Webサーバーのセキュリティ対策とサービスを紹介|セキュリティ強化の重要性とは?
Webサーバーはセキュリティ対策を怠ると、攻撃を受けて損害を負ってしまうリスクがあります。
本記事では、Webサーバーのセキュリティの課題や重要性をはじめ、Webサーバーの攻撃の種類をご紹介します。
そのほか、Webサーバーのセキュリティ対策とセキュリティを高めるサービスをお伝えするので、Webサーバーのセキュリティを高めたい場合はぜひ参考にしてください。
Webサーバーのセキュリティにおける課題

Webサーバーへの攻撃手法は年々多様化しており、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)、DDoS攻撃など、攻撃者はさまざまな方法で脆弱性を狙います。
Webサーバーにアクセス可能な環境である限り、予測が難しく、常に新しい手法に対処する必要があります。
ソフトウェアやミドルウェアにセキュリティの脆弱性が見つかるケースがあり、放置されると攻撃者に悪用される危険性があるでしょう。
脆弱性を発見し、パッチを適用するまでに時間がかかる場合が多いため、常にセキュリティアップデートを適用し続けるのが課題です。
適切なアクセス制御が行われていない場合、攻撃者が不正にアクセスできる可能性があります。
例えば、過剰な権限を持つユーザーや管理者アカウントを放置しておくと、侵入者によって悪用される恐れがあります。
アクセス制御や認証の管理も重要な課題です。
セキュリティ強化の重要性
インターネットを通じてアクセス可能なWebサーバーは、攻撃者にとって魅力的なターゲットです。
近年、サイバー攻撃の手法が多様化しており、Webサーバーに対する攻撃も急増しています。
SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)、DDoS攻撃など、さまざまな攻撃手法が存在し、それらに対する防御策を講じるのがセキュリティ強化の重要な理由となります。
Webサーバーは多くの場合機密情報を扱うので、顧客情報や取引データ、個人情報など、漏洩や不正アクセスがあれば、法的責任を問われる可能性があるでしょう。
データの暗号化や適切なアクセス制御、情報漏洩防止対策を行うことで、情報の保護が可能となり組織の信頼性を保てます。
Webサーバーの攻撃の種類

Webサーバーを攻撃から守る前に、どのような手口で攻撃されるか把握しておきましょう。
ここでは、Webサーバーの攻撃を7種類ご紹介します。
1. ポートスキャン
ポートスキャンとは、攻撃者がターゲットとなるサーバーのオープンポートを調べる手法です。
インターネット上の機器は、特定のポートを通じてさまざまなサービスを提供しています。
例えば、Webサーバーは通常ポート80(HTTP)や443(HTTPS)を使用します。
攻撃者はポートスキャンを行いどのポートが開かれているか確認し、オープンポートが見つかるとポートに関連するサービスの脆弱性を突いた攻撃を仕掛けることが可能です。
2. Web改ざん
Web改ざんとは、攻撃者がWebサーバーに不正アクセスし、Webサイトのコンテンツを意図的に変更する攻撃手法です。
Webサイトの表示内容が不正に改変されたり、悪意のあるコードが埋め込まれたりします。
Web改ざんは、企業や個人の信頼性に重大な影響を及ぼすだけでなく、訪問者に対してもリスクをもたらす可能性があります。
攻撃を防ぐためにはセキュリティ対策をしっかりと講じ、定期的なチェックと監視を行うことが不可欠です。
3. SQLインジェクション
SQLインジェクションとは、攻撃者がWebアプリケーションのSQLクエリに悪意のあるコードを挿入することによって、不正にデータベースにアクセスしたり、操作したりする攻撃手法です。
ユーザーが入力するデータを適切に検証せずにSQLクエリにそのまま組み込むような脆弱性がある場合に発生します。
攻撃者がSQLインジェクションを利用してデータベース内のデータを改ざんしたり削除したりする、攻撃者がデータベースを通じてサーバーやシステムを制御する場合があります。
4. クロスサイトスクリプティング(XSS)
クロスサイトスクリプティングは、悪意のあるスクリプトをWebサイトに埋め込み、ユーザーのブラウザ上で実行させる攻撃手法です。
攻撃者は、ユーザーのセッション情報やクッキーを盗んだり、フィッシング詐欺を実行したりする目的でXSSを利用します。
クッキーやセッションIDが盗難されると、認証済みのユーザーになりすますことが可能です。
