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AWS EC2 使い方徹底解説!インスタンス作成から運用まで完璧マスター

2025.03.06

AWS EC2の使い方が分からず困っていませんか?本記事では、EC2とは何かという基本的な知識から、インスタンスの作成、接続、運用、料金体系まで、EC2の使い方を徹底的に解説します。初心者の方でも安心してEC2を使いこなせるよう、図解を豊富に使い、分かりやすく説明しています。EC2インスタンスの作成手順では、AWSマネジメントコンソールへのログインから、Amazonマシンイメージ(AMI)の選択、インスタンスタイプの選択、セキュリティグループの設定、キーペアの作成まで、一つひとつのステップを丁寧に解説。さらに、CloudWatchを使った監視、セキュリティグループやIAMロールを活用したセキュリティ対策、EBSスナップショットを使ったバックアップなど、EC2インスタンスの運用に必要な知識も網羅しています。料金体系についても詳しく解説し、料金を抑えるためのTipsも紹介しているので、コスト最適化にも役立ちます。この記事を読めば、EC2を自由に使いこなし、Webサイトやアプリケーションをスムーズに運用できるようになるでしょう。EC2の活用で、ビジネスの成長を加速させましょう。

目次

1. EC2とは何か

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、クラウドで安全かつサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供するウェブサービスです。EC2を利用することで、ハードウェアに投資することなく、必要なコンピューティングリソースを迅速にプロビジョンできます。スケーラブルなウェブアプリケーションの構築から、高性能コンピューティング (HPC) の実行、データ分析の実施、機械学習モデルのトレーニングまで、幅広い用途に活用できます。

1.1 EC2の基礎知識

EC2は、仮想サーバーインスタンスを「インスタンス」という単位で提供します。ユーザーは、必要なオペレーティングシステム、ソフトウェア、リソース(CPU、メモリ、ストレージ)を備えたインスタンスを選択し、起動できます。インスタンスは、AWSのグローバルインフラストラクチャ上で稼働し、高可用性と信頼性を備えています。

EC2の主要な構成要素は以下の通りです。

要素説明
Amazon マシンイメージ (AMI)インスタンスの起動に必要なソフトウェア設定(OS、アプリケーションサーバーなど)を含むテンプレート
インスタンスタイプCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークキャパシティといったインスタンスのハードウェアリソースを定義
キーペアインスタンスへのセキュアなログインを可能にする公開鍵と秘密鍵のペア
セキュリティグループインスタンスへのネットワークトラフィックを制御する仮想ファイアウォール
Elastic Block Storage (EBS)インスタンスにアタッチできる永続的なブロックストレージボリューム
Elastic IPアドレス (EIP)インスタンスに固定IPアドレスを割り当てる

1.2 EC2のメリット・デメリット

EC2のメリットは、柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率です。必要なときに必要なだけリソースを利用できるため、無駄なコストを削減できます。また、数分以内にインスタンスを起動・停止できるため、変化するビジネスニーズに迅速に対応できます。さらに、AWSのグローバルインフラストラクチャを活用することで、高可用性と信頼性を確保できます。

一方で、EC2のデメリットとしては、クラウドプロバイダーへの依存セキュリティに関する責任の一部をユーザーが負う必要があることなどが挙げられます。また、オンプレミス環境とは異なるため、運用方法の学習が必要です。

1.3 EC2のユースケース

EC2は、多様なユースケースに対応できます。以下に代表的な例を挙げます。

  • Webアプリケーションのホスティング
  • データベースサーバーの運用
  • ビッグデータ分析
  • 機械学習
  • DevOps環境の構築
  • 災害復旧
  • エンタープライズアプリケーションの実行
  • ゲームサーバーのホスティング
  • ファイルサーバーの構築

これらのユースケース以外にも、EC2は様々な用途で活用されています。柔軟性とスケーラビリティを活かして、ビジネスニーズに合わせた最適なシステムを構築できます。

2. EC2インスタンスの作成

ここでは、AWSマネジメントコンソールを使ってEC2インスタンスを作成する手順を詳しく解説します。初めての方でも安心して進められるように、スクリーンショットを交えながら丁寧に説明していきます。

