Webサイトの攻撃の種類と手口一覧|攻撃対策6選を紹介
Webサイトを運営する際、さまざまな攻撃に備える必要があります。
本記事では、Webサイトの攻撃の種類を12個ご紹介します。
Webサイトの攻撃を対策する方法もお伝えするので、これからWebサイトを構築して運用していく場合やすでにWebサイト運用中で課題を抱えている場合はぜひ参考にしてください。
目次
Webサイトの攻撃の種類・手口一覧

Webサイトを攻撃から守る前に、どのような手口で攻撃を受けるのか攻撃の種類を把握しておきましょう。
ここでは、Webサイトの攻撃の種類を12個の手口に分けて解説します。
1. DoS攻撃
DoS攻撃とは、Webサイトやサーバーに対して大量のリクエストを送信して正常なサービス提供を妨害する攻撃手法です。
DoSはサービス拒否攻撃とも呼ばれ、サーバーの負荷を増大させてダウンさせたり、処理を極端に遅延させたりするのが目的です。
DoS攻撃は比較的単純ですが、サーバーに大きな影響を与えるため、適切な対策を講じる必要があります。
2. DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、分散型サービス拒否攻撃とも呼ばれ、複数のコンピュータやボットネットを利用して、一斉にターゲットのWebサイトやサーバーに大量のリクエストを送信し、サービスを妨害する攻撃です。
DoS攻撃と異なり、多数の攻撃元から行われるため、より大規模で強力な攻撃となります。
DDoS攻撃を受けると、Webサイトがダウン・遅延し、正常なユーザーがアクセスできなくなる恐れがあります。
企業の売上や信用が低下してECサイトや金融機関にとって致命的な損害を負ったり、ネットワーク全体の負荷増大により他のサービスにも影響が及ぶ可能性があったりするでしょう。
DDoS攻撃は大規模かつ高度なものが増えているため、多層的な防御を行うことが重要です。
3. 中間者攻撃
中間者攻撃とは、通信の途中に攻撃者が介入し、データを盗聴・改ざんする攻撃です。
Webサイトの利用者とサーバーの間に割り込み、パスワードやクレジットカード情報などの機密情報を不正に取得するのを目的とします。
中間者攻撃を受けると、個人情報の流出、企業の機密情報漏えい、偽サイトへの誘導によるフィッシング詐欺被害が拡大する恐れがあります。
中間者攻撃は気づきにくいため、通信の暗号化と適切な対策を講じることが重要です。
4. エキスプロイト攻撃
エキスプロイト攻撃とは、ソフトウェアやシステムの脆弱性を悪用し、不正な動作をさせる攻撃手法です。
攻撃者は、既知または未知のセキュリティホールを利用して、不正アクセス・データ窃取・マルウェア感染などを行います。
エキスプロイト攻撃を受けると、機密情報の漏えい、システムの乗っ取り・不正操作、ランサムウェアなどのマルウェア感染、Webサイト改ざんや不正アクセスの恐れがあります。
エキスプロイト攻撃は、脆弱性が放置されていると高い確率で成功するため、定期的なアップデートとセキュリティ対策の強化が重要です。
5. ポートスキャン
ポートスキャンとは、サーバーやネットワーク機器の開いているポートを調査し、攻撃の足がかりを探る手法です。
攻撃者は、ポートスキャンを利用して脆弱なポートやサービスを特定し、不正アクセスや攻撃を試みることができます。
ポートスキャンを受けると、開いているポートから脆弱性を悪用される、DDoS攻撃やマルウェア感染のリスクが高まる、ネットワーク機器への不正アクセスが試みられるなどの恐れがあります。
ポートスキャンは攻撃の前段階として行われることが多いため、早期に検知し対策を講じるのが重要です。
6. Googleハッキング
Googleハッキングとは、Googleなどの検索エンジンを利用して、公開されるべきでない機密情報や脆弱なWebサイトを特定する手法です。
攻撃者は、特定の検索コマンドを使用し、パスワード・設定ファイル・企業の内部情報などを検索で発見し、不正アクセスの足がかりとします。
Googleハッキングを受けると、パスワード・個人情報の流出、企業の機密情報の漏えい、脆弱なWebサイトが不正アクセスの標的にされる、サーバーの設定ミスによる情報漏えいのリスク増大の恐れがあります。
Googleハッキングは単なる検索エンジンの悪用であるため、適切な情報管理と設定を行うのを防ぐことが可能です。
7. 認証回避
認証回避とは、本来ならばID・パスワードや二要素認証などの認証を経なければアクセスできないシステムや機能に、不正にアクセスする攻撃手法です。
攻撃者は脆弱性や設定ミスを利用して、認証を迂回し、管理画面や機密データにアクセスします。
