サイバー攻撃の種類一覧|ハッキングとの違いや対策は?
サイバー攻撃には、マルウェア攻撃やランサムウェア攻撃など、さまざまな種類があります。
本記事では、サイバー攻撃の種類や各攻撃の特徴をご紹介します。
そのほか、サイバー攻撃を防ぐための対策もお伝えするので、システムやネットワークのセキュリティを高めたい場合はぜひ参考にしてください。
目次
サイバー攻撃とは?
サイバー攻撃とは、コンピュータシステムやネットワークに対して行われる意図的な攻撃行為です。
主に、悪意ある目的で情報を盗んだり、システムを破壊したりするために、不正アクセスを試みます。
ハッキングとの違い
サイバー攻撃とハッキングは関連がありますが、それぞれ内容が異なります。
サイバー攻撃は、コンピュータシステムやネットワークに対して意図的に行う不正な行為全般です。
目的は情報の窃取、不正アクセス、サービスの妨害、データ破壊など多岐にわたります。
サイバー攻撃にはさまざまな手法があり、ハッキングもそのひとつです。
ハッキングは、一般的にはコンピュータシステムやネットワークに対する不正なアクセスや操作を行う行為を指します。
ただし、すべてのハッキングが悪意を持つわけではなく、リサーチやセキュリティテストの一環として行われるケースもあるでしょう。
サイバー攻撃が広範な不正行為を指すのに対し、ハッキングは特定のシステムやネットワークへの不正アクセスや改ざんを指します。
最近のサイバー攻撃の動向
近年、サイバー攻撃はますます巧妙化・多様化しており、企業や個人にとって深刻な脅威となっています。
特にランサムウェア攻撃は依然として高い頻度で発生しており、企業や行政機関が標的となるケースが増加している傾向にあるでしょう。
2024年には過去最大の被害公表数が報告されており、データの暗号化や情報漏洩を伴う攻撃が多発しています。
また、ソフトウェアの脆弱性が修正される前に悪用されるゼロデイ攻撃も増加しています。
既知の脆弱性に対するパッチが公開される前に行われる点が特徴です。
フィッシングメールや偽のサポートを装った攻撃など、人間の心理を巧みに利用したソーシャルエンジニアリング攻撃の対策も行わなくてはいけません。
サイバー攻撃の手法は日々進化しているので、最新の情報を常に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
サイバー攻撃の種類一覧
ここでは、サイバー攻撃の種類を13個ご紹介します。
1. マルウェア攻撃
マルウェア攻撃とは、悪意のあるソフトウェアを使用して、システムやデバイスに損害を与えたり、情報を盗んだりする攻撃手法です。
マルウェアにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる目的や手法で攻撃を行います。
マルウェア攻撃の種類には、ウイルスやワーム、トロイの木馬、スパイウェア、アドウェアなどがあります。
ウイルスは、他のプログラムに寄生しシステムに悪影響を与え、ワームは自動で拡散してネットワークを通じて感染を拡大するものです。
トロイの木馬は、正規のソフトウェアを装い、実際には害を与えるマルウェアです。
侵入後にデータを盗んだり、システムを破壊したりします。
スパイウェアは個人情報や活動を収集する目的で設計されたマルウェアで、アドウェアはユーザーに無断で広告を表示するマルウェアです。
2. ランサムウェア攻撃
ランサムウェア攻撃とは、コンピュータシステムやファイルを暗号化し、復元するために身代金を要求する悪意あるプログラムを使用する攻撃手法です。
ランサムウェアは、ユーザーが誤って感染させることが多いファイルやリンク、添付ファイルから侵入します。
攻撃者は、ターゲットのデバイスやネットワーク内のファイルを暗号化し、利用できなくします。
被害者に対して、データの復元や復号化を目的とした金銭を支払うよう要求するのが1番の目的です。
支払わない場合は、データを破壊する、あるいは公表するなどの追加の脅迫を行います。
3. 標的型攻撃
標的型攻撃とは、特定の組織や個人を狙った、精密で計画的なサイバー攻撃手法です。
標的型攻撃は、組織や個人が持つ価値のある情報や資産に焦点を当て、企業機密、財務情報、顧客データなどがターゲットとなることが一般的です。
攻撃者は通常、複数の手法を組み合わせて、侵入からデータ窃取までの一連のプロセスを計画します。
1度の攻撃ではなく、数か月〜数年に渡る長期的な攻撃が行われる場合もあります。
4. サプライチェーン攻撃
サプライチェーン攻撃とは、組織が利用している製品やサービスの供給網の一部を狙ったサイバー攻撃手法です。
ターゲットとなる企業が直接関係しないサプライヤーやサービス提供者を経由して攻撃が行われるため、被害範囲が広がる恐れがあります。
攻撃者は信頼できるサプライヤーやパートナーを介して、ターゲットのシステムにアクセスし、内部情報を盗み出します。
