイトやネットワーク機能の利用を妨げることを目的にサイバー攻撃するケースもあります。
政治的メッセージや社会的意図を発信するために、政府機関や団体に対してサーバー攻撃する事例もあり、攻撃する目的はさまざまです。
サイバー攻撃は、その目的や手法によってリスクが異なるため、組織はセキュリティ対策を強化し、被害を最小限に抑える必要があります。
サイバー攻撃の種類
ここでは、サイバー攻撃でよくある手法を5種類ご紹介します。
1. 特定のターゲットを狙った手法
特定のターゲットを狙ったサイバー攻撃は、一般的なランダムな攻撃とは異なり、特定の個人や組織、ネットワークをターゲットに絞って行われるケースがあるでしょう。
ターゲットの情報や弱点を徹底的に調査した上で、精密に設計されるため、一般的な攻撃手法よりも高い効果を持ちます。
一般の攻撃とは異なり、特定の企業、個人、またはネットワークに対して攻撃が行われるため、組織全体のセキュリティ対策が重要です。
特定ターゲットを狙った攻撃は、組織の機密情報や経済的価値のある資産を直接的に狙うため、被害が深刻化しやすいです。
2. 不特定多数を狙った手法
不特定多数を狙ったサイバー攻撃は、個別のターゲットに特化せず、広範なユーザーや組織を対象に行われます。
効率的に大量の被害者を対象とするため、リスクが広範囲に及びます。
自動化ツールやスクリプトを使用して、大量の攻撃を短時間で実施されるケースが多いです。
攻撃者は一般ユーザーや広範な企業ネットワークを対象とするため、細かなターゲットの調査は行われないでしょう。
被害が大規模で迅速に広がるため、組織だけではなく、個人に甚大な影響を与えるリスクがあります。
3. サーバーに負荷をかける手法
サーバーに負荷をかける攻撃は、特定のウェブサイトやサービスをダウンさせ、サービスの利用を妨害することを目的とするケースが多いです。
主に、システムの過負荷によってパフォーマンスを低下させたり、サービスを停止させたりする手法が使用されます。
短時間で影響を及ぼすため、迅速な対応が求められるでしょう。
4. OSやWebサイトの脆弱性を狙った手法
OSやWebサイトの脆弱性を狙った攻撃は、システムやアプリケーションの設計や実装上の欠陥を悪用して、悪意ある目的を達成しようとします。
攻撃者は、ターゲットとなるOSやWebサイトの脆弱性を事前に徹底的に分析し、その欠点を利用する点が特徴です。
OSやWebサイトの脆弱性は、多数のユーザーや顧客に影響を与える可能性があるため、被害が広範囲に及ぶ恐れがあります。
攻撃者が新たな脆弱性を突くため、迅速なアップデートやセキュリティ対策が必要です。
5. パスワード関連を狙った手法
パスワード関連のサイバー攻撃は、個人情報やシステムへの不正アクセスを試みる手法であり、一般的なセキュリティ脅威のひとつです。
具体的には、パスワードの盗難や推測、強制的なアクセス試行などが含まれます。
ブルートフォースや辞書攻撃などは、ソフトウェアによって自動化されているため、大量の試行が短時間で行われるのが特徴です。
一度情報が漏洩すると、多くのサービスやアカウントに対して不正アクセスが試みられるため、被害が広範囲に及ぶ恐れがあります。
ユーザー名や簡単なパスワードを使用していると、攻撃者にとって簡単に突破できるリスクが高まるでしょう。
サイバー攻撃の対策方法
ここでは、サイバー攻撃の対策方法を4つご紹介します。
1. 最新版のOSやソフトウェアを維持する
最新のOSやソフトウェアを維持することは、サイバー攻撃のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。
古いバージョンのソフトウェアやOSに存在する脆弱性を狙い、不正アクセスや情報漏洩を試みて攻撃するケースが多いため、最新版のOSやソフトウェアを維持する必要があります。
多くのOSやソフトウェアには、自動アップデート機能が搭載されており、新しいバージョンがリリースされた際に自動的にインストールされるため手間がかかりません。
自動アップデート機能がない場合は、定期的に手動でOSやソフトウェアをチェックし、最新バージョンに更新する必要があります。
また、ソフトウェアベンダーやOSの公式Webサイトで、最新のセキュリティパッチやバージョン情報を確認することが重要です。
大規模なシステムの場合、全体にアップデートを適用する前に、テスト環境でのバージョンチェックやパフォーマンステストを行うことが推奨されます。
2. IDやパスワードの管理を徹底する
IDやパスワードは、ユーザー認証の基本要素であり、サイバー攻撃からシステムやデータを保護するために非常に重要です。
適切な管理がされていないと、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まります。
複雑で長いパスワード、少なくとも8文字~12文字以上のパスワード設定が推奨されます。
さらに、大文字、小文字、数字、記号を含めると、より安全です。
1つのIDに対して、同じパスワードを複数のサービスで使用しないことも重要です。