2.1 AWSマネジメントコンソールへのログイン

まずは、AWSマネジメントコンソールにログインします。アカウントをお持ちでない場合は、アカウント作成が必要です。

2.2 EC2インスタンスの起動

マネジメントコンソールにログイン後、「EC2」サービスを選択します。EC2ダッシュボードが表示されたら、「インスタンスを起動」ボタンをクリックします。

2.2.1 Amazonマシンイメージ(AMI)の選択

Amazonマシンイメージ(AMI)は、EC2インスタンスのOSやアプリケーションを含むテンプレートです。様々なAMIが用意されているので、用途に合ったものを選択します。例えば、Amazon Linux、Windows Server、Ubuntu Serverなどがあります。用途に合わせて適切なAMIを選択することが重要です。 パブリックAMIに加えて、AWS Marketplaceから提供されるAMIや、独自に作成したカスタムAMIも利用可能です。

2.2.2 インスタンスタイプの選択

インスタンスタイプは、EC2インスタンスのCPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク容量を決定します。様々なインスタンスタイプが用意されているので、必要なリソースに合わせて選択します。例えば、t2.micro、t3.micro、m5.largeなどがあります。インスタンスタイプの選択は、パフォーマンスとコストに直接影響するため、慎重に検討する必要があります。 各インスタンスタイプの詳細なスペックは、AWSの公式ドキュメントを参照してください。また、後からインスタンスタイプを変更することも可能です。

2.2.3 インスタンスの詳細設定

インスタンスの詳細設定では、ネットワーク、サブネット、パブリックIPアドレスの自動割り当て、IAMロール、シャットダウン動作などを設定できます。必要に応じて設定を変更してください。特に、セキュリティグループの設定は重要です。適切なセキュリティグループを設定することで、インスタンスへの不正アクセスを防ぐことができます。

2.2.4 ストレージの設定

EC2インスタンスにアタッチするストレージを設定します。ルートボリュームのサイズ、ボリュームタイプ(汎用SSD、プロビジョンドIOPS SSDなど)、暗号化の有無などを設定できます。データの永続化のためには、EBSボリュームの使用が推奨されます。 インスタンスストアボリュームは一時的なストレージであるため、インスタンスの停止や終了に伴いデータが失われます。

2.2.5 タグの設定

タグは、EC2インスタンスを識別するためのキーバリューペアです。例えば、「Name:WebServer」「Environment:Production」のように設定することで、インスタンスを管理しやすくなります。タグを活用することで、コスト管理や運用効率の向上が期待できます。

2.2.6 セキュリティグループの設定

セキュリティグループは、EC2インスタンスへのインバウンドおよびアウトバウンドトラフィックを制御する仮想ファイアウォールです。許可するプロトコル、ポート範囲、ソース/デスティネーションなどを設定できます。セキュリティグループは、EC2インスタンスのセキュリティを確保するために非常に重要です。 デフォルトでは、SSH(ポート22)またはRDP(ポート3389)のみ許可するように設定することを推奨します。必要に応じて、HTTP(ポート80)、HTTPS(ポート443)などのポートを開放します。

2.2.7 キーペアの作成

キーペアは、EC2インスタンスにSSH接続するために使用します。キーペアは、公開鍵と秘密鍵のペアで構成されます。公開鍵はEC2インスタンスに配置され、秘密鍵はユーザーが安全に保管します。秘密鍵は厳重に管理し、他人と共有しないでください。 既存のキーペアを使用することも、新規にキーペアを作成することも可能です。

2.3 インスタンスの起動確認

設定が完了したら、「起動」ボタンをクリックします。インスタンスが起動し、ステータスが「running」になることを確認します。インスタンスのパブリックIPアドレスまたはパブリックDNS名を確認し、後ほどインスタンスに接続するために控えておきます。

3. EC2インスタンスへの接続

EC2インスタンスへの接続方法は、OSによって異なります。Linux系のOSの場合はSSH接続、Windows Serverの場合はRDP接続が一般的です。

3.1 SSH接続

Linux系のOSに接続するには、SSHクライアントを使用します。Tera Term、PuTTY、コマンドプロンプト、PowerShellなど、様々なSSHクライアントが利用可能です。秘密鍵を使用してSSH接続を行うことで、安全にインスタンスにアクセスできます。