1度サプライヤーや関連企業のネットワークに侵入すると、内部ネットワークへの影響が広がるケースが多いです。
また、攻撃者はサプライチェーンの仕組みを十分に理解し、侵入後も活動を隠すことができてしまいます。
5. フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、攻撃者が偽のWebサイトやメールを通じてユーザーに個人情報やクレジットカード情報、パスワードなどの機密情報を入力させる詐欺手法です。
実在する企業やサービスの見た目を模倣したWebサイトやメールが使用され、信頼性を装うケースが多く見かけられます。
ユーザーが偽のサイトやメール内で情報を入力し、その情報が攻撃者に盗まれてしまうケースもあります。
被害者が情報提供を促すために、アカウントのセキュリティ確認・パスワードリセット・未払い請求などと装って誘導されることが多いです。
フィッシング詐欺は、今すぐ行動が必要などと、緊急感を煽るケースがあります。
6. ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやシステムの脆弱性に対して、開発者がその脆弱性を修正する前に攻撃者がその脆弱性を悪用する攻撃手法です。
ソフトウェアやシステムが公開されたばかりの状態では、ゼロデイ攻撃の脅威にさらされる恐れがあります。
予測が難しい性質があり、企業や組織が対応する前に被害が広がるリスクも高いです。
例えば、Webブラウザやオペレーティングシステムの脆弱性を利用して個人情報や機密情報を盗んだり、サーバーやネットワークに対するリモートアクセスを行ってデータを奪取したりするケースが挙げられます。
7. SQLインジェクション攻撃
SQLインジェクション攻撃とは、悪意のあるSQLクエリをWebアプリケーションやデータベースに挿入することで、データの改ざんや情報漏洩を引き起こす攻撃手法です。
正常なアプリケーションが提供するデータ操作を超えて、攻撃者が管理者権限でデータベースにアクセスし、データの読み取り・更新・削除を行います。
ユーザー情報や機密データ、パスワードなどが漏洩したり、不正に操作されたりする恐れがあります。
例えば、悪意のあるクエリを使ってユーザー名やパスワードなどの情報を抽出したり、攻撃者がDELETEやUPDATE文を使用してデータを削除・改ざんしたりするケースが挙げられるでしょう。
8. DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、大量のトラフィックを同時に送り、特定のサーバーやネットワークリソースを過負荷にしてサービスを妨害する攻撃手法です。
攻撃は、攻撃者が管理する多数の感染した端末から同時に行われます。
サーバーやネットワークに対して、リクエストやデータの送信を急増させ、正常なサービスが提供できないようにします。
高負荷が続くことで、Webサイトやアプリケーションの応答速度が低下し、最悪の場合は完全にサービスが停止するケースもあるでしょう。
9. セッションハイジャック
セッションハイジャックとは、合法的なユーザーのログイン認証情報やセッションIDなどの情報を悪用し、他者がそのセッションに介入して不正にアクセスする攻撃手法です。
セッションハイジャックの方法には、クッキーの中に保存されているセッションIDや認証情報を盗んだり、トラフィック上のデータを傍受してセッション情報を入手したりする方法などがあります。
そのほか、フィッシングや脆弱性の悪用も、セッションハイジャックの方法のひとつです。
10. ブルートフォース攻撃
ブルートフォース攻撃とは、ログイン情報や暗号化されたデータに対して、膨大な試行回数を行い、可能な限りすべての組み合わせを試して突破しようとする攻撃手法です。
ブルートフォース攻撃の方法には、単にすべての可能なパスワードやIDを試す手法、事前に収集した辞書ファイルを使って可能性のある組み合わせを試す方法、アルファベット・数字・記号を組み合わせて試行する方法があります。
パスワードが単純だったり短かったりするセキュリティが弱いシステムは、ブルートフォース攻撃の標的になりやすいです。
11. 中間者攻撃
中間者攻撃とは、通信が第三者によって傍受され、改ざんされる攻撃手法です。
攻撃者が通信の途中で介入し、データを盗み、情報を改ざんして送信する仕組みとなっています。
中間者攻撃の手法には、公共Wi-Fiなどで無防備な通信を中継して情報を盗む方法、暗号化通信を解読して中間で改ざんを行う方法、ネットワーク内のルーターやスイッチを欺いて標的に偽の情報を送信する方法などがあります。
通信内容が漏洩すれば個人情報や機密情報が第三者に漏れ、攻撃者が通信内容を盗み出すと認証情報が不正利用される恐れがあり、アカウントの乗っ取りも可能です。