同じパスワードを使い回すと、一つの情報が漏洩すると他のサービスにも影響する恐れがあります。
また、パスワードマネージャーを使用することで、複数のサービスやアカウントの管理が容易になり、パスワードの安全性が向上します。
パスワードに加えて、スマートフォンやメール、認証アプリなどの追加要素を使って認証することで、不正アクセスを防止できるでしょう。
パスワードを定期的に変更するとセキュリティが強化され、古い情報が不正利用されるリスクを減少させます。
3. 不審なメールやURLは無視する
不審なメールやURLは、サイバー攻撃の主要な手段のひとつです。
不正な通信から情報を盗み出そうとする攻撃が行われるため、誤って開いてしまうことで悪意のある攻撃が発生するリスクが高まります。
知らない送信者や見覚えのないメールアドレスからのメールは、開かないようにしましょう。
添付されたファイルやリンクが信頼できるものか慎重に確認する必要があり、怪しいドメインや不自然なリンク先は避けるべきです。
ドメインが似ている偽のものを使った攻撃があるので、メールアドレスのドメインが正しいか確認することも大切です。
内容が不自然で緊急感や不安を煽るような表現がある場合は、サイバー攻撃の疑いを持つと良いでしょう。
4. 未知のサイバー攻撃に対応できるセキュリティ対策ソフトを導入する
サイバー攻撃は日々進化しており、新たな手法や攻撃手法が次々に登場しています。
従来のセキュリティ対策だけでは防げない未知の攻撃に対応するためには、先進的なセキュリティ対策ソフトが必要です。
常時リアルタイムでシステムやネットワークの動作をスキャンし、不正な活動を監視することが重要です。
また、ファイルやプログラムを安全な環境で実行し、未知のマルウェアやウイルスを検知・隔離するものもあります。
通常の動作から逸脱する異常な挙動を検出できる対策ソフトは、未然に攻撃を防止するのに有効です。
最新のマルウェア定義ファイルやセキュリティパッチの導入後は、定期的に更新して未知の攻撃への対策を強化しましょう。
サイバー攻撃の被害事例
ここでは、実際に起こったサイバー攻撃の被害事例を5つご紹介します。
株式会社ファーストリテイリング
2019年5月、株式会社ファーストリテイリングが運営するユニクロおよびGUの通販サイトに対してサイバー攻撃が行われました。
攻撃内容は、外部から流出したログインIDやパスワードを使用して不正アクセスを試みるパスワード攻撃です。
この攻撃により、顧客情報約46万1,091件が流出した可能性が報告されています。
千葉県南房総市の小中学校
2022年7月、千葉県南房総市の小中学校のサーバーがランサムウェアに感染し、過去3年間にわたる生徒約2,000千人分の氏名、住所、成績データなどが暗号化される事件が発生しました。
攻撃を行ったサイバー犯罪グループLockbitは、暗号化された情報と引き換えに金銭を要求しており、応じなければデータを公開するという二重脅迫を行っています。
ネットワーク管理を担当する事業者からの報告で攻撃が明らかになり、南房総市は事実を公表して謝罪しました。
象印マホービン株式会社
2019年12月、象印マホービン株式会社が運営する象印でショッピングにおいて、サイト内の脆弱性を狙った不正アクセスが発生しました。
この攻撃により、最大で28万件以上の顧客情報が流出する可能性があると報告されています。
象印マホービンはセキュリティ対策が完了するまで、ショッピングサイトの運営を一時停止しました。
デジタル庁
2022年9月26日、デジタル庁がサイバー攻撃を受け、約1万3,000通の不審メールが送信されたことが明らかになりました。
攻撃は同年9月24日に発生し、同庁が運営する企業向け認証サービスGビズIDのメール中継サーバーが狙われています。
事態を把握した直後にアクセス遮断の措置をとりましたが、政府系ドメインから約1万3千件の不審メールが送信されていたことが判明しました。
デジタル庁はこの情報を公表して不審メールの受信者に注意を促し、再発防止のためシステム運用体制の見直しを行うと発表しました。
株式会社みずほ銀行
2019年9月、株式会社みずほ銀行が提供するスマホ決済アプリJ-Coin Payのテスト環境が不正アクセスを受けています。
この攻撃により、加盟店の法人情報や担当者の個人情報が流出する恐れがあったと報告されています。
ただし、J-Coinユーザーの情報は影響を受けていませんでしたが、慎重な対応が求められる事態となりました。
まとめ
サイバー攻撃は企業や組織に対して意図的に行われる不正行為で、情報漏洩やシステムの停止などの被害を引き起こします。
特定のターゲットを狙った手法から、不特定多数を対象とする攻撃、さらにはサーバーに負荷をかける攻撃など、その手法は多岐にわたります。
対策として、最新OSやソフトウェアの維持、ID・パスワードの管理徹底、不審メールやURLの無視、そして未知の攻撃に対応できるセキュリティ対策ソフトの導入が重要です。
近年、さまざまな企業や政府機関などがサイバー攻撃の被害を受けているので、リスク管理を強化して適切な防御策を講じる必要があります。