認証回避を受けると、管理画面・機密データへの不正アクセス、ユーザーアカウントの乗っ取り、企業のシステムが攻撃の踏み台にされる、データ改ざん・漏えい・サービスの悪用の恐れがあります。
認証回避はシステムの設定ミスや脆弱性が原因となることが多いため、セキュリティ対策の強化と定期的な脆弱性診断が重要です。
8. ブルートフォース攻撃
ブルートフォース攻撃とは、ログイン認証などのセキュリティシステムを突破するために、可能な限りすべてのパスワードや暗証番号を試す攻撃手法です。
この攻撃方法では、攻撃者がリストやツールを使ってすべての組み合わせを試行し、正しいパスワードを見つけ出すのを目的としています。
ブルートフォース攻撃を受けると、アカウントの不正アクセス、機密情報の漏洩、ユーザーアカウントの乗っ取り、大量のリソースを消費し、サーバーに負荷をかけるなどのリスクがあります。
ブルートフォース攻撃は時間がかかる場合もありますが、弱いパスワードを使用していると容易に突破されるため、強力な認証対策を講じるのが重要です。
9. クロスサイトリクエストフォージェリ
クロスサイトリクエストフォージェリとは、ユーザーが意図しない操作をWebアプリケーション上で実行させる攻撃手法です。
この攻撃は、攻撃者がユーザーを騙して不正なリクエストを送信させることで成り立ちます。
攻撃者は、ユーザーがログインした状態で、そのユーザーの権限を悪用して操作を行うことが可能です。
CSRFを受けると、ユーザーアカウントの乗っ取り、不正な操作や変更、サービスの悪用、個人情報や機密情報の漏洩のリスクがあります。
適切な対策を講じると効果的に防止が可能です。
10. リフレクト型クロスサイトスクリプティング
リフレクト型クロスサイトスクリプティングは、攻撃者が悪意のあるJavaScriptコードをユーザーに実行させる攻撃手法で、特にWebサイトの入力フォームやURLのパラメータを悪用するものです。
この攻撃では、ユーザーが送信したデータがWebページで即座に反映されるのを利用して、不正なスクリプトを実行させます。
リフレクト型XSSを受けると、ユーザーのセッションハイジャック、個人情報やクレジットカード情報の盗難、Webサイトの信頼性の低下、不正な操作やページ改ざん、悪意のあるコンテンツによるWebサイトの悪用の恐れがあります。
適切なエスケープ処理やCSPの導入、入力検証を行うと、この脆弱性の防止が可能です。
11. パスワードリスト攻撃
パスワードリスト攻撃は、攻撃者が事前に収集したユーザー名とパスワードの組み合わせリストを使用して、ターゲットのアカウントに不正アクセスを試みる攻撃手法です。
この攻撃は、過去に流出したパスワードデータベースや既知のユーザー名とパスワードのリストを利用して行われます。
パスワードリスト攻撃を受けると、アカウントの乗っ取り、個人情報や機密情報の漏洩、クレジットカード情報や銀行口座情報の盗難、Webサービスの不正利用、攻撃者によるリソースの不正利用の恐れがあります。
強力なパスワード、二要素認証、ログイン試行制限などの対策を組み合わせて、攻撃からの防御を強化するのがポイントです。
12. セッションIDの搾取
セッションIDの搾取は、Webサイトやアプリケーションでのセッション管理における脆弱性を利用して、ユーザーのセッションIDを盗み取る攻撃です。
この攻撃が成功すると、攻撃者はユーザーのセッションを乗っ取り、ユーザーのアカウントに不正アクセスできるようになります。
セッションIDは、ユーザーがWebサイトにログインした際に、サーバーがクライアントに発行する一意の識別子で、ユーザーの認証情報やセッション状態を保持する役割を担っています。
HTTPSの利用やセッションIDの再生成、二要素認証の導入などのセキュリティ対策を講じると、攻撃からWebアプリケーションやユーザーを守れる可能性が高いです。
Webサイトの攻撃対策

Webサイトを攻撃から守るためには、対策を徹底する必要があります。
ここでは、Webサイトの攻撃対策を6つご紹介します。
1. マルウェア対策
マルウェア対策は、Webサイトやシステムを悪意のあるソフトウェアから守るための措置です。
マルウェアは、コンピュータ、ネットワーク、Webサイトに感染して、情報を盗んだり、システムを不正に操作したり、データを破壊することを目的としているソフトウェアです。
Webサイトをターゲットにしたマルウェア攻撃には、サイトがハッキングされてマルウェアを配布するケースや、サイト自体が感染している状態が含まれます。