3.2 RDP接続

Windows Serverに接続するには、リモートデスクトップ接続を使用します。Windowsに標準搭載されているリモートデスクトップ接続ツールを使用することで、簡単に接続できます。RDP接続を行う際は、セキュリティを考慮し、適切な設定を行うことが重要です。

4. EC2インスタンスの運用

4.1 EC2インスタンスの監視

4.1.1 CloudWatchによる監視

Amazon CloudWatchは、AWSリソースおよびAWS上で実行されるアプリケーションの監視サービスです。CPU使用率、メモリ使用率、ディスクI/Oなど、様々なメトリクスを監視できます。CloudWatchを活用することで、インスタンスの状態をリアルタイムで把握し、問題発生時に迅速に対応できます。 アラームを設定することで、特定のしきい値を超えた場合に通知を受け取ることも可能です。

4.2 EC2インスタンスのセキュリティ

4.2.1 セキュリティグループの活用

前述の通り、セキュリティグループはEC2インスタンスへのアクセスを制御する重要な仕組みです。必要最小限のポートのみを開放し、不要なアクセスを遮断することで、セキュリティリスクを低減できます。

4.2.2 IAMロールの活用

IAMロールは、EC2インスタンスに特定のAWSサービスへのアクセス権限を付与するための仕組みです。例えば、S3バケットへのアクセス権限を付与する場合、IAMロールを使用することで、アクセスキーIDやシークレットアクセスキーをインスタンスに保存する必要がなくなります。IAMロールを活用することで、セキュリティを向上させ、アクセスキーの管理の手間を省くことができます。

4.3 EC2インスタンスのバックアップ

4.3.1 EBSスナップショット

EBSスナップショットは、EBSボリュームのポイントインタイムコピーです。EBSスナップショットを作成することで、データをバックアップし、障害発生時にデータを復元できます。定期的にEBSスナップショットを作成することで、データ損失のリスクを軽減できます。

4.4 EC2インスタンスの停止・再起動・終了

EC2インスタンスは、AWSマネジメントコンソールまたはAWS CLIから停止、再起動、終了できます。インスタンスを停止すると、課金は停止されますが、EBSボリュームの課金は継続されます。インスタンスを終了すると、インスタンスストアボリュームのデータは失われます。インスタンスの停止、再起動、終了操作を行う際は、データの損失に注意してください。

5. EC2の料金体系

5.1 料金計算の仕組み

EC2の料金は、インスタンスタイプ、稼働時間、データ転送量などによって異なります。オンデマンドインスタンス、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスなど、様々な料金オプションがあります。用途に合わせて適切な料金オプションを選択することで、コストを最適化できます。

料金オプション説明
オンデマンドインスタンス必要なときに必要なだけ利用できる、柔軟な料金オプションです。
リザーブドインスタンス1年または3年間の契約期間で、オンデマンドインスタンスよりも割引された料金で利用できる料金オプションです。
スポットインスタンス未使用のEC2インスタンスを、オンデマンドインスタンスよりも大幅に割引された料金で利用できる料金オプションです。ただし、インスタンスがリクレイムされる可能性があります。

5.2 料金を抑えるためのTips

EC2の料金を抑えるためには、以下のTipsが有効です。

  • 不要なインスタンスは停止または終了する
  • 適切なインスタンスタイプを選択する
  • リザーブドインスタンスまたはスポットインスタンスを活用する
  • CloudWatchを活用してコストを監視する

6. EC2に関するよくある質問(FAQ)

6.1 EC2インスタンスの料金はどのように計算されますか?

EC2インスタンスの料金は、インスタンスタイプ、稼働時間、データ転送量などによって計算されます。詳しくは、AWSの公式ページをご覧ください。

6.2 EC2インスタンスに接続できない場合はどうすればよいですか?

EC2インスタンスに接続できない場合は、以下の点をチェックしてみてください。

  • セキュリティグループの設定が正しいか
  • キーペアが正しいか
  • ネットワーク接続に問題がないか

6.3 EC2インスタンスのデータをバックアップするにはどうすればよいですか?

EC2インスタンスのデータをバックアップするには、EBSスナップショットが利用できます。定期的にEBSスナップショットを作成することで、データ損失のリスクを軽減できます。

