Amazon ECRの料金の計算方法は?データ転送料金や無料利用枠について解説
Amazon ECRとは、コンテナイメージを簡単に保存・共有・デプロイできるサービスです。
AWSの導入時にAmazon ECRも利用しようか迷っている場合、まずどれくらいの料金がかかるか知っておきたいものです。
本記事では、Amazon ECRの料金の詳細や料金シミュレーションをご紹介します。
Amazon ECRを利用する場合は、無料利用期間を活用して今後も必要か見分けましょう。
Amazon ECRとは?

Amazon ECRは、完全に管理されたコンテナレジストリサービスです。
利用するとコンテナイメージを簡単に保存、共有、どこにでもデプロイできます。
Amazon ECRを使えば、イメージやアーティファクトを高い可用性で保持し、確実にデプロイが可能です。
例えば、ECRにプッシュしたイメージをAWS CodePipelineやGitHub Actionsと連携してデプロイ、ECSやEKSと組み合わせてコンテナ化されたアプリを運用、コンテナ化されたモデルやデータ処理スクリプトを管理・共有で活用できます。
Amazon ECRの料金詳細

Amazon ECRを導入したいものの、まずどれくらいの料金がかかるか把握しておきたい場合があるでしょう。
ここでは、Amazon ECRの料金詳細について解説します。
参考元:AWS「Amazon Elastic Container Registry の料金」
ストレージ
プライベートリポジトリまたはパブリックリポジトリに保存されたデータのストレージ料金は、1GBあたり月額USD0.10です。
プライベートリポジトリから転送されたデータ
リージョンがアジアパシフィック(東京)の場合、すべてのデータ受信はUSD 0.00/GBです。
データ送信の料金は、9.999TB/月までUSD 0.114/GB、40TB/月までUSD0.089/GB、100 TB/月までUSD0.086/GB、150 TB/月を超えるとUSD 0.084/GBかかります。
公開リポジトリから転送されたデータ
公開リポジトリから転送されたデータの料金は、すべてのデータ受信だと0.00USD/GBです。
データ送信は、AWS アカウントを使用しない場合500GB/月0.00 USD/GBで利用でき、AWSアカウントを使用する場合でも5TB/月までなら0.00USD/GBです。
AWS以外のリージョンへの5TB/月を超えるデータを送信する際、0.09USD/GBかかります。
任意のAWS リージョンへの任意の量のデータ送信は、0.00USD/GBで料金はかかりません。
プライベートリポジトリからのデータ転送の料金は、以下のサービスでのデータ送信の合計量で決まります。
- Amazon Elastic Compute Cloud
- Amazon ECR
- Amazon Elastic Block Storage
- Amazon Simple Storage Service
- Amazon S3 Glacier
- Amazon Relational Database Service
- Amazon SimpleDB
- Amazon Simple Queue Service
- Amazon Simple Notification Service
- Amazon DynamoDB
- AWS Storage Gateway
- Amazon Virtual Private Cloud
また、クロスリージョンレプリケーションを使ってリージョン間でイメージをコピーする際、転送されるデータにはソースリポジトリのリージョンに基づいたECRデータ転送料金がかかります。
AWSアカウントを利用していない場合、パブリックリポジトリから転送されるデータは、送信元IPアドレスによって制限されるので把握しておきましょう。
暗号化
リージョンがAWS GovCloud(米国東部)の場合、暗号化タイプによって料金が異なります。
Amazon S3マネージドキーによるサーバー側の暗号化(SSE-S3)は無料です。
AWS Key Management Serviceに保存されているキーによるサーバー側の暗号化(SSE-KMS)は無料†、AWS Key Management Serviceに保存されているキーによる二層サーバー側の暗号化(DSSE-KMS)はUSD0.0036/GB††です。
Amazon ECRは、デフォルトでECRにプッシュされたイメージを暗号化するために、追加料金なしでAmazon S3マネージド暗号化キー(SSE-S3)を使用してサーバー側で暗号化を行います。
†SSE-KMSを使用する場合、データキーを生成または取得するためにAWS KMSの料金が発生します。
††SSE-KMSはAWS KMSの料金に加え、データの暗号化と復号に対してGB単位で追加の暗号化料金が発生するのが特徴です。
Amazon ECRの料金計算シミュレーション