フィッシング詐欺により、ユーザーに偽のログインフォームを表示させ情報を抜き取られる恐れがあります。
5. DDoS攻撃
DDoS攻撃とは、多数のコンピュータから同時にWebサーバーへ大量のリクエストを送りつけ、サーバーを過負荷状態にして正常なサービス提供を妨害する攻撃です。
通常のDoS攻撃は単一のコンピュータから行われるのに対し、DDoS攻撃は複数のコンピュータを利用して行われるため、防御がより困難になります。
DDoS攻撃を受けると、Webサイトやオンラインサービスのダウンして、ユーザーがアクセス不能になるリスクがあります。
システムリソースが枯渇すれば、サーバーのCPUやメモリが過負荷になり処理不能になる恐れがあるでしょう。
6. ブルートフォースアタック
ブルートフォースアタックとは、総当たり攻撃とも呼ばれ、考え得るすべてのパスワードの組み合わせを試すことで、不正にログインしようとする攻撃手法です。
特に、ログインページや管理者用パネルが標的にされやすく、脆弱なパスワードが設定されていると簡単に突破されてしまいます。
ブルートフォースアタックの影響を受けると、不正アクセスによりWebサイトの管理画面やユーザーアカウントが乗っ取られたり、情報漏えいにより個人情報・機密情報が流出したりする恐れがあります。
7. ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやシステムの脆弱性が発見された直後、修正パッチが提供される前に、その脆弱性を悪用する攻撃です。
ゼロデイとは、開発者が脆弱性を認識してから対策を講じるまでの時間が「0日」であるのを意味します。
開発者やセキュリティ企業が脆弱性に気づいていない段階で攻撃されるため、通常のセキュリティ対策では防ぎにくいです。
高度な攻撃手法が使われるケースが多く、ゼロデイ攻撃は国家レベルのサイバー攻撃や高度なサイバー犯罪で利用される場合があります。
Webサーバーのセキュリティ対策

Webサーバーが攻撃されるリスクを考慮して、セキュリティ対策に力を入れましょう。
ここでは、Webサーバーのセキュリティ対策を6つご紹介します。
1. OS・ミドルウェア・アプリケーションを最新の状態に更新する
Webサーバーを構成するOS、ミドルウェア、アプリケーションには脆弱性が発生することがあります。
攻撃者は、脆弱性を悪用して不正アクセスやマルウェア感染を引き起こそうとするのが一般的です。
新たに発見された脆弱性は、ソフトウェアの開発元がセキュリティパッチを提供し、修正されます。
しかし、パッチが適用されないままだと、サーバーは攻撃を受けやすい状態になります。
そのため、OS・ミドルウェア・アプリケーションを常に最新の状態に保つことが重要です。
2. 不要なアプリケーションやサービスを削除する
Webサーバーには、デフォルトで多くのアプリケーションやサービスがインストールされているケースがあります。
しかし、それらの中には使用しないものや、セキュリティリスクを伴うものが含まれている可能性があります。
不要なアプリケーションやサービスが稼働していると、次のようなセキュリティリスクが発生するので注意しましょう。
- 脆弱性の増加
- 攻撃対象の拡大
- リソースの浪費
- 管理の複雑化
そのため、不要なアプリケーションやサービスを削除し、サーバーを最小構成に保つことが重要です。
3. 開発時に作成したアカウントを適切に管理する
開発時に作成したアカウントが適切に管理されていないと、不要なアカウントが残り続けたり、不適切な権限が付与されたままになったりする可能性があります。
このような状態は、攻撃者にとって格好の標的となります。
例えば、開発用アカウントが残ったままの状態で、初期パスワードのままだったり、強力な権限を持っていたりすると、不正アクセスやデータ漏えいにつながるリスクが高まるでしょう。
適切なアカウント管理では、開発用アカウントを本番環境に残さない、最小権限の原則を徹底し過剰な権限を与えない、*強力なパスワードポリシーを適用し二要素認証を導入することを意識するのがポイントです。
4. ファイルやディレクトリへの適切なアクセス制御を徹底する
Webサーバー上のファイルやディレクトリに適切なアクセス制御が設定されていないと、外部から不正に閲覧・改ざん・削除されるリスクが高まります。
特に、設定ファイルやデータベースの認証情報が含まれるファイルが漏えいすると、重大なセキュリティインシデントにつながる可能性があります。