7. EC2インスタンスへの接続

EC2インスタンスの作成が完了したら、次はインスタンスに接続して各種操作を行います。EC2インスタンスへの接続方法は主にSSH接続RDP接続の2種類があります。使用する接続方法は、起動したインスタンスのOSによって異なります。Linux系のOSの場合はSSH接続、Windows系のOSの場合はRDP接続を用います。

7.1 SSH接続

SSH接続は、Linux系のEC2インスタンスに接続するための安全な方法です。接続には、インスタンス作成時に作成したキーペア(秘密鍵)が必要です。キーペアは厳重に管理しましょう。

Tera TermPuTTYRLoginなど、様々なSSHクライアントが利用可能です。ここではTera Termを例に接続方法を説明します。

  1. Tera Termを起動し、ホスト名にEC2インスタンスのパブリックIPアドレスまたはパブリックDNS名を入力します。
  2. SSH認証に使用する秘密鍵を指定します。
  3. 接続ボタンをクリックすると、EC2インスタンスに接続されます。

AWS Systems Manager セッションマネージャーを利用すれば、ブラウザからSSH接続することも可能です。この方法では、キーペアの管理が不要になるため、よりセキュアな接続を実現できます。

7.2 RDP接続

RDP接続は、Windows系のEC2インスタンスに接続するための標準的な方法です。接続には、インスタンス作成時に設定したAdministratorパスワード、もしくは作成後に設定したユーザー名とパスワードが必要です。

Windowsに標準搭載されているリモートデスクトップ接続ツールを利用して接続します。

  1. リモートデスクトップ接続ツールを起動し、コンピューター名にEC2インスタンスのパブリックIPアドレスまたはパブリックDNS名を入力します。
  2. 接続ボタンをクリックし、ユーザー名とパスワードを入力してEC2インスタンスに接続します。

接続後、Windowsデスクトップが表示され、通常のWindowsマシンと同様に操作できます。

接続方式OSツール認証情報
SSH接続Linux系Tera Term, PuTTY, RLogin, AWS Systems Manager セッションマネージャーキーペア(秘密鍵)
RDP接続Windows系リモートデスクトップ接続Administratorパスワード、もしくは設定したユーザー名とパスワード

セキュリティグループの設定によって、特定のIPアドレスからのみ接続を許可するなど、接続を制限することが可能です。セキュリティを強化するためにも、適切な設定を行いましょう。

また、接続に問題が発生した場合、セキュリティグループの設定、ネットワークACLの設定、ルートテーブルの設定を確認することで、問題解決の糸口が見つかる場合があります。これらの設定は、EC2インスタンスへの接続を制御する重要な要素です。

8. EC2インスタンスの運用

EC2インスタンスを起動したら、安定稼働のために適切な運用を行う必要があります。ここでは、監視、セキュリティ、バックアップ、停止・再起動・終了といった主要な運用タスクについて解説します。

8.1 EC2インスタンスの監視

EC2インスタンスの状態を常に把握することは、安定したサービス提供のために不可欠です。Amazon CloudWatchを利用することで、CPU使用率、メモリ使用量、ネットワークトラフィックなどのメトリクスを監視できます。アラームを設定することで、特定のしきい値を超えた場合に通知を受け取ることも可能です。

8.1.1 CloudWatchによる監視

CloudWatchは、EC2インスタンスを含む様々なAWSリソースを監視するためのサービスです。ダッシュボードを作成して複数のメトリクスを一元的に表示したり、詳細なログ分析を行うこともできます。CloudWatchを活用することで、システムの異常を早期に検知し、迅速な対応が可能になります。

8.2 EC2インスタンスのセキュリティ

EC2インスタンスのセキュリティ対策は、ビジネスの継続性にとって非常に重要です。セキュリティグループとIAMロールを適切に設定することで、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減できます。