受信および送信のデータは、Amazon ECRへの転送とAmazon ECRからの転送を指します。
同一リージョン内でAmazon ECRと他のサービス間でデータが転送される場合、そのデータ転送は無料です。
異なるリージョン間でのAmazon ECRと他のサービス間のデータ転送には、インターネットデータ転送料金が両方の転送側で適用されます。
それらを踏まえ、以下ではAmazon ECRの料金計算シミュレーションを5つのケースに分けて解説します。
参考元:AWS「Amazon Elastic Container Registry の料金」
ケース1. リージョン内転送によるAmazon ECRプライベートリポジトリ
組織内でプライベートに共有するために、合計40GBのソフトウェアイメージを保存していると想定します。
このストレージには、1GBあたり0.10 USDの料金が適用され、月額4USDが課金されます。
データ転送は料金がかからず、組織内の他のメンバーはAmazon EC2またはAWS Fargateを使用して同じリージョン内で1TB/月のイメージをプルしているため、データ転送の料金も発生しません。
最終的な合計コストは月額4USDです。
ケース2. クロスリージョン転送によるAmazon ECRプライベートリポジトリ
us-east-1リージョンに合計20GBのソフトウェアイメージを保存していると想定します。
ストレージには月額2USDの料金がかかりますが、データ転送には料金が発生しません。
組織の他のメンバーは、Amazon EC2上でAmazon ECSやFargateを使用し、同じリージョンおよびus-west-1リージョンからデータをプルします。
各リージョンで月50 GBをプルしていますが、us-west-1へのデータ転送にのみ料金がかかります。
データ転送にはGBあたり0.09USDの料金が適用され、転送されたデータの合計料金は4.50USDです。
1か月の合計コストは、ストレージが2USD、データ転送が4.50USDとなり、最終的な合計コストは月額6.50USDです。
ケース3. Amazon ECRパブリックリポジトリで無料制限内で利用
公開して共有するために合計40GBのソフトウェアイメージとアーティファクトを保存していると想定します。
無料利用枠の範囲内に収まっているため、保存に関する料金は発生しません。
また、データを受信するための料金もかからないので、最終的な合計コストは0USDとなります。
ケース4. Amazon ECRパブリックリポジトリの匿名のデベロッパーで無料制限内で利用
匿名のデベロッパーで、パブリックレジストリから毎月300GBのデータをプルしていると想定します。
無料利用枠の範囲内に収まっているため、データ送信に関する料金は発生しません。
最終的な合計コストは0USDです。
ケース5. Amazon ECRパブリックリポジトリで無料制限外で利用
AWSアカウントを使用して、ECRパブリックから毎月6TBのイメージをデータセンターに、さらに毎月8 TBのイメージをAWSリージョンにプルしていると想定します。
データセンターにプルされた最初の5TBは無料利用枠内で、残りの1TBについてはAWS以外の送信先への転送に対してGBあたり0.09USDが課金され、超過分には90USDが請求されます。
一方、AWSリージョンへの転送に関しては8TB/月が無料で提供されるので、最終的な合計コストは月額90USDです。
Amazon ECRは無料利用枠が適用される

新規・既存の利用者は、パブリックリポジトリ用に毎月50GBのストレージを無料で利用できます。
AWSアカウントを使用せず匿名で利用する場合、パブリックリポジトリから毎月500 GBのデータをインターネットに転送することが無料です。
AWSアカウントにサインアップするか、既存のAWSアカウントでAmazon ECRに認証すれば、毎月5TBのデータをパブリックリポジトリからインターネットに無料で転送できます。
また、パブリックリポジトリから任意のAWSリージョンのAWSコンピューティングリソースにデータを転送する際、無制限の帯域幅を無料で利用が可能です。
無料利用枠はすべてのリージョンで毎月リセットされ、お客様の請求額に自動的に適用されますが、翌月に繰り越すことはできません。
まとめ
Amazon ECRは、コンテナイメージを保存、管理、共有するためのフルマネージドなコンテナレジストリサービスです。
料金は主にストレージ、データ転送、暗号化に基づいています。
リージョン内転送やクロスリージョン転送に関しては、特定の条件で料金が発生します。
また、パブリックリポジトリに対しては無料利用枠が提供され、匿名でもデータ転送が一定量まで無料で実行が可能です。
利用シーンに応じた料金シミュレーションでコストを予測し、最適な運用が実現できます。