12. パスワードリスト攻撃
パスワードリスト攻撃とは、既存の大量のユーザー名とパスワードの組み合わせを使用して、オンラインアカウントやシステムに不正アクセスを試みる攻撃手法です。
膨大な数のパスワードが自動で試されるため防御が難しいことが多く、自動化された手法により数秒〜数分で大量の試行が行われます。
一般的なアカウントをターゲットにし、個人や組織が直接的に狙われるわけではありません。
不正なログインが成功するとアカウントが乗っ取られ、機密情報や資産が盗まれる恐れがあります。
不正アクセスが発覚すると、顧客やパートナーとの信頼関係が損なわれてしまうでしょう。
13. バッファオーバーフロー攻撃
バッファオーバーフロー攻撃とは、ソフトウェアがバッファの限界を超えてデータを書き込む際に発生するセキュリティ脆弱性を利用した攻撃手法です。
バッファとは、プログラムが一時的にデータを格納するためのメモリ領域です。
プログラムが設定されたバッファのサイズを超えてデータを書き込むことで、メモリが過剰に使用され、不正なデータが格納される状態になります。
不正なデータが格納されると、プログラムが意図しない動作を行ったり、クラッシュしたりする恐れがあります。
サイバー攻撃を防ぐための対策
ここでは、サイバー攻撃の対策を5つご紹介します。
1. ソフトウェアを更新する
ソフトウェアを最新のバージョンに保つことで、知られている脆弱性に対するリスクの軽減が可能です。
最新のバージョンには、既存のセキュリティ機能の強化や新しい防御機能が追加されています。
そのため、未知の脅威や新たに発見された攻撃手法に対しても効果的に対抗できるでしょう。
最新のソフトウェアは、パフォーマンス向上やバグ修正も行われており、システム全体の安定性が向上します。
また、自動更新機能を有効にすると、重要なセキュリティパッチを手動で行う必要はありません。
2. ネットワークを防御する
ネットワークに侵入する不正アクセスを防ぐことで、データ漏洩やシステムの改ざんを防げます。
ネットワーク全体の防御が強化されていると、マルウェアやDDoS攻撃などの攻撃からシステムを守ることができます。
ネットワーク層ごとの防御を行うと、リスクを多方面から低減させることが可能です。
具体的には、不正な通信や不審なトラフィックをブロックするために、ネットワークの境界にファイアウォールを設置したり、リモートアクセスのときにVPNを利用したりすると良いでしょう。
ネットワーク内のアクセス制限やトラフィックのモニタリングを行い、不正行為を早期に検出することも対策のひとつです。
3. バックアップを運用する
サイバー攻撃によってデータが損失した場合でも、バックアップを使用すると、重要な情報を迅速に復元できます。
ランサムウェア攻撃ではデータが暗号化されるため、バックアップからの復元が効果的です。
バックアップがあればmサイバー攻撃によるデータ損失やシステムダウンの影響を最小限に抑えられます。
また、重要データやシステムのバックアップを定期的に行い複数の場所に保存したり、 クラウドバックアップや外部ドライブ、物理的なメディアを使用してバックアップを多重化したりするのがポイントです。
定期的にバックアップからの復元テストを行い、バックアップが正常に機能しているかを確認するのも大切です。
4. 従業員教育を実施する
従業員がセキュリティリスクやサイバー攻撃の手法について理解することで、リスクを軽減できます。
パスワード管理、デバイスのロック機能の使用、ソフトウェア更新の重要性などを教育しましょう。
偽メールや不審なファイルを見分ける方法をトレーニングしたり、会社が定めたセキュリティポリシーを従業員に理解させて実践するよう促したりするのも大切です。
偽のサイバー攻撃シナリオを元に、実際にどう行動するかを訓練することで実際の対応力を高められます。
5. 業務用端末を徹底管理する
業務用端末の管理を徹底すると、不正アクセスや外部からの悪意ある行為を防げます。
端末に保存されている企業の重要な情報を保護して不正な操作から守ったり、業務の重要性や機密性に応じたアクセスを保証したりするのが目的です。
具体的には、業務用端末にデータを暗号化して情報の機密性を保護する、OSやソフトウェアの更新を定期的に行い脆弱性を解消する、リモートでデータを削除できる機能を備えて情報漏洩を防ぐ、などの対策が挙げられます。
まとめ
サイバー攻撃は多様化しており、マルウェア攻撃やランサムウェア攻撃、標的型攻撃などが頻繁に行われています。
これらの攻撃から企業や個人を守るためには、定期的なソフトウェア更新やネットワークの防御、従業員教育などが不可欠です。
また、バックアップの運用や業務用端末の徹底管理も重要です。
最新のセキュリティ対策を講じ、リスクを最小限に抑えることで、安全な環境を維持できます。