8.2.1 セキュリティグループの活用

セキュリティグループは、EC2インスタンスへのインバウンドおよびアウトバウンドトラフィックを制御するための仮想ファイアウォールです。特定のポートやIPアドレスからのアクセスを許可・拒否するルールを設定することで、インスタンスを保護します。セキュリティグループはインスタンスレベルで設定するため、柔軟なアクセス制御が可能です。

8.2.2 IAMロールの活用

IAMロールは、EC2インスタンスに特定のAWSサービスへのアクセス権限を付与するための仕組みです。アクセスキーIDやシークレットアクセスキーをインスタンスに直接設定する必要がないため、セキュリティリスクを低減できます。IAMロールを使用することで、最小権限の原則に基づいたアクセス制御を実現できます。

8.3 EC2インスタンスのバックアップ

データ損失に備えて、EC2インスタンスのバックアップを定期的に取得することは重要です。EBSスナップショットを利用することで、EBSボリュームの完全なコピーを作成できます。

8.3.1 EBSスナップショット

EBSスナップショットは、特定の時点におけるEBSボリュームのポイントインタイムコピーです。増分バックアップ機能により、変更されたブロックのみをバックアップするため、ストレージ容量とバックアップ時間を節約できます。EBSスナップショットは、障害発生時の迅速な復旧に役立ちます。 また、スナップショットから新しいEBSボリュームを作成し、別のインスタンスにアタッチすることも可能です。

8.4 EC2インスタンスの停止・再起動・終了

EC2インスタンスの状態管理は、コスト最適化と運用効率の向上に繋がります。インスタンスの停止、再起動、終了を使い分けることで、不要なコストを削減できます。以下の表に各操作の違いをまとめます。

操作説明課金データ保持パブリックIPアドレス
停止インスタンスを一時的に停止する。停止中はインスタンスの使用料金は発生しないが、EBSボリュームのストレージ料金は発生する。EBSボリュームに保存されたデータは保持される。Elastic IPアドレスがアタッチされている場合は保持される。そうでない場合は解放される。
再起動インスタンスを再起動する。再起動中もインスタンスの使用料金は発生する。EBSボリュームに保存されたデータは保持される。Elastic IPアドレスがアタッチされている場合は保持される。インスタンストアの場合は変化する可能性がある。
終了インスタンスを完全に削除する。終了後はインスタンスの使用料金は発生しない。インスタンスストアに保存されたデータは削除される。EBSボリュームは設定によって削除または保持される。Elastic IPアドレスがアタッチされていない場合は解放される。

インスタンスの停止、再起動、終了は、AWSマネジメントコンソール、AWS CLI、AWS SDKから実行できます。 それぞれの操作の違いを理解し、適切に使い分けることで、効率的なEC2インスタンス運用を実現できます。

9. EC2の料金体系

Amazon EC2の料金は、従量課金制を採用しており、実際に使用したリソースに対してのみ料金が発生します。多様な料金モデルが用意されているため、自身の利用状況に最適なモデルを選択することがコスト最適化の鍵となります。主要な料金モデルは以下の通りです。

9.1 料金計算の仕組み

EC2の料金は、主に以下の要素に基づいて計算されます。

  • インスタンスタイプ:選択したインスタンスタイプによって、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク帯域幅などの性能が異なり、料金も変動します。t2.microのような低スペックインスタンスは安価ですが、高性能なc5.metalなどは高価になります。
  • 使用時間:インスタンスの実行時間に応じて課金されます。従量課金制のため、インスタンスを停止すれば料金は発生しません(ただし、EBSボリュームなどのストレージは別途課金されます)。秒単位の課金も可能です。
  • Amazon マシンイメージ (AMI):一部のAMIは利用料金が発生する場合があります。例えば、市販のソフトウェアが含まれるAMIなどです。無料利用枠の対象となるAMIもあります。
  • ストレージ:EC2インスタンスにアタッチするEBSボリュームの容量と種類、スナップショットの保存容量に応じて課金されます。SSDとHDDで料金が異なります。
  • データ転送:インターネットへのデータ転送、リージョン間のデータ転送、Amazon S3などの他のAWSサービスとのデータ転送など、データの転送量に応じて課金されます。
  • その他:Elastic IPアドレスの使用、ロードバランサーの使用、NATゲートウェイの使用など、追加のサービスを利用する場合、別途料金が発生します。