サイトが感染した場合は、どのマルウェアが感染源となったかを特定しその部分を削除するのが正しい対処法です。
すべての管理者アカウントやユーザーアカウントのパスワードを強化して変更し、再度感染することを防ぎましょう。
2. ファイアウォールの導入
ファイアウォールの導入は、Webサイトやネットワークを外部からの不正アクセスや攻撃から守るためのセキュリティ対策です。
ファイアウォールは、ネットワークトラフィックを監視し、許可された通信だけを通過させ、不正な通信を遮断する役割を果たします。
その結果、Webサイトへの攻撃を防ぎ、内部システムやデータのセキュリティの強化が可能です。
導入する際、適切なルールを設定するのは重要ですが、誤った設定がセキュリティの脆弱性を生む可能性があります。
特に、高度なネットワーク構成や複雑なアクセス制御が必要な場合には、設定に専門的な知識が求められます。
ファイアウォールはトラフィックをフィルタリングするため、特に大量のリクエストがある場合、Webサイトのパフォーマンスに影響を与えるケースがあるでしょう。
そのため、適切なスケーリングが求められます。
3. DMZ環境の構築
DMZ環境の構築は、Webサイトやシステムを外部からの攻撃から保護するためのセキュリティ設計です。
DMZは、外部ネットワークと内部ネットワークとの間に設置される中立的なゾーンで、インターネットと内部ネットワーク間のセキュリティを強化します。
主に、外部からアクセスが必要なサービスをDMZ内に配置すると、内部システムの保護を強化します。
ただし、DMZ環境は、ネットワーク設計やファイアウォールの設定が複雑であるため、導入と運用には高い技術力が必要です。
誤った設定がセキュリティリスクを引き起こす可能性もあります。
また、追加のハードウェアやソフトウェアが必要です。
その結果、初期費用や維持費用が増加する可能性があります。
コストや管理の負担がかかることを考慮しつつ、セキュリティレベルを高めるために導入を検討しましょう。
4. 社内のサイバーセキュリティ意識向上
社内のサイバーセキュリティ意識向上は、組織内の従業員がサイバーセキュリティに対する意識を高め、セキュリティリスクを理解し、適切な行動を取れるようにするための教育・訓練活動です。
企業や組織において、技術的なセキュリティ対策だけでは完全に防げない攻撃や脅威が存在します。
多くのサイバー攻撃は、従業員の無意識なミスや不注意な行動によって発生します。
従業員全員がセキュリティ意識を持つことが、Webサイトやシステムの保護において非常に重要です。
従業員教育やセキュリティポリシーの策定、フィッシングテストの実施などを通じて、セキュリティ意識を高め、企業全体のサイバーリスクを軽減しましょう。
5. WAFの導入
WAFは、Webアプリケーションを狙った攻撃から保護するためのセキュリティ対策で、WebサイトやWebアプリケーションに対する不正なリクエストを検出して防ぐ役割を持つ防御システムです。
WAFは、Webアプリケーションに特化したファイアウォールで、一般的なネットワークファイアウォールがTCP/IPプロトコルやネットワークレベルでの攻撃を防ぐのに対し、WAFはHTTP/HTTPS通信に特化して、アプリケーション層での攻撃を防ぎます。
WAFの設定や管理は、特に大規模なWebアプリケーションの場合、複雑になるケースがあります
攻撃の種類やルールの設定が多岐にわたり、適切に構成しないと効果的な防御ができません。
6. IDS/IPSの導入
IDSおよびIPSは、ネットワークやシステムへの不正アクセスや攻撃を検出・防止するためのセキュリティシステムです。
IDSは侵入検知システム、IPSは侵入防止システムとも呼ばれ、どちらもネットワークトラフィックを監視し、攻撃の兆候を検出して対応する役割を果たします。
ただし、IDS/IPSは、正常なトラフィックを誤って不正と判定する場合があります。
正当なアクセスがブロックされるケースがあり、業務に支障をきたす可能性があるので、誤検知を減らすためには設定やチューニングが必要です。
まとめ
Webサイトの攻撃は多様化しており、DoS攻撃やDDoS攻撃、ブルートフォース攻撃、クロスサイトスクリプティングなど、さまざまな手口が存在します。
攻撃を防ぐためには、ファイアウォールやWAFの導入、マルウェア対策、DMZ環境の構築など、複数の対策を組み合わせるのが重要です。
また、社内でのセキュリティ意識向上やIDS/IPSの導入も効果的です。
攻撃のリスクを最小限に抑えるためには、最新の技術を取り入れ、定期的な監視とメンテナンスを行いましょう。