例えば、設定ファイルの漏えい、機密データの流出、ディレクトリリスティングによる情報漏えい、攻撃者による改ざんや削除のリスクが高まるでしょう。
5. Webサイト運用で使うツールを適切に利用する
Webサイトの運用では、CMSやプラグイン、開発ツール、セキュリティツールなど、多くのソフトウェアを利用します。
しかし、これらのツールを適切に管理しないと、脆弱性を突かれて攻撃されるリスクが高まります。
例えば、CMSやプラグインの脆弱性を悪用された不正アクセス、不要なツールが残っていて攻撃者に利用される、セキュリティ対策ツールの誤設定による情報漏えいなどの問題が発生する可能性があります。
適切にツールを利用すると、セキュリティリスクを最小限に抑え、Webサーバーの安全性を向上させられるでしょう。
6. サーバーログの取得と保管を行う
サーバーログは、Webサーバーやアプリケーション、システムに関連するさまざまな情報を記録したファイルです。
これには、ユーザーのアクセス履歴、エラーメッセージ、システムのイベント、セキュリティ関連の警告などが含まれます。
サーバーログの取得と保管を行うことは、セキュリティの強化に不可欠です。
ログをリアルタイムで監視すると、攻撃や不正アクセスの兆候を早期に検出できます。
異常なIPアドレスからのアクセスや、繰り返し失敗するログイン試行などが検出された場合には、警告を発するシステムを構築するのが重要です。
ログ監視ツールには、異常を検出した場合に自動的にアラートを送信する機能があります。
その結果、問題が発生した際に迅速に対応でき、攻撃を未然に防止が可能です。
Webサーバーのセキュリティをさらに高めるサービス

Webサーバーを攻撃から守るために、セキュリティを高めるサービスを導入すると良いでしょう。
ここでは、Webサーバーのセキュリティをさらに高めるサービスを3つご紹介します。
1. ファイアウォール
ファイアウォールは、ネットワークのセキュリティシステムであり、信頼できるネットワークと外部の不正アクセスから守るための重要なセキュリティ機能です。
主に、Webサーバーやネットワークに対する攻撃を防止するために、送受信されるデータを検査し、不正なデータ通信を遮断する役割を担います。
ファイアウォールは、ネットワークの境界に配置され、通信の流れをトラフィックフィルタリングやアクセス制御リストを用いて管理します。
その結果、不正なアクセスや攻撃からWebサーバーを守ることが可能です。
2. IPS・IDS
IPSは、ネットワークやシステムへの不正アクセスを検出し、リアルタイムで防止するためのセキュリティツールです。
IPSは、Webサーバーやネットワークに対する攻撃を積極的にブロックし、攻撃者のアクセスを遮断します。
IPSは通常、侵入を事前に察知してリアルタイムで対応する能力を持っています。
攻撃を検出すると、その攻撃を自動的に遮断したり、関連する通信をブロックしたりすることが可能です。
IDSは、ネットワークやシステムへの不正アクセスや攻撃を検出するセキュリティツールです。
IPSとは異なり、IDSは攻撃を防ぐのではなく、攻撃を検知して管理者に通知することに重点を置いています。
IDSはネットワークやシステムのトラフィックを監視し、異常な挙動や攻撃の兆候を検出します。
その後、検出された情報をリアルタイムで管理者に警告として報告し、攻撃に対する対応を促すのが流れです。
3. WAF
WAFは、Webアプリケーションをターゲットにした攻撃から保護するためのセキュリティサービスです。
WAFは、HTTP/HTTPSトラフィックを監視し、不正なリクエストをフィルタリングすることによって、WebサーバーやWebアプリケーションへの攻撃を防止します。
具体的には、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング、CSRF、DDoS攻撃など、Webアプリケーションに特化した脅威に対する防御を提供します。
まとめ
Webサーバーのセキュリティ強化には、さまざまな攻撃手法に対する防御策を講じることが不可欠です。
ポートスキャンやSQLインジェクション、DDoS攻撃など、多岐にわたる脅威に備えるためには、最新のOSやミドルウェアの更新、不要なサービスの削除、適切なアクセス制御が求められます。
また、ファイアウォールやWAFなどのセキュリティサービスを活用し、攻撃の予防と検出を強化するのが重要です。
対策を総合的に実施すると、Webサーバーを安全に運用することが可能になります。