9.2 料金を抑えるためのTips

EC2の料金を最適化するためのTipsをいくつか紹介します。

Tips説明
適切なインスタンスタイプを選択する必要な性能を満たす最小限のインスタンスタイプを選択することで、コストを削減できます。EC2 Right Sizingツールを利用して、最適なインスタンスタイプを推奨してもらうことも可能です。
スポットインスタンスを活用するスポットインスタンスは、未使用のEC2インスタンスを最大90%の割引価格で利用できるため、バッチ処理やテスト環境など、中断されても問題ないワークロードに最適です。
リザーブドインスタンスを活用するリザーブドインスタンスは、1年または3年間の契約でEC2インスタンスを割引価格で利用できるため、長期的に利用するインスタンスに最適です。
Savings Plansを活用するSavings Plansは、1年または3年間の契約で、特定の金額または時間単位の使用量をコミットすることで、EC2、Fargate、Lambdaなどのコンピューティングサービスを割引価格で利用できる柔軟な料金モデルです。
不要なインスタンスは停止する開発環境やテスト環境など、常時稼働させる必要のないインスタンスは、停止することで料金を抑えることができます。
無料利用枠を活用するAWSの新規アカウント作成後1年間は、t2.microインスタンスなど、特定のサービスを一定量まで無料で利用できます。
AWS Cost Explorerを活用するAWS Cost Explorerは、AWSの利用料金を可視化し、分析するためのツールです。コストの発生源を特定し、最適化するための insights を得ることができます。
AWS Budgetsを活用するAWS Budgetsは、AWSの利用料金に対して予算を設定し、予算超過をアラートで通知するサービスです。コスト管理に役立ちます。

これらのTipsを参考に、EC2のコストを最適化しましょう。AWSの料金体系は複雑ですが、理解を深めることで、無駄なコストを削減し、より効率的にEC2を利用することが可能になります。

10. EC2に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、EC2に関するよくある質問と回答をまとめました。もし他に疑問があれば、AWSの公式ドキュメントを参照するか、AWSサポートにお問い合わせください。

10.1 EC2インスタンスの料金はどのように計算されますか?

EC2インスタンスの料金は、使用した時間、インスタンスタイプ、オペレーティングシステム、データ転送量、ストレージ容量など複数の要素に基づいて計算されます。オンデマンドインスタンスの場合、実際にインスタンスを使用していた時間に対して課金されます。リザーブドインスタンスやスポットインスタンスを利用することで、料金を削減できます。詳しくは、AWSの料金ページをご確認ください。

10.2 EC2インスタンスに接続できない場合はどうすればよいですか?

EC2インスタンスに接続できない場合は、以下の点をチェックしてみてください。

  • セキュリティグループの設定:適切なポート(SSHの場合は22番ポート、RDPの場合は3389番ポートなど)が開放されているか確認してください。ソースIPアドレスの範囲も正しく設定されている必要があります。
  • ネットワーク接続:インターネットに接続されているか、VPN接続が正しく確立されているか確認してください。
  • キーペア:正しいキーペア(.pemファイル)を使用しているか確認してください。キーペアを紛失した場合は、インスタンスに新しいキーペアを割り当てるか、インスタンスを再作成する必要があります。
  • オペレーティングシステムのファイアウォール:インスタンスのオペレーティングシステムでファイアウォールが有効になっている場合は、必要なポートを開放してください。
  • インスタンスの状態:インスタンスが正常に起動しているか確認してください。「停止」状態の場合は起動する必要があります。

上記を確認しても接続できない場合は、AWSの公式ドキュメントやトラブルシューティングガイドを参照するか、AWSサポートにお問い合わせください。

10.3 EC2インスタンスのデータをバックアップするにはどうすればよいですか?

EC2インスタンスのデータは、EBSスナップショットを使用してバックアップできます。EBSスナップショットは、EBSボリュームのポイントインタイムコピーであり、データの復元や新しいEBSボリュームの作成に使用できます。定期的にスナップショットを作成することで、データ損失のリスクを軽減できます。

