システム開発の発注の手順
企画・プロジェクトの立ち上げ
新たにシステムを導入したい/更新が迫っているものがある/リニューアルがしたいなど、システムに課題を感じたら、社内でシステム開発に関するプロジェクトを立ち上げましょう。
プロジェクトで決めておくことの例
- システム開発の目的と要件
- システムの大まかな予算と期間
- どのような機能を付けるか
- どのような仕様を希望するか
- 存のシステムとの連携をさせるかどうか
- 仕様の優先順位
- 社内の担当者擁立と関係者とのコミュニケーション経路の確立
提案依頼書(RFP)を作成する
プロジェクトで話し合った内容を提案依頼書(RFP)にまとめていきます。システムの要件を口頭で伝えるだけだと、伝え漏れや行き違いが生じることがあるため、書面でまとめることが大切です。このRFPをシステムインテグレーターに提示することで、システムに関する正確な見積もりを出してもらいやすくなります。
オリエンテーションを行う
開発を依頼する業者に提案依頼書(RFP)の内容を説明します。相見積もりを取る場合は、複数の業者に対してオリエンテーションを行う必要があります。
開発業者を決定する
各システムインテグレーターの提案するシステムの内容や料金を見て、社内で検討を行います。開発業者が決定したら、システム開発の最初の段階、要件定義へと進んでいきます。
システム開発会社の選び方3選
見積もり金額で選ぶ
提示された見積もりの金額を見て、選ぶ方法です。とても単純ですが、この方法を採用する場合はかなり注意が必要です。なぜなら、料金に対してシステムの質は同等だとは限らないからです。決まったパッケージをそのまま導入するのなら品質は変わりませんが、カスタマイズの料金が必要だったり、ましてフルスクラッチで一から開発する場合は、開発者次第でシステムの出来には大きな差があります。
「誰が、どんなシステムを、どのように開発するのか」を慎重に見た上で決めることをお勧めします。
ちなみに、入札の場合でも、システム開発の場合は完全な金額勝負となる「最低価格落札方式」はリスクがあります。システムの提案内容を見てから決められるよう「総合評価方式」で行うことをお勧めします。
料金が安いと思ったら、こんな理由で後悔することも…
- 限定した機能しかなくて、やりたいことができなかった
- 劣悪な下請けに丸投げされてしまい、良いシステムができなかった
- 書面上は良いと思ったけど、まさに「絵に描いた餅」。システムとして全然使えなかった…
提案内容で選ぶ
システムの中身で選ぶ、やはりこれが一番失敗が少ない選び方だと言えます。やりたい機能がついていた上に、さらなる利便性を追求する提案をしてくれた…という場合は、料金は他より少し高くても選ばれる傾向が高いようです。
対応で選ぶ
顧客対応の良し悪しで選ぶ、という方法もあります。クイックレスポンスをする会社は、開発期間中もマメにフィードバックをくれたりしますし、導入後に障害が起きた際にもSOSに対して即対応してくれることが期待できます。反対に、対応が悪い企業は、開発中もあまり連絡が取れなかったり、報告がなくてやきもきしたり…ということが起きる可能性があります。
しかし、対応で選ぶ時に忘れてはいけない視点があります。それは、今はまだ受注前だということです。
いざ案件が取れたら手の平を返す業者も存在しますし、そうでなくとも設計までを自社で行った後に、開発については下請けに任せきりにして、自社は関与しないというスタンスの会社もあるため、そもそもの開発に関わる登場人物が変わることがあるのです。感じの良かった営業がそのまま開発、保守まで面倒を見てくれるわけではない以上、顧客対応が良いに越したことはありませんが、それだけで選ぶというのもまたリスクがあると言えるでしょう。
つまり、システムの提案内容と開発費のバランスをよく見て考えること。顧客対応の良さは大事ですが、
そもそも本件の開発に対し、誰が責任を持って開発当事者となるのか、を押さえることが大事だと言えます
「あの会社に発注して大丈夫?」システム会社選びで注意すべき3つの視点
提案内容の質が同じとは
限らない
たとえば「受発注管理システム」だとしても、機能や仕様はさまざま。だからと言って、性能が良いからいいとか、機能が多いからいいというわけでもありません。自社にとって最適なシステムを選択することが、最もリーズナブルにシステムを手に入れる方法だと言えます。
開発を全てその業者がやるとは
限らない
システム開発は下請け産業のため、有名な企業がこんなに安く請けてくれた…と思っていたら、実際はまったく別の会社に丸投げされていた、ということもあります。開発者は誰か?は常に気を付けておく必要があります。
追加料金が発生する
可能性がある
予期せぬ工期の延長や、追加開発の必要性が発生するなどで見積もり時より料金が上がってしまうことがあります。無理なスケジュールで安く見積もっても、後から料金が発生しては意味がないので注意しましょう。
システム開発の発注で後悔しないための4つのポイント
書面をしっかりと作りこむ
プロジェクトのリーダーは、システムを実際に利用する人に対してもヒアリングを行い、どんなシステムが欲しいのか、しっかりと提案依頼書(RFP)にまとめましょう。システムインテグレーターに正確に意思を伝えることが、良いシステム作りを実現する第一歩です。
開発会社としっかりコミュニケーションをとる
こちらが開発に望むことを開発業者が理解しているか。要件に漏れはないか。 こちらの意図がきちんと伝わっているかを都度確認しながら進めるのがお勧めです。また、開発段階における責任者は誰なのか、進捗はどうなっているのか、常に報・連・相を徹底して、成り行きに注視する必要があります。
気になることは遠慮せずなんでも質問する
要件や仕様など、初期の段階からなにか曖昧なことがあると、後々それが大きな問題に繋がっていきます。開発は後戻りすることが基本的に難しく、どうしても改善が必要な場合は後々ムダなコストもかかってしまうので、都度不明点を解消しておくことが大切です。
誰が開発をするのか確認する
なかには受注金額や開発内容、スケジュールを見てから下請けを選んで発注する…という業者も存在します。それは業界では常識となっているものの、契約する前にこちらが「誰が開発をするのか?」という質問をするのは何の問題もありません。
システム開発の発注で後悔しないよう、責任の所在を明らかにしましょう
自社内ですべて完結できるのか、国内の下請け企業を使うのか、それともベトナムやインドなど海外の下請け(オフショア開発)を使うこともあるかもしれません。下請けだからダメ、ということはないのですが、いい加減な先も存在している以上、誰がどう本開発に関わり、どのように責任を取るのかという点は明らかにしておきましょう。