また、AWS Backupサービスを利用することで、EBSボリュームだけでなく、他のAWSサービスのデータも一元的にバックアップおよび復元できます。さらに、Amazon S3などのストレージサービスにデータをコピーすることで、追加のバックアップレイヤーを構築することも可能です。

10.4 EC2インスタンスの種類と選び方について教えてください

EC2インスタンスには、様々な種類があり、それぞれ異なるCPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク性能を持っています。インスタンスファミリーは、汎用、コンピューティング最適化、メモリ最適化、ストレージ最適化などに分類されます。最適なインスタンスタイプは、アプリケーションの要件によって異なります。

インスタンスファミリー特徴ユースケース
汎用 (例: t2, t3, m5)バランスの取れたCPU、メモリ、ネットワーク性能Webサーバー、アプリケーションサーバー、小規模データベース
コンピューティング最適化 (例: c5, c6g)高性能CPU高負荷な計算処理、ゲームサーバー、HPC
メモリ最適化 (例: r5, r6g)大容量メモリインメモリデータベース、キャッシュサーバー、ビッグデータ処理
ストレージ最適化 (例: i3, i3en)高性能ストレージNoSQLデータベース、データウェアハウス

インスタンスの選択に迷った場合は、AWSのインスタンスセレクターツールを利用すると便利です。

10.5 EC2のセキュリティベストプラクティスについて教えてください

EC2インスタンスのセキュリティを確保するためには、以下のベストプラクティスを実践することが重要です。

  • 最小権限の原則:IAMロールを使用して、インスタンスに必要な権限のみを付与する。
  • セキュリティグループの適切な設定:必要なポートのみを開放し、ソースIPアドレスを制限する。
  • OSのセキュリティパッチ適用:定期的にOSのセキュリティパッチを適用し、脆弱性を解消する。
  • 不要なサービスの無効化:使用していないサービスは無効化することで、攻撃対象を減らす。
  • セキュリティ監査の実施:CloudTrailやCloudWatch Logsを使用して、インスタンスへのアクセスや操作を監視する。

10.6 Amazon マシンイメージ (AMI) とは何ですか?

Amazon マシンイメージ (AMI) は、EC2 インスタンスの起動に必要な情報をすべて含むテンプレートです。オペレーティングシステム、アプリケーションサーバー、アプリケーションなどが含まれます。AWS が提供する AMI、コミュニティ AMI、そして自分で作成したカスタム AMI を使用できます。

10.7 Elastic IP アドレスとは何ですか?また、いつ使用するべきですか?

Elastic IP アドレスは、EC2 インスタンスに関連付けることができる静的パブリック IPv4 アドレスです。インスタンスを停止、再起動しても、同じパブリック IP アドレスを維持したい場合に利用します。例えば、DNS レコードを更新することなく、インスタンスを置き換えたい場合などに便利です。

11. まとめ

この記事では、AWS EC2の基本的な使い方について、インスタンスの作成から運用、料金体系までを網羅的に解説しました。EC2は、スケーラブルで柔軟な仮想サーバーを提供するサービスであり、Webサイトのホスティング、アプリケーションの開発、データ分析など、様々な用途に活用できます。初めてEC2を利用する方でも、本記事の手順に従って進めることで、EC2インスタンスの作成、接続、運用をスムーズに行えるようになるでしょう。

EC2のメリットは、必要な時に必要なだけリソースを利用できるため、コスト効率に優れている点です。また、AWSの豊富なサービスと連携することで、より高度なシステム構築が可能になります。一方で、インスタンスの管理責任はユーザー側にあるため、セキュリティ対策や運用監視を適切に行う必要があります。本記事で紹介したセキュリティグループやCloudWatchを活用することで、安全かつ安定したEC2運用を実現できます。

EC2の料金は、インスタンスタイプ、稼働時間、データ転送量などによって変動します。コストを抑えるためには、適切なインスタンスタイプを選択し、不要なインスタンスは停止することが重要です。また、AWSの無料利用枠を活用することで、EC2を無料で試すことも可能です。本記事を参考に、EC2を効果的に活用し、ビジネスの成長に役立ててください。